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10年振りにFF8を遊んだ話(後編)

(※この記事は前回の続きとなっているのでそちらから先に読む事を推奨します)

第三章:終わりなき作業~先の見えない遠い道のり、そして限界~

●21/9/7

エスタ大陸・グランディディエリの森。

その高台に1台のUFO?が不時着していた。
注釈すると名前はUFOではなく『UFO?』である。
何でそこで自信無さげなんだよ。

既に世界観が迷子な気もするがこの後、本当に宇宙人も出てくるのでそういうゲームだと認識していただきたい。(サブイベントだし、ね)

このUFO?、ワールドマップ上での固定エンカウントという形ではあるが所謂ボス敵に分類されるため一度倒すと二度と戦う事ができない

だが、近年になって倒した報酬のドロップアイテムを貰いながら何度でも戦えるバグが発見された事で一躍時の人となった存在である。


やり方は簡単。
リフレク状態の味方に攻撃魔法を撃ち込んでUFO?に反射、逃走しながらトドメを刺すだけ

UFO?がガタガタ揺れながら逃走できれば成功。
これによりUFO?のドロップ品であるエイジスの守りを簡単かつ無限に集められるようになったのだ。

(※早さを1上げられるスピードアップは、
従来のやり方だとサボテンのトゲ×100→100本針×1→スピードアップ×1という面倒くさい精製ルートが必要だったが、エイジスの守り×2→スピードアップ×1のルートを使えると時間と手間が大幅に短縮できる)


控えめに言って革命といっても過言。
どうして15年近く誰も気付かなかったんだろうね。発見された方は本当に凄いです。

早さカンストの時短方法が確立されているなら乗っかる他なし。さっそく筆者はエイジスの守りが何個必要かを試算した。


「えーと、何々……」

「6人全員の早さカンストにはスピードアップ1312個が必要で、つまりエイジスの守りに直すと2624個…と」

1戦1分でだいたい43時間……?」


筆者は流石に平日は働く身であり1日に長くても2時間ぐらいしかTVゲームに割けないので、
休日を考えない場合は単純計算で22日かかる事になる。このゲーム実はグラブルだったりしない?


「リフレクサンダーなんて1分も掛からんだろノロマw」とか言われそうであるが、
実は筆者は6キャラ全てのレベルを100に上げ切る痛恨のミスを犯していたのである。

(※FF8はパーティキャラの平均レベルで敵のレベルが変動する仕組みになっている。UFO?のHPはレベル1で121、レベル100で12100に到達するので普通にやるとサンダー1発で倒せない致命的なテンポロスが発生してしまった…という訳だ)

下級魔法でもラ系中級でもガ系上級でも1発で落ちなくなったのは仕方ない。

特殊コマンド『レベルダウン(相手のレベルを半分にする)』を2回打ち込む事で何とかラ系のダメージ圏内に持ち込めはしたが、やはりテンポの悪さは如何ともし難い。

開幕から幸先の悪いスタートとなってしまった。



平日は帰宅後取れた2時間でちまちま進めるも、

会敵し『レベルダウン』→『レベルダウン』→味方にカーソルを合わせて魔法→撃破までL1R1押しっぱなし→戦闘リザルトを○ボタン連打で飛ばし→エンカウント、以下繰り返し……

というあまりにも単調かつ長大な操作を2時間続ける作業は、
仕事を終えて帰宅し眠気が刺してきた人間がやるものではなく結構な頻度でミスが相次ぐ。

  • レベルダウンが2回ヒットしてないのに続行

  • L1R1ボタンの押し込みが足りず逃走失敗

  • やむなくリセットしたらセーブしたのが1時間前

などと言ったやらかしでチクチクとモチベが削られるのでまぁやる気が起きなくなる。

あれ?ゲームって楽しむためにやるもんじゃなかったっけ?

これは爽快感もカタルシスもない地道な作業をしている時にふと漏れた一言である。

こんな事をやってると帰宅しても尚2時間持ち帰り残業をやっている感覚に陥ってくるので、
こんな元も子もない愚痴が漏れるのも無理はない。弁当にタンポポを乗せ続ける作業とも

平日の進捗が悪いなら休日に気合を入れてやるしかないが、2時間でもキツい単純作業を半日以上やる事に無理があるのは火を見るより明らかである。

そうなるとどうしても楽に流れるのが人の常。
この男は休日に家を飛び出して紙をしばきに行くようになるのである……。


●22/5/22

⇒始まってから9ヶ月、未だ終わらず。
飽きてる、完全に飽きてる

友人との会話でやっとFF8やってた事を思い出すぐらい深く頭の片隅にしまい込んでいる。
お前どの口がマイフェイバリットゲームとかほざいてるんだ。


4月に入って紙の方も一段落してやりたい事がなくなったのもあり、筆者の中で家で遊ぶゲームのモチベが爆上がりしたのが大体この時期。

重い腰を上げ、意を固める。

「ここでやらないならもう一生手を付けないな」

「頑張るか」

挑戦の続きが始まった。


●22/5/28

\デェェェェェェェェェェェェェェン/

「これ何?」って?
家にあった遊戯王カード全部売った後のレシート。こいつ家でゲームしばくために覚悟決め過ぎだろ。
1つのことにしか注力できんイノシシかお前は。

右下に買取価格58350円って書いてあるからショボく見えるけど、実際は一度に運びきれなくて3〜4回に分けて売りに行ったので総額200000円ぐらいいってるはず。アリガトウ、オレノデッキ

周回要素が重いソシャゲであるグラブルをやってる人間としては大変恥ずかしいことなのだが、
作業をやってる横で砂箱のフルオート周回をやれば良い事にここで今さら気付く。

さらにその横でYouTubeなりニコ動なり見たい動画を垂れ流していれば良い事にも今さら気付く。
こいつ本当に現代文明人か?

こうして、テレビゲームをしながらソシャゲを回して配信を見るという三位一体のマルチタスクが完成したのだった。
僅かながら光明が指した瞬間である。


●22/6/2

一気に4人目までの早さカンストが完了。
さながら水を得た魚のような快進撃。

「本業を2つ持つと2つとも身が入らなくなる人間なんだな」という悟りを二十余年生きてきてやっと得る男であった。


●22/6/10

6人目全員の早さカンストが完了
渾身のガッツポーズ…ではなく肩の力が抜けて崩れ落ちる筆者。
天地創造の後に安息日を設けた神様の気持ちが分かった気がした。


『HP』『力』『魔力』『体力』『精神』は、
店売りアイテムを変換して○○アップ系を精製できる上に、別口で店売りアイテムを変換して売却することで所持金が増えるため、
時間を掛けるだけでカンストが可能だ。

『運』は上記の方法ではカンストはできない。
『早さ』と同じくモンスターのドロップ品を精製していく気の長い作業が必要になる。

「ソシャゲの周回も見たい動画も無限に生えてくるなら、全カンスト行けるんじゃないか?」


運のカンストを目指し、必要アイテムと所要時間を以前と同じように試算する筆者。

「えーと、何々……」

「6人全員の運カンストにはラックアップ1410個が必要で、素材である呪いの爪に直すと141000個…と」

爪100個1時間で1410時間……?」



ヤバすぎんか?

1日2時間やってほぼ2年かかる計算なんだが?

いくら自宅でのゲームをメインの趣味にしたといっても流石に限度があるぞ。

ひとまず『運』は置いといて、
無限金策からの『HP』カンストに着手する筆者。

そう、少しずつやっていけば良いのだ。少しずつ。


●22/6/13

6人全員のHPカンストが完了。

土日だった6/12・13で計20時間ぐらい掛けて4キャラ分の作業を敢行し、何とかこれを達成する。

「HP全キャラカンストでそれぐらいなら他の4ステータスもそんなに時間は掛からなくない?」と思われるかもしれないが、そんな事はない。

なんせ『力』『体力』『魔力』『精神』に関してはアイテム錬金術にはHPの10倍金が掛かるのだ。


全6キャラ分全4ステのカンストをやろうとすると、

金策を含めた6人分のHPカンストに掛かる30時間×ステータス4項目分×10倍=1200時間かかる計算となる。

1日2時間やっても1年7ヶ月以上。

すなわち『運』も合わせると2610時間
1日2時間やっても3年半……。

俺の3年半の遊び時間が…!消える…!全部…!


通るかっ…こんなもん…!

賢明なる読者の皆さんならお分かり頂けるだろう……

単純作業の繰り返しに人生の3年半を注ぎ込むことの重さと、徒労感と、虚無感を……!

人生は長いようで短い。

3年半なんて過ぎてしまえば短く感じるものだが、
駆け抜ける最中の3年半の何と長く苦しいことか。

このやり込みはこう言っているのだ。

その3年半を自分にくれ

お前の人生の大事な時間を全て捧げろ、若いんだからいいだろ?

出来るだろ?お前はこのゲームが好きなんだから?

これはアレだ!
俺はゲームにやりがい搾取をさせられている!
完全に絞られている!
人生の楽しみを圧縮し無に溶かそうとしている!


…正直に話すと、これに関しては完全に筆者の覚悟が甘かったとしか言えない。

まだ幼気な少年だった頃を思い出した。

自分と取り巻く時間が急速に過ぎていくあの感覚。

大人になったなら、その時の思い出だけを残して時間は無限に引き伸びていくのだろうと思っていた。

だが時間は待ってくれない。
どうにか掴んだ休息も、取れたと思ったらすぐ過ぎて離れていく。

そして…筆者は諦めた。


この世にゲームはごまんとある。
まだ筆者は若いけれども、時間は無限じゃない。
そんな貴重な時間を一つのゲームに拘って使ってしまって良いのだろうか?

人によってはそれでも全然良い。
その人がそれで満足するならそれで良いのだ。

でも筆者には多分向いていなかったんだろう。
まだ触れてない世界がたくさんあるならば、
そこに行って新しい世界と展望を見たかったのだ。

だから筆者は、決意した。

ありがとうフェイバリット、ケリをつけよう。

「お前を終わらせて、やりたかった積みゲーも1つ終わらせたら、ぜってえSwitch買うかんな!」

筆者とFF8と思い出の、最後の戦いが始まろうとしていた。


●22/6/12〜13

例え筆者のゲームスキルがクソザコだとしても、『HP』と『早さ』を素でカンストまで持っていけたならオメガウェポンと正面から戦っても勝算が出てくる。

全体9998ダメージのメギドフレイムを素で耐えられるため、HPの強化にジャンクション魔法とアビリティ枠を割かなくて良くなるし

素で早さが255あれば、レベル100でも早さ61にしか到達しないオメガウェポンと単純比較して4倍の行動が可能になる。

ジャンクション最強魔法のアルテマを力に振れるので力+60%と合わせてカンストできる。
(※マルチジャンクションはやり方があまりに面倒くさすぎたので筆者は封印している)

そして、アイテム精製を駆使すれば必要なものはすぐ揃えられる。
少なくともステータス全カンストよりは簡単なことだ。

準備が整い、筆者はアルティミシア城へ向かう。


●22/6/14

オメガウェポン撃破

特殊コマンドの『かいふく』『そせい』も準備して、テラ・ブレイクのために『ぼうぎょ』もセットしてはいたのだが、

「とりあえず景気付けしとくか!」と

全員にオーラ(※)を振る舞ったらテラ・ブレイクが飛んでくる前にオメガウェポンが死んでしまったのである。
(※本来HPが1/4を下回らないと使えない特殊技を瀕死にならなくても使えるようにするサポート魔法、ぶっちゃけぶち壊れ筆頭)

・討伐メンバー

その1『ゼル』
⇒コマンドを入力するとギルティギアよろしくコンボが繋がるモンクタイプのキャラだが

ラッシュパンチ(右左)→ヘッドショック(○✕)→ラッシュパンチ→ヘッドショック…と何故か無限に繋がるので制限時間まで永久コンができる。

慣れた人なら制限時間10秒(実質5分)みたいな感じになるので、5000前後のダメージを30回ぐらいは普通に打ち込めるぞ。超究武神覇拳で検索しよう。


その2『スコール』

⇒特殊技の連続剣は以下の流れを踏む。
5〜8回ほど剣で斬りつける→フィニッシュブロー

そのフィニッシュブローの一つ『エンドオブハート』は出現確率こそ低いものの追加で合計15回ほど斬りつける大技である。

9000オーバーがそんな数飛んだら大体の敵は死ぬ。


その3『アーヴァイン』
⇒弾薬アイテムを消費して、制限時間の限りR1ボタンを連打して銃を撃ちまくれるのだが、

クイックショットが中々イカれており、制限時間最大13秒の中で連射感覚0.2秒という脅威の速度で凄まじいDPSを叩き出す。
ドンキー64はクイックショットを見習え。

1発あたりのダメージは2000程度だが実際はクリティカルとかも乗るので10万程度は消し飛ぶことになる。人は銃で撃たれると死ぬ。


そして、これらの大ダメージをオメガウェポンは自分の1回の行動までに12回は食らっていた事になる。

いくらHPが110万を超えているとは言え流石にこれではひとたまりもない。
遂に世界最強のモンスターは倒れたのだった。
やはり力は全てを解決する…!

そして手渡されるオメガウェポン討伐の証明。
知る人ぞ知る例のアレ。

インターネット黎明期のテキストサイト

それがこれ、当記事のヘッダーにもなっている『オメガのあかし』である。

あまりに胡散臭すぎる。というか香ばしい。

こうして筆者はオメガウェポンを倒した。
「オーラと特殊技連打を使っといてよく言うよ」?

何とでも言うが良い。勝ちは勝ちだ。
筆者はパワープレイが大好きなのだ。

それにオーラと特殊技を縛って戦うならば、
また今度、気が向いたらやれば良いのだから。


そして同日、ラスボスのアルティミシアも撃破

オメガウェポンを倒したスコール達に敵はない。
アビリティ『オートポーション』をセットし、
エクスポーションとエリクサーを100個ずつ忍ばせ、
あとは○ボタンを押し続けるだけ。

『オートポーション』はセットしたキャラのHPが1/2を下回った時に所持している回復アイテムを自動で使用するアビリティだ。

そしてエクスポーションもエリクサーも使用することでHPを全回復するアイテム。

すなわち、HP半分以上から即死しない限り死な
ない体制が出来上がる

まさかのラスボスフルオート撃破。
ひたすら作業に明け暮れた戦いの終わりは作業ゲーで締めくくられたのだった。


第四章:作業の黄昏~ゲームの終わり、その先に待つもの~


以上が9ヶ月に渡った筆者のFF8との戦いの記録だ。

結果としては、
HPと早さのみカンスト
全員オーラ漬け特殊技連打の真正面ゴリ押しパワープレイでオメガウェポン撃破』となった。


何故カンストやり込みを完遂できなかったのか。
理由は単にPS1での実機プレイに拘ったからと言える。思い入れ故と言えば聞こえは良いが、結局はそのために遠大な時間のかかる作業に耐えられず断念という結果に終わった。

「正規の手段で遊んでるのに何言ってるんだ?」と思われるかもしれないが、時代は令和なのだ。

リマスター版には追加の要素があり、

  • 『HP』と『ATBゲージ』が常に最大値になり、特殊技をいつでも発動可能なバトル強化機能

  • バトルエンカウントのオンオフを選べるエンカウントなし機能

  • ゲーム速度を3倍速で進行する3倍速モード機能

これら3つの新機能によってゲームを楽に進められるようになっている。
流石令和だ、サポートが手厚いぞ。


そう、変に拘らずにリマスター版で始めてさえいればここまで膨大な時間の壁に押し潰される事も無かったのかもしれない……。

そして何よりも身に沁みた教訓、それは
例え愛があってもキツいものはキツい』。

やり込みとは一歩間違えると自らをブラック企業に追い込んでしまうものであり、本当に危うくこのゲームが嫌いになるところだった。

皆さん、嫌だと思ったら逃げましょう。

という訳で今回の日記はここで筆を置かせていただこうと思う。

最後に一つ。FINAL FANTASY Ⅷはいいぞ


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