22血沸き肉躍る猛き者ども~映画「ゴールデンカムイ」

 GW中日、どうしても実写化が信じられなかったゴールデンカムイを見に半年ぶりに映画館に足を運んだ。山崎賢人が名優であることは疑いようないが日露戦争帰りの元軍人である不死身の杉本のイメージと結びつかなかった。原作の熱量、肉弾戦、狩猟を映像として高い精度で再現できるはずがない、、、と思っていたが迫力を十分に、いや十二分に引き出している。
 むしろ映画が先にあった気さえする。特に冒頭と終幕に象徴的かつ重要な意味を伴ったものとしてアイヌ語が出てくるところは相当にメッセージ性を含む表現であり信念がある証拠でもある。
 
 比較自体ナンセンスだが、国立のアイヌ博物館よりも、この1本の映画の方が若い世代への影響力を持っているのではないか。原作も骨太い作品であったが、この映画も骨太い。それがとても良いことに見受けられた。例えば尺としては1分足らずでもアイヌの伝統的な食事の作法ひとつで彼らの有する精神性を雄弁に語っているのもよい。また俳優が着用する衣装や、使用する小道具は一年かけて準備したものもあるという手の込みようで、制作への意気込みが感じられる。何年かけ最後まで行くのか見当つかないが続編にも期待したい。(500文字)


 

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