「エルピス」の参考文献を読んでいく。2/ 菅家利和「冤罪 ある日、私は犯人にされた」

 『冤罪という言葉さえ知らなかった私はなぜ殺人犯に仕立て上げられたのか。そしていかに救いだされたのか? 足利事件の犯人として無期懲役が確定しながら、ついに再審を勝ちとり17年ぶりに釈放された菅家利和さん。その逮捕の瞬間から、生い立ち、取調べの様子、刑務所での過酷な暮らしを克明に綴る。絶望と希望、正義と自由を求めた闘いの凄絶な記録。釈放後初の独占手記。』

 殺人事件発覚が1990年(平成2年)で、菅家さんが逮捕されたのがその翌年。釈放されたのは2009年(平成21年)で、菅家さんは17年半の長きにわたり自由を奪われた。

 テレビでも冤罪事件として多く取り上げられたようだが、私はあまり関心がなかったのかほとんど記憶にない。本は読まなくても想像がつく内容かと思ったら、驚きの連続だった。

 まず、菅家さんが取り調べの怖さに負けて自白することまでは想像していたが、想像以上だったのが、自分から創作までして取り調べの期待に沿うように自白してしまったこと。

 中盤で登場する支援者の西巻糸子さんの、私にとっては唐突な登場にも驚いた。菅家さんは初め拒絶するのだけれど、そのうち頼ることになった。

 ドラマ「エルピス」に出てくる死刑囚の松本さんを思いながら読んだ。