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クリニック・病院の口コミについて

google mapの悪質な口コミに対して対応がされないとのことで、医師訳60人がgoogleを相手に集団訴訟を起こした。

今回は、病院の口コミについて一内科医としてどう感じて、どのように評価をしているかをお伝え出来ればと思います。

これは、最終的には、どうやって病院やクリニックを選ぶのかと言う問題に繋がる議題であり、今後、自分自身がどのようにクリニック・病院選びをしているかという記事も書こうと思っていますが、今回は口コミをメインに記事を書こうと思います。

googleが対応しない悪質な口コミの中には、「性加害を受けた」や「バカ、ブス、キチ〇イ」といった明らかに虚偽の内容や誹謗中傷、「閉院しました」や「駐車場があります(ありません)」などといった間違った情報、「怒鳴られた」や「検査をしてくれない(余計な検査をされた)」など本人の精神状態で受け取り方が変わってしまう恐れがある口コミなど、様々な種類があり、一緒くたにすることは出来ません。

余りに極端な評価や、誹謗中傷が信頼できないことは誰にでも分かりますが、中には本当か嘘かよく分からないものや、あってもおかしくは無いと言うような口コミも存在しするため、口コミでクリニックを探したい人にとっては大きな障害になっていると思います。

結論から言うと、自分自身が病院やクリニックを探す場合のgooglemapの口コミの信頼度は10中1-2程度です。
と言うのは、今まで勤務した病院やクリニックの口コミの好評・悪評ともに1-2割程度しか参考にならないと感じたからです。

参考になると考える口コミは

  • 検査・治療の流れについて

  • 医師の勤務状況について

  • 設備・システムについて

具体的な内容が書かれているものです。
内容によっては、クリニックのHPに記載されているものもあるため、口コミを見る場合はHPも参考にしたほうがいいと思います。

上記について、どのようなポイントがあるかを挙げていきたいと思います。

検査・治療の流れについて

ここで見るポイントは、検査や治療が受診当日に出来るか、他院に紹介されるかどうかなどです。
例えば、皮膚科でホクロ除去をする場合、
診察(検査)→手術・病理検査提出→病理検査の結果説明
の行程がありますが、初診日にどれだけ出来るかで受診回数を減らすことができます。初診日に手術まで出来るクリニックは受診回数を2回にすることが出来ますが、それぞれが別日の必要があるクリニックの場合は3回の受診が必要になります。
また、レントゲンやCT、超音波等の各種検査が自院で出来るのか、他院に紹介されるのか、当日出来るのかも見るべきポイントになります。
必ずしも他院に紹介されるせいで、受診期間が延びることはありませんが、ある程度の設備があるほうが利用者(患者)によっては便利だと考えます。

では、すべてが揃っている大きな総合病院や大学病院が良いと感じるかもしれませんが、ここに落とし穴があります。
大学病院などは患者が多すぎて、CTやMRIなど数か月待ちになることが多く、しばしば、検査専門クリニックに患者を紹介することがあります。また、小手術も当日出来ないことがほとんどで、さらにクリニックでは日帰りで出来る手術も入院をしなければ行けないことが多いです。

重大な疾患では無い場合は、クリニックの方が使い勝手が良いため、自分自身もあまり大した問題ではないときはクリニックを利用しています。

医師の勤務状況について

これは、働いている医師がどのように勤務しているかを見ています。
例えば、内科・消化器内科・リウマチ科を標榜しているクリニックがある場合、内科・消化器内科は専門医が常駐していても、リウマチ科は2週間1回しか専門医が来ないクリニックなどがあります。
「〇〇科は月1回しか診察が無い」や「〇〇科の先生はほとんどいない」等の口コミを見た場合は、クリニックに問い合わせをすることをおススメします。
自分が専門医の治療が必要となった場合、当該科の受診日があまりにも少ないと、しばしば不便が生じます。
一般的に医師は自身の専門分野外については知識が乏しいため口出しすることはあまりありません。
自分の病気について質問があったり、紹介状や難病申請などの書類が必要になった場合には、当該科の医師が来るまで待たされる可能性が高いです。
また、合併症が出たり、薬の副作用が出た場合は、他院受診を指示されることもあります。

設備・システムについて

検査・治療の流れと被るところがありますが、病院の設備やシステムも参考となるポイントです。
設備に関しては、レントゲン、CT、超音波、採血検査などが出来るかどうかや、待合室やトイレがどうなっているか、診察室が何個あるか、手術室はあるかなどです。病院であれば、個室の中の設備はどうなっているかなどは、具体的に書かれていれば信憑性がある口コミになります。

システムに関しては、予約の仕方や外来の待ち時間への対応、支払い方法などを見ています。予約はインターネットで出来るのか、簡単でスムーズなのか、外来の待ち時間は院内にいなければいけないのか、フードコートのようなアラームを持たされて外出していいのか、スマホで予約人数が見られるのか、支払いはクレジットカードや電子決済が可能かどうかなどです。
「スマホで予約から支払いまで全て出来ました」「外出する際はアラームを持たされて、順番が近くなったら呼ばれます」「サイトに予約人数が書いてあります」「クレジットカードで支払えます」などが書かれているかを見ます。
自分自身も外来の待ち時間はかなりストレスになるため、外出していいクリニックかどうかは大きなポイントです。


以上が、私が口コミを参考にする際のポイントです。
逆にこれ以外の口コミはあまりあてにしていません。
「受付の対応が悪い」「看護師が怖い」「ヤブ医者」「医師に罵倒された」「誤診された」「不要な検査をしてくる」「何もしてくれない」
等の口コミはあまり参考にならないと思います。
口コミの真偽は不明ですが、これらは主観が多大に入っており、元々病気の状態でナーバスになっている患者さんが過敏に反応している可能性もあります。
医療の特性上、患者さんのニーズがそのまま検査や治療に反映されるわけでは無いので、医療的には正しいことをしていたとしても、患者さんは不満であると言ったことが、しばしば起こりえます。

確かに、同じような悪評が複数件書かれている場合には、信憑性は上がりますが、それに振り回される必要はないと思います。(悪評や好評を書く業者もいるようです。)
また、大都市の場合はクリニックや病院が多く、どこでも受診出来るため怪しいと感じた場合は、ほかのクリニックを探せばいいと思います。

この記事で、口コミに振り回されること無く、自分と相性がいいクリニックを探す一助になれば幸いです。

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