見出し画像

月例三三(さんざ)独演 1月20日 感想


柳家三三が自身の勉強会として開催する月例会。
今年は「僕はこんな落語を聞いてきた」というテーマ。今月は八代目春風亭柳枝が得意とした「王子の狐」「甲府ぃ」を高座にかけた。

「王子の狐」

誰がやっても面白い話だけが落語として残っているといわれるが、狐が人をだますというありえない話を面白く語れるのはやっぱりすごい。
女性に化けた狐が本来の姿に戻るところで鳴く「ケ~ン」という声とともに、三三の顔がほんとうに白狐に見えてくるから不思議。

「堀の内」

唯一テーマに沿っていないこの話が一番のバカ受け。
慌て者が、”信心したらそそっかしいのが治る”と言われ堀之内の御祖師様を参拝するが、道に迷ったり、がま口ごと賽銭を投げてしまったり……。そそっかしいエピソードだけで構成される噺は逆に大爆笑がとりにくいように思う。演者が「面白いでしょ?」と言わんばかりに間をとったら途端に笑えなくなるからだ。この日の三三は元気いっぱいに演じて、過去に聞いたどの「堀の内」よりも会場が揺れていた。

「甲府い」

甲府から江戸に出てきた善吉は浅草で金を盗まれて無一に。法華信徒の豆腐屋に助けられ、その店で一途に奉公する。人柄が見込まれて婿入りし、ますます家業に励む。
もちろん出来は素晴らしい。聞きながら私は師匠の柳家小三治の「甲府い」を思い出していた。三三は小三治より口跡が良い。師匠よりむしろ桂歌丸に芸風が似ているようにも思う。が、紛れもなく、小三治の弟子なのだなぁ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?