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イタリアの記憶「ζ」サッカーを好きになるのは難しい。サン・シーロに行った帰り道のお祭り騒ぎを見てもなお。

サッカーに興味のない人間がイタリアでサッカーをみたら何か変わったのか?

サッカーを理解するのは難しいと思っている。

球を蹴りゴールに入れたら得点は入るので勝ち負けの瞬間という点ではわかりやすいスポーツ。

サッカーボール1つあればできるので、特別な道具もいらない。

ゴール。

そこに至るまでの戦術はわからないことだらけで。謎だらけである。

人数とポジションがある程度決まっているので、全ての攻撃パターンの数値化はできるのだろうが変数としての個体差がそれにかけ合わさる。どうやってプロの彼らはゴールを導きだすのだろう?ある程度は解析されているのだろう。

観戦を楽しむ人々の一部にこんな人々がいる。もちろんどのように楽しむのかは個人の自由。

人生の戦いを諦めたように見える人がチームに自身を重ねて、自身を安全地帯におきながら勝敗に一喜一憂し、責任のない言葉を吐き出す、ガス抜きの社会維持装置、、にしか見えない側面をみてしまうことが多々あったせいでこうした商業スポーツにあまりポジティブなイメージを持てないでいる。

どこの国の選手でも一流のプレーヤーはやはり一流なので尊敬する存在なのは確かだ。

さて。

日本で海外サッカー、スペインのバルサ、イタリアのミラン、。なんかが、やたらもてはやされた時期があった。

そんな時期にイタリア旅行を計画し、サッカを見る事になり、サン・シーロに行く事になった。

ミラノからトラムに乗ってサン・シーロまで出掛けた。
途中、ユニフォームを来た人々が沢山いて、ああ、これから試合なんだと感じさせる熱気を感じた。

ひいきの選手やチームがいるわけでもなく、とりあえず座席を探しあてて淡々と観戦し始めた。

選手紹介で一人一人の名前がモニターに写し出された。近くにいた小さなこどもらが、その画像に合わせて「ピルロ~!!」などと声を出して楽しんでいた様子は覚えている。

肝心の試合だが、ほとんど内容を覚えていない。

しかしながら、帰り道トラムか地下鉄?に乗ると車内は異様な雰囲気だったことは覚えている。

どうもその日インテル優勝が決まった日だったらしいのだ。

ミラノのドゥオモにファンが終結し、凄い音が響いている。なんの音かというと、金属のラッパの音。

あの金属のラッパはチアフォーンというらしい。ファンファ~ン!!という音がそこかしこにこだまする。道路はサポーターでひどい混雑。青を基調とするチームの旗がはためき、青と黒の洪水だった。

それはそれはすごい光景だった。

車の窓からインテルの旗を降りながらクラクションをならしたり、チアフォーンのけたたましい音がそこかしこでこだまする。集まった人々が歌を歌い始めたり、お祭り騒ぎだった。

騒がしいのはさておきなんとも幸せそうな、楽しそうな、彼らを見た。

彼らがサッカーを好きでいることで、他の不毛な争いが起きないのなら、それで良いと思っている。それだけだ。