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俺の映画演出論 タイタニックを観て思ったこと

タイタニックとは?

1997年に公開されて大ヒットしたせつないラブロマンス映画だ
CGを使ってかつて実在した歴史上の沈没船を蘇らせたことでも有名になったんだ 

どんなストーリー?

映画を言葉で語ってもしょーがねえだろ?
いっちょざっくり説明するぜ
                                                             その昔のことだ、北極近くの氷山にぶつかり沈没した船があったんだ
その名はタイタニック号
実在したイギリスの豪華客船だ
そして時代は進んで現代
タイタニック号の残骸は海の底で朽ち果てながらもだ、船体の形を保ったまま眠り続けていたんだ
乗客である金持ちたちが残した金銀財宝と共にだぜ
当然だが、その残骸に眠る財宝を探してるグループがいた
しかし見つかったのは宝石ではなく、謎の美女のヌードデッサンだったんだ
そこにヌードモデルは自分だと名乗る老婆が現れる
ヒロインのローズだ
老婆は静かに語り始める
若く華やかなあの頃、豪華客船の中で繰り広げられた知られざるもう一つの物語を
                                                             こうやって映画の本編が始まるぜ
                                                              とある夜
若かりしローズは船の甲板の先に思い詰めたように立っていた
自殺するためだ
彼女はいいとこの娘だったんだが、未亡人の母と二人暮らしで資産は底をついていた
そこで
アメリカの資産家の息子であるキャルと無理やり結婚させられることになってしまったんだ
キャルはキザ野郎でローズのことなんかこれっぽっちも愛しちゃいねえ
それに耐えられなかった彼女は身投げを考えたんだ
だが
それを救ったのが若さだけが取り柄の男ジャックだった
なんとジャックはローズとともに海に飛び込むと言ったんだぜ
北極に近い夜の海は凍えるほど寒いはずだ
ジャックは助けると言うが本当に助かるのか?
しかしジャックの眼は本気だった
けっきょくローズは根負けして自殺する気も無くなってしまったんだな
ジャックは画家を目指す男だった
まだ無名で貧しいが美をこよなく愛していた
二人はヌードデッサンをする仲にまで深まり、そしてお互いのぬくもりを確かめ合うように交わった
将来を誓い合って
                                                             画家であるジャックはローズのハートに夢を描いて翼を与えたんだ
希望と言う名の翼だぜ
                                                                     だが幸せは長く続かない
この船はタイタニック号
沈没することが決まってるんだ
二人は船の中を自由を謳歌するように走り回るが異変が起こる
氷山にぶつかったんだ
ついに沈没が始まった
乗客たちはパニックに陥る
普段は仮面の奥に隠している醜い本性がさらけ出されるぜ
そんな狂騒を横目に諦める者もいたな
船長もその一人だ
白髪の大ベテランだからな、もはや船が助からないのがわかってしまうんだ
仮に助かったとしても責任を取らされるだけ、もう二度と船長の大役を任されることは無い
けっきょく船と共に沈むことを選ぶしかなかったのさ
だが
ジャックとローズは違った
二人にはまだ叶えなきゃならねえ夢がある
お互い助け合いながら励まし合いながら希望を捨てず甲板に残り続けた
                                                                  しかし歴史は無上だ
                                                               船は史実通り沈没し、二人は海に放り出されてしまった
冷たく凍る夜の海にだ
だが幸運にも周りには沈没の衝撃で飛び散った木片が浮いていた
その一つにしがみついて救助を待つジャックとローズ
そしてそこについに救援ボートが現れた
だが
ジャックの体はもはや冷たくなってしまっていた
ローズは泣く泣くジャックを海の底に沈めるとボートに乗せてもらう
助かったんだ
そしてローズは当初の目的地であったアメリカに到着した
自由の女神が迎えるニューヨークにな
そしてローズの新たな人生が始まったのさ

俺の演出論

ヒロインの自殺
                                                              冒頭でバカ騒ぎするジャック、これは軽いノリの映画か?
だが違った
身投げしようとするヒロイン、ローズ
それを助けるジャック
普通なら説得したり力ずくで止めたりするだろうがこの主人公は違った
一緒に海に飛び込もうとする
ここでジャックがただの軽い男ではないことがわかる
現実にこの方法で成功するかは別問題だが映画としては最高の出会いだった
                                                                       有名なあのシーン
                                                                    甲板でローズが手を広げるシーン
どこにいても見かけたパロディシーン
なぜあそこまで有名になったのかわからないが、たしかに名シーンだと思う
最初は昔の船によく付いてる女神象かなと思ったけど
天使かな?
鳥さんかな?
と思ったけど
たぶんどれもが正解だろう
ちょっと考えれば誰でもわかることだけど
これをストーリーに絡めて最初に表現したことはスゴイと称賛するしかない
                                                              ヌードデッサン
                                                             美男美女の豪華なデッサン会
どんどん服を脱いでゆき乳首までもが顕わになる・・・?
と思ったけど
何だかごわごわしてるような
もしかして上から何か被せてるのかもしれない
残念
男の真剣で射抜くような眼
この眼に女の観客はときめくのだろうか?
男は女のヌードに興奮し、女は男の視線に興奮する
男と女が楽しめてこそ映画は大ヒットするのかもしれない
                                                                  船内を走り回る二人 その1
                                                                               正直あれ?と思った
周りの迷惑顧みず、お行儀の悪いこと
これを意図的だとして
これこそ若さの特権である
このぐらいの傍若無人さがなければアメリカ流の自由は勝ち取れないのだ
これは自由を勝ち取る映画である
真実の愛を手に入れる映画である
この二人にとっては自分たちの愛こそがすべてにおいて優先されなければならない
有名なシーンでのセリフ                                                                          I'm the king of the world!!
やはりこれは意図的な演出だった
                                                                        船内を走り回る二人 その2
                                                                             
このシーンにはもう一つの役割があった
執事から逃げる二人は下へ下へと降りて行き、ついにエンジン部まで到達する
精巧に作られたエンジン描写
このシーンでタイタニック号の実在感を高め、この直後に起きる沈没の序曲に重みを与えている
それを
ストーリーと絡めて自然に見せるテクニック
プロの技である
                                                                      ラストシーン その1
                                                               全てを語り終えた老婆はベッドで静かに、そして永遠の眠りにつく
そのシーンで映し出されていた写真
飛行機
乗馬
飛行機は自由の翼だとして乗馬は何だろうか?
わからない

そこでのローズの笑顔が気になった
何となくだが
ジャックの表情に似てるなと思った
気のせいかもしれない
笑顔とは誰しも同じ顔に見せるものなのかもしれない
でも俺はそこで
ローズはジャックの分も生きていたのかもしれない

ロマンチックなことを考えてしまった
ローズはジャックのために乗馬をしたのかもしれないし、もしかしたらジャックが乗り移ってたのかもしれない
いずれにせよ
ローズは二人分の人生を生きてきたことがわかる演出だなと勝手に思って勝手に感心してしまったのである
                                                                       ラストシーン その2
                                                                            永遠の眠りについたローズは海の底、ジャックの待つタイタニック号へと帰ってゆく
二体の天使の彫刻がされた大時計の針は当時のまま止まっていた
ジャックとローズ
翼は二つで一つ
二人で一つの世界を生きてきたこの男女は皆に祝福されながら、その生涯の幕を閉じるのであった
仮にそれが老婆の見た夢だったとしても
その想いは本物なのである
、                                                             、                                                             という映画であった                                                                          

最後の感想

ローズと老婆を登場させた理由
                                                                     
それは人の一生という人生を描くために他ならない
美しいローズと醜い老婆
美とは儚いものである
夢とは遠いものである
愛とは脆いものである
だからこそ
自由にわがままに生きたっていいじゃないか
真実の愛があるならば
それを伝えようとした映画だったのかもしれない
                                                                         ローズは魅力的な女性だったのか?
                                                                         ローズはこの映画では美の体現者である
若い美貌の持ち主という以上の意味合いはなかったかもしれない
社会から離反するかのようなわがままな振る舞いにのめり込めればいいが、そうでないなら
人によっては反感を覚えるかもしれない
レールに敷かれた上品な生き方から自由になることがこの映画のテーマなのだから
それはしょうがないことだろう
                                                                     宝石を投げ捨てた理由
                                                                         老婆と化したローズはラストシーンでずっと隠し持っていた宝石を海に投げ捨てる
人によっていろいろな解釈がされそうだが
その前にこの宝石はモデルがあるようだ
その名はホープダイヤ
呪いの宝石として有名らしい
タイタニック号もこの呪いによって沈められたのだろうか?
だとするならば
ローズがずっとこの宝石を持ち続けていたのはこれ以上この世に災いをもたらしたくなかったからではないだろうか?
この宝石は人の手に渡してはならないのである
この宝石を手にしたとたん人は呪われてしまう
かつての持ち主であったキャルのように
そう考えるなら
ローズはとても献身的ですばらしい女性と言わざるを得ないだろう
年老いて朽ちてゆく美貌と引き換えに心は磨かれて美しく輝いていたのかもしれない
ローズは魅力的な女性だったのだ

<終わり>

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