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妹の友達のアルノちゃん#6【元カノ】

〇:シオリ・・・

アルノちゃんと来ていたお祭りで懐かしい人と再会した。


史:えっと・・・久しぶり

〇:ああ・・・

史:元気してた?

〇:うん、そっちは

史:元気元気、あっ;;こんばんはー

ア:こ;;こんばんは

オレの小指を摘まんでいたアルノちゃんの指がすっと離れる。

・・・・・・

・・・・・・

史:どーもぉー、元カノの久保でぇーす

変なテンションでアルノちゃんに挨拶をする。


ア:中西です;;;

〇:なんなんだ、そのテンション

史:まーまー、後で変な感じにならないように。こーいうのはちゃんと言っといた方がいいでしょ

はあ、そういうもんか・・・

別に疾しい事があるわけじゃないけど。


史:それにしてもこっちは女友達ときてるっていうのに

史:こんな可愛い彼女とデートってなんかムカつくわぁー

〇:いや彼女じゃなくて、なぎの友達

史:えっ、マジ?なぎちゃんの友達に手出したんだー、ギルティー

〇:だからそーいうんじゃないって、妹の友達に手出すわけないだろ

史:おいっ!!

急に近寄ってきて頬をむにぃーっとつねられる。


〇:イテテ;;何すんだよ

史:女の子と手繋いでお祭りデートしといて、それは無いでしょ

〇:いや、これは;;;

・・・・・・

・・・・・・

史:ふっ

言葉が続かなくなってしまったオレを見て柔らかく笑う。

史:ごめんごめん。余計なお世話だよね

史:なんかそーいうとこ・・・懐かしくなっちゃってさ

〇:いや、アルノちゃんとはほんとにそーいうんじゃなくってさ;;;

史:いいのいいの。とにかく元気そうで安心したよ

〇:ああ・・・


史:なぎちゃんは?元気?

〇:ああ、相変わらずだよ。今日はたまたま調子悪くて留守番してるけど

史:そう、よかった・・・

〇:ん?

史:なんか連絡とりづらくなっちゃってさ・・・

寂しそうにそんな事を言う。

〇:・・・それは、そうだよな


シオリと付き合っていた時、なぎの事をよく可愛がってくれていた。

3人で出かける事もあったし、

なぎもシオリの事が本当に好きだったみたいでオレが嫉妬する事もあったくらいだ。

そんな2人はオレがシオリと別れたせいで関係が変わってしまった。

普通の事なのかもしれないが、オレの中でずっと引っかかっている事でもある。



史:今日は晴れてよかったよねー

〇:なんだよ急に

史:3年前一緒に来た時は途中から雨すごかったじゃん

〇:ああ・・・

史:大雨の中、別れ話したの覚えてる?

〇:そんなの・・・忘れるわけないだろ

史:だよね・・・


史:まあ、なんだかんだ楽しかったし、今となってはいい思い出よ

〇:ああ・・・

史:私の人生最大の失敗でもあったけど

〇:お前;;;言いたい放題だな

こっちはいまだに整理がついてるのかついてないのか分かってないってのに

史:だって・・・

史:◯◯と別れちゃったのはどう考えても失敗だもん

・・・・・・

・・・・・・

史:なぁーんちゃってー、なんか今のめっちゃ元カノ感でてたよね?

〇:はぁあ・・・ほんとそーいうとこ相変わらずだな

史:〇〇もでしょ。お互い幸せになんないとね

〇:なんだよ、それ

史:え、今のは元カノの重たぁーい一言ってやつだよ


史:とにかく・・・久々に会えてよかった・・・

〇:・・・ああ

ふっと笑った後に、アルノちゃんに頭を下げる。



史:中西さんごめんなさいね、せっかくのデートの邪魔しちゃって

ア:いえ;;;こちらこそせっかくの再会だったのにすいません;;;

史:あはは、優しいんだね

ア:そんなんじゃ;;;

史:あぁー、なんか安心しちゃった

・・・・・・

史:〇〇の事、よろしくね

ア:えっ;;;えっ;;;

史:うわぁ、痛い元カノ台詞言っちゃった。やばいやばい;;;

史:それじゃあドロンするねー。お祭りデート楽しんで

〇:だから違うって言ってんだろっ;;;

オレの言葉には反応せず、髪を揺らして友達のところに戻っていった。





〇:アルノちゃん、なんかごめんね

ア:いえ、私の方こそお邪魔でしたよね・・・

〇:いやいやシオリと別れたのだって3年も前だし、もうお互いなんとも思ってないからさ

ア:そんな事ないです。だってどう見ても・・・・

〇:え?

ア:あっ;;ご、ごめんなさい;;;なんか知った風な事を

〇:いや・・・

・・・・・・

・・・・・・

なんとも気まずい雰囲気になってしまって、アルノちゃんにも申し訳ない。

気持ちを切り替えて、なぎのお土産クエストを再開する事にする。

〇:それにしてもシオリのやつ、ずっとデートって言ってたな//////ただの買い出しだってのに・・・

〇:えぇっと;;あと何買うんだっけ;;;

少しだけ右手の小指を外側に向けてみたが、アルノちゃんの指が伸びてくる事は無かった。

そういう雰囲気じゃないよな・・・そう思っていると



ア:あ、あのっ;;;;

〇:ん?

顔を向けるとゼロに近い距離で潤んだ瞳が迫っていた。



ア:〇〇さんにとって、私は何ですかっ?

〇:えっ

・・・・・・

・・・・・・

ア:ただの妹の友達ですか?

〇:どしたの;;;急に;;;

・・・・・・

ア:私じゃ・・・

・・・・・・

・・・・・・

ア:私じゃ・・・妹の友達以上にはなれませんか?


・・・・・・

・・・・・・

・・・・・・

真剣な表情に言葉を失っていると、アルノちゃんの目の下にツーっと縦の線が入る。

・・・・・・

ポツポツと冷たい感覚に、雨が降り出している事に気づいた。


【続く】




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