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家のカギ⑱『TICKET』上演に寄せて

お世話になってます。
高村と五十嵐で、家のカギです。よろしくお願いします。


もう間もなく、家のカギの次回公演
家のカギ⑱『TICKET』
が開幕することに寄せて、少し文章を書きます。


家のカギはこの秋で7周年を迎え、8年目に突入する演劇ユニットです。
ジャンルや形式に縛られず、幅広く演劇作品を作ってきました。
ターゲティング的にもブランディング的にも不利になりやすいと分かっていてもそうしてきたのは
はなから自分たちが最も向いているジャンルや形式を見つけられるわけがないし、実際に挑戦した上で、よりお客様に浸透するものをやっていきたいと思っているからです。
やりたいこと、と同じくらいまずお客様が楽しめるものを見つけたいと思っているからです。

ナンバリングされているものだけでも今回で18回目になる公演の中で、得意も不得意も少しずつ分かってきました。

団体の立ち上げ当初は、ライブ感のあるコメディが得意だと思って、頻繁に試みていました。それを期待されているという実感も若干ありましたが、その一方で視聴者として好きな洋画的なエンタメを演劇で出来ないか模索していた時期でもありました。

そのうち、やりたいことをやるためにハード面での支出を増やして役者への支払いが少ない団体が小劇場に多いように感じ始めました。
そこから
大きな劇場や建て込み、音響照明を使わずとも
人がいて、喋っているだけで面白くできる演劇はないかと模索し始めます。
これが2019年~2020年ごろのことです。
丁度、TICKETの初演があった時期です。

喋るだけで面白い低予算のもの、となると自然と会議モノが候補にあがります。
でもみなさんご存知の通り、小劇場には不朽の名作とも呼べる会議劇がいくつもあります。当然、同じ土俵に上がるわけにはいきません。

家のカギのモットーのひとつに
「他と同じ土俵で戦わない」
というものがあります。

ネガティブに言えば、対戦相手がいたら負ける可能性があるので不戦勝を狙うという意味合いで、
ポジティブに言えば、場所、時期、人、意義などの必然性を蔑ろにせずに創作をすれば、競合のない作品が作れるはず
という感じです。

そこで、身の回りで会議劇とあまり抱き合わせになることのない要素を探しました。
そのとき思い出されたのが、家のカギが初期にやっていたエンタメ要素でした。

普段の生活では手に負えないようなテーマの中で、でも登場人物が話し合っていれば物語になっていくものを作るために洋画のようなテーマとモチーフを取り入れた結果、『TICKET』という作品は生まれました。

洋画のクライムサスペンスのような色合いを持つ、会議劇、になったと思います。
ただ、ここで立ちはだかる困難としては
クライムサスペンスの土俵に上がるわけにも会議劇の土俵に上がるわけにもいかないということで、でもそれは不可能に近いことでした。
なので、ふたつの土俵を臨機応変に行き来する必要があります。

これがなかなか簡単ではありません。
再演となる今回も、ここには苦戦して日々稽古をしています。



家のカギとして、演劇祭などに参加するための再上演を除いた再演は、いままでほとんどありません。
自信のある脚本というのはもちろんですが、今回再演をするに至った理由は他にもありました。

ここ2年ほどの活動で、どうやら家のカギは駄弁り劇が得意なようだ、という気付きがありました。
ちなみに
駄弁り劇の定義付けは難しいですが、生活感があって共感しやすい、解像度の高い会話劇だと思っています。

2年前にご好評いただいた短編『オクタ』
前回公演『となりな席でもエトセトラ』
では、その駄弁り劇を突き詰めてみました。
『オクタ』は
駄弁り×ミステリー
『となりの席でもエトセトラ』は
駄弁り×恋バナ

でした。

ですが
会話を主体とした作品作りに手応えを感じつつも、家のカギがずっと持っている想いとして、大きい会場での作品や音響照明のついた劇的な作品を上演したいというものがあり
2023年をかけて、会話劇をやりながら作品や演技の規模を大きくしていこうという算段がありました。

その第一弾が
生活感・会話・カフェ(身近・臨場感)の『となりの席でもエトセトラ』です。
第二弾として考えたのが、今回の『TICKET』再演というわけです。
今回は
非日常・会話・カフェ(臨場感)が要素です。

毎回必然性を持った作品を作ることを心がけている以上、条件を変えた上演や再演自体も気軽にできるものではありません。

今回は今回なりの、必然性をかき集めて、企画を立ち上げました。
焼き増しや繰り返しのつもりはありません。


つまらない話を長々と書いてしまいましたが、ぜひ、新たな作品を劇場に見に来てください。


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家のカギ⑱
『TICKET』

8月10日(木)~13(日)
@絵空箱(江戸川橋)

《脚本演出》
高村颯志(家のカギ)

《出演》※一部ダブルキャスト
[シングルキャスト]
五十嵐恵美(家のカギ)
新井邑眞
金森悠介
榊原あみ
志賀耕太郎

[赤キャスト]
岩淵こむぎ
遠藤清秀(東京大学芸能研究科)
村松ママンスキー(劇団鋼鉄村松)
桃川あすみ(オフィス薫)
守宮(十六夜基地)

[青キャスト]
一嶋琉衣(吉祥寺GORILLA/yhs)
加糖熱量(裃-這々)
小練ネコ
坂本七秋(マチルダアパルトマン)
袖山駿


《日程》
8月10日(木) 14:00~ / 19:00~
8月11日(金) 14:00~ / 19:00~
8月12日(土) 14:00~ / 19:00~
8月13日(日) 13:00~ / 17:00~



《チケット》
一般チケット :3,500円
応援チケット:4,500円(特典付き)
内通者チケット:5,500円(特典付き)


《ご予約(高村扱い)》
https://ticket.corich.jp/apply/266307/002/

※当日精算では、現金の他に、キャッシュレス決済の導入を予定しております。
※応援チケット・内通者チケットは、一般チケットとの差額分を、ご指定いただいた出演者と団体に均等に配分させて頂きます。


《詳細》
https://stage.corich.jp/stage/266307

※当公演は、大きな音が鳴る演出、喫煙シーンがございます。予めご了承ください。
受付でお申し付けいただければ、煙の遠い席等にご案内いたします。
※当公演は、客席と演技空間を区別しないため、出演者が非常に近くで演技をします。

当公演にて定める感染症対策については、公演ページをご覧ください。


《スタッフ》
脚本・演出:高村颯志(家のカギ)
制作:家のカギ
演出助手:岩淵こむぎ、新井邑眞、晴間貫
フライヤーデザイン:五十嵐恵美(家のカギ)

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