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GReeeeN関数

ヨビノリたくみという男


ヨビノリたくみさんが、日本物理学会でフリップネタをした様子の動画を、YouTubeで公開していた。

みなさんは、ヨビノリをご存知ですか。

ヨビノリとは、予備校のノリで大学の数学・物理を学べるチャンネル

黒板を用いた授業動画はもちろんのこと、

研究者との対談動画や、エンタメに完全に振りきった理系動画なんかもアップされています。


令和5年度の「科学技術分野の文部科学大臣表彰」科学技術賞も、受賞されている。

「線形代数」という、大学1年生殺しの数学の科目があるのですが、僕もヨビノリの線形代数の講義動画を見て、参考にしていました。

お笑いと理系がかけ合わさっていて、楽しみながら学べるのがヨビノリのすごさだ。大学の数学・物理でつまずいた多くの理系大学生を、救った功労者であることは間違いない。


理系の内容をここまでエンタメに昇華した人は、ヨビノリが初めてではないだろうか。しかも、深くて幅広い知識の裏付けもある。さすがアンパンマン(ヨビノリの愛称)。

大学4年の頃。新大阪駅のホームで広島行きの新幹線を待っていたら、偶然ヨビノリを見かけたことがある。声をかければよかった。あんなチャンスもうないかも。


グリーン関数


前置きが少し長くなったが、最初のリンクに貼った動画のサムネから分かるように、このフリップ芸ではGReeeeN関数のネタが出てくる。

僕はここで爆笑してしまった。

物理学に「グリーン関数」というものがあるのだが、これをアーティストの「GReeeeN」とかけたネタなのだ

物理学を専攻していない方は、全くなんのことだかチンプンカンプンだと思うが、
僕は研究でこのグリーン関数を使っていたので、思わず吹き出してしまった。



物理学ではグリーン関数を2通り(微分方程式を解くために使う関数、系の反応を調べるために使う関数)の意味で扱うので、ヨビノリたくみさんがどちらの意味でグリーン関数を持ち出したのかは、わからない。

僕が扱っているグリーン関数は、系の反応を調べる関数の方

(注意)
ここから場の量子論の話になるので、内容が超抽象的になります。いや、もうすでになっているのかもしれない。


位置$${\boldsymbol{x}'}$$、時刻$${t'}$$に粒子を1つ付け加える生成演算子を

$$
\psi^{\dagger}(\boldsymbol{x},t)
$$


位置$${\boldsymbol{x}}$$、時刻$${t}$$に粒子を1つ取り除く消滅演算子を

$$
\psi(\boldsymbol{x},t)
$$


とすると、グリーン関数は

$$
G(\boldsymbol{x}-\boldsymbol{x}',t-t') = -i\braket{\phi|T\psi(\boldsymbol{x},t)\psi^{\dagger}(\boldsymbol{x}',t')|\phi}
$$

と定義される。

はい、意味わかんなーい。数式は完全無視して、グリーン関数のイメージだけ述べましょう。

グリーン関数はある状態に対して、位置$${\boldsymbol{x}'}$$、時刻$${t'}$$に粒子を1つ付け加え、位置$${\boldsymbol{x}}$$、時刻$${t}$$に粒子を1つ取り除いた時の反応を見る関数なのです。

グリーン関数のイメージ

結局、説明ができていないような。


穏やかな湖面に石を投げ入れてしばらく観察していると、水中の様子がどんな感じになっているか分かりますが、あれと似ています。

ミステリアスな人に質問を色々して、その答えからその人のキャラを掴んでいくようなイメージにも近いかも。ただ遠くから見ているだけでは、ミステリアスなままですから。


このグリーン関数を用いれば、物質に何か外場(電場や磁場)を加えた時に、その反応を見て物質の様子を調べることができるというわけです。

過去に『いいね応答理論』という記事を書いた。

これは「線形応答理論」を参考にして書いた記事なのだが、この「線形応答理論」も実はグリーン関数を用いて記述される。ちゃんとつながっているんですねぇ。


話をどうやって着地させようか、分からなくなってきた。やばい。。。


そしてGReeeeN関数


そして、このグリーン関数の考え方って、日常生活でも活かせる代物だと思ったんです。

何か中身が分からないものに対して、とりあえず試しに反応を起こしてみて、その様子を観察してみる、という考え方。

例えば日常生活で、普段とは違うことをしてみるとかね。


いつもは食べないようなメニューを頼む。

新しい習い事をしてみる。

まだ行ったことのない場所に訪れてみる。

初対面の人と話してみる。

観たことのないジャンルの映画に触れてみる。



その後に、自分の心の中でどんな反応があったのかを観察する。

すると、


「自分って、意外とこんなことにも興味があるんだな」

とか

「こういうことをしてると、時間を忘れて熱中しやすいんだな」


といった、新たな側面が見えてくる。新しい発見、新しい人との出会いが生まれる可能性も高まる。

同じことの繰り返しでは、同じ結果しか生まれません。馴染み深くて、安心感は得られるけど。



運がいい人の特徴として、試行回数が多いということを、運に関する論文をまとめた本で読んだことがある。

彼らは、たくさん試す中で、幸運を手繰り寄せているに違いない。

幸運が増えるにつれて、不運も増えるだろうけど。それでも彼らは好奇心を持って、いろいろなことにチャレンジする。



GReeeeNの『キセキ』の歌詞

明日、今日よりも好きになれる

は確かに、毎日いつも試行錯誤している人たちには、当てはまりそうだ。

今日よりも明日の方が、うまくいく確率が高いだろうから。



GReeeeNさんも、いろんな試行錯誤があって、デビューされたのだと思う。

中学校の頃、下校の時に曲が流れていたのですが、その曲がGReeeeNの『オレンジ』でした。

夕日を背に受けながら、『オレンジ』を聴いて中学校前の坂を、シャーっと降ってました。今聴いても、やっぱりいい曲だ。


GReeeeNって、名曲揃いですよね。兄がGReeeeN大好きで、その影響もあってよく聴いてたなー。まず名前がいい。一番好きな色が緑だから。やさしそう。Mrs. GREEN APPLEといい、グリーンという単語が入っているものは、基本好きだ。ちなみにnoteのロゴも昔は緑色だったので、それが始めたきっかけの一部になっていたかもしれない。あとがき長くなりやした、すいません。

参考文献

http://www.kookai.pc.uec.ac.jp/kotaibutsuri/practical_guide_vol_1.pdf


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