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湧き出し場になりたい

就活をしていた時。

企業が求める人材の特徴ランキングのアンケートで、上位に必ず「コミュニケーション力」がランクインしていたのを覚えている。いろんな就職サイトのアンケートで。



それは当然だと思う。1人だけでは仕事は回らないので、周りの人たちとコミュニケーションをとって協力しないといけないからだ。

それとコミュニーケーションが円滑な職場だと雰囲気もよくなって、仕事のモチベーションも上がるはず。

また、これは仕事だけに限らず、プライベートでもそうだろう。コミュケーション力が高いに越したことはない。


では自分はどうだろうか。



コミュケーション力が低い。

ひっくいねぇ〜。



目を背けたい事実だが、自分はコミュ力がない。

口下手だ。


人数が増えてくれば増えるほど、どんどん空気と化していく

話をうまく広げられないし、話をせっかく振ってもらってもつまらない返しで、流れを止めてしまう。最終的に、あんまりしゃべらないけど、笑顔などのリアクションだけはやっている奴になる。

社会に出てから、苦労することになりそうだ。




ここで話題を変え、

コミュニケーション能力が高い人はどのような特徴を持っているのか、考えてみる。


面白いトークができる、リアクションがいい、話を聞くのがうまい。

などが考えられるが、僕が思うにコミュケーション能力が高い人は、



自分ではなく、周囲の人へ意識が集中している



ことだと思っている。

自分ではなく周りの人へ注意が向いているから、話もしっかり聞けるし、相手の反応を見ながら、盛り上がりそうな話題を選んで話せる。


これが逆に、自分の方ばかりに意識が向いていると、

話も傾聴できないわ、相手が聞いててつまらなくなるようなことを話してしまうわで、会話が失敗する。

僕は自分に意識が向いてしまっているから、会話が下手くそなのだ。



数学には、ベクトル場というものがある。

ベクトル場のベクトルは、高校数学で習うあのベクトルだ。ベクトルは、大きさと向きを持った量のこと。

そしてベクトル場とは、ベクトルが分布した空間のようなものを表す(厳密な定義はもっとちゃんとしてます)。


例えば、台風が来た時に、ニュースでこんな図を見たことはありませんか。

https://kobayashimasatoshi.com/wp-content/uploads/2019/08/150.png
ひ、広島に接近しているぞ。

これこそまさに、ベクトル場の一例。

それぞれの地点で、風速という大きさと向きを持った量、すなわちベクトルがこの図で描かれています。この時の四国あたり、風速えぐかったでしょうね。



このベクトル場についてですが、いろんなものがありまして。

その中に、湧き出し場と吸い込み場というものがあります。


湧き出し場とは、文字通り、ある点から温泉のようにベクトルが湧き出しているようなもの。PythonとチャットGPTの力をお借りして、図で表すと。

湧き出し場

この図では、原点からベクトルが湧き出しています。



一方、吸い込み場とは洗面台の排水口のように、ベクトルが吸い込まれているようなものを指す。

吸い込み場。

この図では、さっきと逆で、原点に向かってベクトルが吸い込まれています。



これらの話を踏まえて・・・

コミュ力が高い人は、注意のベクトルが湧き出し場になっているに違いない。

自分という原点の位置から、注意のベクトルが周囲に向かって放射状に向かっているのだ。

周りの人の反応をよく観察していて、その場にあった言動ができる。



その一方で僕は、吸い込み場のように注意が自分に向かっている

「こう思われたらどうしよう」という自意識過剰によって、自分へ注意を向けてしまっている。

だから周りを楽しませようとする余裕もないし、会話もぎこちなくなる。




誰もお前のことなんて、そんな気にしてないって。


はやく湧き出し場になろう。



おまけ

湧き出し場と吸い込み場は、数式ではどう表せるのか、おまけとして書いておこうと思います。

まず、あるベクトル場を$${\boldsymbol{A}(\boldsymbol{r})}$$とします。

$$
\mathbf{A}(\boldsymbol{r}) = (A_x, A_y, A_z)
$$

です。ベクトルなので、$${x}$$成分、$${y}$$成分、$${z}$$成分を持っていて、それぞれ$${A_x}$$成分、$${A_y}$$成分、$${A_z}$$としています。

$${\boldsymbol{r}}$$は座標のことです。各点$${\boldsymbol{r}}$$にベクトル量が定義されています。これがベクトル場の正確な定義。



そして、ここで$${\nabla}$$(ナブラ)という演算子を、持ってきます。

$${\nabla}$$(ナブラ)は空間の微分演算子で、

$$
\nabla = \left( \frac{\partial}{\partial x}, \frac{\partial}{\partial y}, \frac{\partial}{\partial z} \right)
$$

でかけ、$${x}$$、$${y}$$、$${z}$$それぞれの方向に微分する演算子です。


この$${\nabla}$$(ナブラ)とベクトル場$${\boldsymbol{A}(\boldsymbol{r})}$$とを内積したものは、発散と呼ばれ、

$$
\nabla \cdot \mathbf{A} = \frac{\partial A_x}{\partial x} + \frac{\partial A_y}{\partial y} + \frac{\partial A_z}{\partial z}
$$

となります。



そして、湧き出し場はこの発散が正の値をとり、吸い込み場は負の値をとります。

湧き出し場$${\nabla \cdot \mathbf{A} > 0}$$、吸い込み場$${\nabla \cdot \mathbf{A} < 0}$$です。

湧き出しもなくて吸い込みもなければ、発散はゼロとなります。


湧き出し場と吸い込み場を数式で表した説明は以上です。

誰も興味ないよね。理工系の学生は大学1年で、よくこれらの内容を勉強させられるんですよ。



ちなみに発散の他に、回転というものもあり、それは

$$
\nabla \times \mathbf{A} = \left( \frac{\partial A_z}{\partial y} - \frac{\partial A_y}{\partial z}, \frac{\partial A_x}{\partial z} - \frac{\partial A_z}{\partial x}, \frac{\partial A_y}{\partial x} - \frac{\partial A_x}{\partial y} \right)
$$

となります。これは、ベクトル場がどれだけ渦巻いているかを表すもの。

左巻きなら$${\nabla \times \mathbf{A} > 0}$$で、右巻きなら$${\nabla \times \mathbf{A} < 0}$$。

渦巻いてなければ、回転はゼロになります。


さっき載せた、

https://kobayashimasatoshi.com/wp-content/uploads/2019/08/150.png

この画像。実は$${\nabla \times \mathbf{A} > 0}$$だったんですよ。

台風の目を中心にして、風速というベクトルがぐるぐる渦巻いているようになってるでしょ。

今度このような天気予報図を見たら、「あっ、ベクトル場の回転だ」と思っていただければ、嬉しいです。



おまけ長すぎた。修論やらないといけないのに、何やってんだ。


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