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なぜ生活は豊かになったのに、メンタル不調に悩まされるのか?

人間の脳がどんな特徴を持っているのかを知ったのは、いつ頃だっただろうか。

物理学だけではなく人間のことも知りたいなと思い、脳科学の本を趣味で読んでいた。​​特にアンディッシュハンセンさんの本は、初学者でも読みやすくて、一気に読破してしまい、今でもたまに読み返している。


こんなに生活が豊かになったのに、なぜメンタル不調に悩む人が増えているのか。

なぜ人間の幸福は、長続きしないのか。


そういった疑問が、脳科学の本を読んでいると、明らかにされる。研究結果でわかっていることが、身近な例を添えて説明される。もちろん、仮説でしかないので、本当にその説が正しいという保証はないのだろうけど。

けれど、おぼろげながらも人間の脳のはたらきについて、自分もいくらか分かるようになった。



驚いた話のひとつに、「人間は生き残るように進化したのであって、幸せを感じるように進化したわけではない」というものがある。


不安やうつっぽい気分など、そういったネガティブな感情は、人間が昔に生きていた環境では生き残るのに必要だった。

現代社会に生きる私たちには想像できないが、人間の歴史の99・9%の時間、2人に1人が10代になる前に死んでいたらしいのだ。


その死亡理由としては、感染症、出血多量、事故、飢え、脱水症状や殺人など。現代のこんな安全な世界(コロナのようなパンデミックは訪れたけど)は、人類の歴史からすると、ごく最近のことらしい。

なので、人間の脳はまだ、今の環境(ビルがたくさんある、車が走っている、スマホがある)に順応しきれていない。



今と比べると地獄のように思える狩猟採集民時代の環境には、楽観的よりは悲観的な方が生き残りやすかった。

崖の近くにリンゴの木がなっていたとして、死ぬリスクをまったく心配せずにリンゴを取りに行く人間よりは、臆病で「あのリンゴを取るのは危険すぎるからやめておこう」と、心配する人間のほうが生き残った。

一度死んでしまったら、もうそこで終わりなので、ビビりすぎぐらいの方がちょうどよかったわけ。ポジティブすぎるよりは、ちょっとネガティブなほうが生存率が高かった。


私たちは、そのような危険極まる環境で生き延びた人間たちの子孫。そのときに役立ったネガティブ感情を、いまだに受け継いでいる。

そのため、もう現代の環境ではそこまで必要ないのに、心配しすぎてしまったり、不安を感じすぎてしまったりする

これが、豊かになった現代社会でも、メンタル不調に悩む人が多い理由。

あと、昔の環境にはなかったものが増えすぎてしまったり(ジャンクフードとかビルなどの建造物)、あるいは少なくなりすぎてしまったこと(自然とか親密な人間関係)も理由にあるらしい。


要するに、人間は幸福を感じやすいようにはできていない。

生き残るように進化してきたので、人間の脳は必要であれば、幸せよりネガティブな感情を優先する。

このことを知っていると、「ときたま幸せを感じるぐらいなのが普通なんだな」とわかる。普段の生活で、しんどいことやつらいこともあるけど、たまにポジティブな気分になれれば、ラッキーだなと思う。



人間の気分を波で表すことがあるが、これまでの話をふまえると、人間の心はネガティブな方向に少しシフトしているみたいだ。


心は周期関数(sin関数で描いた)。


上のグラフのようになっているのではなくて、人間の心は実際には


実際の心は負の方向に少しシフトしている(赤いグラフ)。


赤いグラフのように、負の方向つまりネガティブ感情方向にシフトしていると思われる。

青いグラフは、ひとつまえに載せたグラフと同じ。比較するために一緒に描いた。

実際の心はこんな周期的な変化をするわけじゃないので、気分の落ち込みがかなり続くこともある。生理とかの影響もあったりして。男の自分は経験したことがないので、わからないけど。


脳科学の本を読んでいると、人間の心はこんなふうにネガティブ方向にシフトしているのかな?と思ったのです。



なので、日常生活で不安を感じたり、うつっぽくなったりすることがあっても、それは正常なことで、無理に「ポジティブでいなきゃ」と思う必要もないなと思った次第です。

ネガティブ感情が芽生えても、「自分の心へ、今日もお疲れさんです」と思って僕は過ごしています。

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