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おんがくをかくかくをかく参

私は二十七歳で死にます

昔、そう言っていました 簡単に軽薄に。
ジャニスの影響でした。
確かな情報も知るツールも、それらを選別できるリテラシーも無い若かった時代の私は
伝説たる伝説を笑って話せる今の若い方々のようではなく、
知り得たことをまんま受けとめ、信じて後生大事に持ち歩いていました。

「ノストラダムスの予言読んじゃった」 
「口裂け女、知ってる?見た人いたらしいよ」

まあ踊りに踊ったな、特に小学生の頃。
そこから少しは大人になれば良いものを、高校生になれば 本と雑誌とTVとラヂオの中からさらに増やした情報をインし続けた。
インして、自分のなかで発酵すらさせるのだよね、厄介なことに。

左手首に集めた チープなブレスレットの束は、ジャニス。
選んで吸っていたラッキーストライクも、ジャニス。
亡きジャニスの画像や記事や書籍を漁り、毎度だがこうして形から入る私なのでした。

ジャニス・ジョップリンは感情を数百倍くらいに膨らませてパンパンな状態で ステージに立った途端
それを爆発させていたんだ、と思っていた。
死因も生き様も、ゴシップにまみれて真実はわからないのだな、いや 私たちは、想像するのみなのだな、と今は思う。 
 私も少しは大人になったんだろうか。

ジャニスをモデルにした映画、
『The Rose(ベット・ミドラー主演のほう)』を一人で三回観に行った。
父が暴れてどうしようもない夜、
育った田舎のひと気のない駅を遠くに眺めながら
『Trust me』をひたすら聴いた。
いまでもこの曲を聴くと
あの だれも降りそうにない駅のホームの、そこだけ小さくひかる灯りを思い出す。

メンタル魔王か、ってくらいその後私は強くなった。父のおかげもあると今は真面目に思う。
父は死んだ。六十代だった。くそ真面目なのにどこか柔軟で、暴れまくったけど とてもかっこいい人だった。
私のアタマとカラダのなかに入れ込んだ伝説のシンガーの記憶は、旨味を増した発酵になってくれていたなら嬉しい。


そして

『ロックスターは死んだ まだ僕は生きてる』

と SUPER BEAVERがいまこの時代
歌っている。
『27』というタイトルだ。
私は考察がキライだけど、これはもう、二十七歳界隈で旅立った数々のロックミュージシャンたちの生涯に
私のみならず 憧れ、リスペクトしてきた人たちへの
愛のうただ。
 
まだ僕は生きてる。

私も まだ 生きてる。
私は二十七歳で死にます、と平気で言っていたあの頃を
すんませんでした、って周りに平謝りしたいのと
そっか、大人に少しはなったんか、という
私への成長おめでとうを

少しだけ言う?言っちゃうか。

スローペースにも程があるな、私

大人になった少しだけ、おめでとう。
あ、
今 おめでとうコーヒー飲んでます。

追記

改めてジャニスの話を検索して自分で驚いた。
今日、命日だ、ジャニスの。
没後53年。

日付も考えずに書いたのは ええとええと

コーヒーおかわりするか。

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