おんがくをかくかくをかく拾壱〜さがしもの
ちょうど 東日本大震災の前年
数年間一緒に生きたひとを喪った
自分を責めて後悔して それが逃げであることすら思い知った
泣いても私は逃げている
誰のせいでもないのに 彼と同世代の他人を見ては
なんで他のひとがこうして変わらぬ日常を生きているのに
彼は死んでいるのだろう、と
誰でもない誰かに その日常を羨ましく思った
私はそのとき
その瞬間の、逃げたり悔やんだり勝手に腹を立てたり そしてそれを ぶち撒けられない己の保身に
無性に
なにか私が私に納得するもの
を 探していた
慰