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今週の妖怪2

今週も妖怪達を紹介していこうと思う


鍛冶が媼(かじがばばあ)



昔、土佐の野根(高知県安芸郡東洋町)に鍛冶屋があった
鍛冶屋の妻は室戸まで刀の代金を取りに行った
しかし夜道に迷い狼によって食い殺されてしまった
それからはその妻が霊となって狼に乗り移って人々を食い殺すようになった
あるとき郷土の者が白い狼を殺してからは、人々が食い殺される事件は起きなくなった

またこんな話もある
室戸市の佐喜浜
臨月の女が狼に囲まれ襲われていた
通りかかった飛脚によって大木の上に飛脚と女は避難する
手が出せない狼は「鍛冶が媼を呼んでこい!」と言う
鍛冶が媼が現れ木の上にいる二人を襲おうとする

しかし飛脚が持っている刀で応戦
鍛冶が媼は血を流し逃げ出した
血は佐喜浜の鍛冶屋まで続いている
鍛冶屋の主人に訳を話して寝ていた鍛冶屋のお婆さんを切り殺した
するとお婆さんは年老いた狼に変わっていた



長井戸の怪(ながいどのかい)


昔、佐渡島の金泉(佐渡市)に八蔵という釣りが好きな男がいた
男は長井戸という場所で釣りをしていると、海底に何かが沈んでいるのを見つける
蛇の目傘だった
八蔵はそれが欲しくなり海に潜ろうとした

「しばらく待て」

と、どこからか声がする
奇妙に思いながらも、また潜ろうとすると、傘がいきなり開いた
傘は髪の長い女に変化
八蔵は慌てて船をこいで逃げ出す
女は八蔵を追いかけてくる
八蔵は浜までなんとか逃げた
女は
「惜しいところで逃がした」
と言って引き返していった

その話を聞いた力自慢の長吉という男が、俺が退治してやると言って長井戸へ行った
しばらくするとあの女が現れ長吉に襲いかかる
慌てた長吉は逃げ出してしまう
逃げ出して長吉はその後何故か寝込んでしまい、亡くなってしまった



輪入道



昔、京都の東洞院通りに出た妖怪
この妖怪は下町から山の方へ恐ろしい勢いで駆け上がっていく

ある女が輪入道に興味を持ち、その姿を見てやろうと戸を少し開けて妖怪を待っていた
すると恐ろしい顔をした車が引きちぎった人間の足をぶら下がって走ってある

女は怖くなって家の中へ逃げようとする
すると輪入道は

「女め、俺の顔を見るより自分の子供のを見ろ」

驚いた女は子供を見ると、子供の足が無惨にも引きちぎられていた


狂骨(きょうこつ)



狂骨とは井戸の中にある白骨
井戸に落ちたのか、それとも殺されて井戸の中に放り込まれたのか
理由は分からないが、激しい恨みを持っている
それ以上の具体的な説明はない

井戸というのはあの世とこの世の出入口という話しもある
ならば狂骨はあの世に行くこともなく、深い恨みの為か出入口でウロウロしている存在ともいえる

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