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LKに聴く曲5選

(L) Love letters/ラブレターを (K) 書くときに聴く曲。あるいは、(L) ラブレターを投函する (K) 気持ちに通じる曲。 

布施琳太郎「ラブレターの書き方」によると、ラブレターは「二人であることの孤独」を、すべてが繋がれた情報化社会において言説化しうる新しいコミュニケーションの形態、だそうです。難しいことは分かりませんが、他人様に見られたら、耳の付け根まで真っ赤になるほど恥ずかしい「二人だけの言葉」なら、ぼくにも得心できます。その実体験の有る無しは、きっと後年に大きな影響を及ぼすだろう、とも思います。ラブレターを書く、ということは、その相手がいることも含めて幸せなこと、その気持ちは、どこか普遍性の一端に触れているのでしょうね。

☆Elstree☆

Title             Elstree
Artist           The Buggles
Album       「The Age Of Plastic」1980
Comment バグルス鮮烈のデビュー盤にして最高傑作・邦題「ラジオスターの悲劇」。メロディメーカー Trevor Horn の切ない感傷とポップセンスが染み入ります。Elstree というのは映画スタジオのこと。ぼくも含め、別れた恋人の名前だと勘違いしていた人、少なからずいましたよね。

☆You’ve Got A Friend☆

Title             You've Got A Friend
Artist           Carole King
Album       「Tapestry」1971
Comment 若い時分は名曲揃いの本盤のなかで、イマイチだなあ、冴えない歌詞だなあ、と思っていました。50年を経て、ようやく意味の深さが判りました。ぼく的には、The Alan Parsons Project「Old & Wise」と対をなす究極の愛の形。是非、双方とも歌詞をチェックしてください。

☆Lettre A France☆

Title             Lettre A France
Artist           Michel Polnareff
Album       「Coucou Me Revoilou」1978
Comment タイトルで選びましたが、ポルナレフの甘くて切ないロマンチズムは「恋文」にピッタリ。本曲は全米進出を企て、見事にズッコケた時期のものです。気にしない、気にしない。いつ、どこで、聴いても、ポルナレフはポルナレフです (国民的シンガーってそういうものですから)。

☆We Bought A Zoo☆

Title             We Bought A Zoo
Artist            Jonsi
Album       「We Bought A Zoo」2011
Comment Sigur Ros のフロントマン兼ヴォーカル Jonsi のソロ・アルバムから。ノスタルジックで、愛らしい、サントラです。Matt Damon 主演の映画「幸せへのキセキ」のほうも、愛に溢れた佳作でした。「Hoppipolla」ともども、感動的なシーンで使われていました。

☆For Ella☆

Title             For Ella
Artist           Friko
Album       「Where we've been, Where we go from here」2024
Comment 今年いちばんの収穫は、なんといっても Friko のデビュー。本盤は生まれながらにして歴史的逸品、かつ、ぼく的には2024年のベストアルバムです。もう言っちゃいます。USインディーズに現れた、ロック IQ めちゃ高めの才能を、是非、お聞き逃しなく。ひしゃげたギター、溌剌とした初々しさ、アレンジのセンス、もう身震いです。本曲のおかげでアルバム全体が重層的に豊かになっているので、今回は特別に ↓ に貼っておきます。

今回の御題で思いだしたのが、映画「アメリ」のなかのエピソードアパートの管理人に40年ぶりに届く亡夫からの手紙、です。亡夫は不倫相手と駈落ちしており、つまり管理人は捨てられた身なのですが、いまだに彼を忘れられず想い続けています。美しいおもいでに浸っているのです。ある日、アルプスの氷河から発見された飛行機の残骸にヒントを得たアメリは、管理人が大切にしまっている亡夫との手紙の束を盗み出し、全コピー、直筆を巧みにコラージュして架空の文面をでっちあげます。フランス郵政省からの送付を装い、管理人のもとへ40年前の (体の) 手紙を届けます。

表面上、それは駈落ちした亡夫からのメッセージです、元妻 (=管理人) に対する。しかし実態はアメリが創作した、愛と優しさとちょっぴり遊び心に満ち満ちた (このエピソードがぼくは大好きです)。そして、最近つらつら思うのが、もしかすると終活の一環で書き始めた note は、結局「アメリ」の40年ぶりの手紙と同じではないのか、ということ。おもいでをより美しく保つための、過去への上書きラブレター




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