PIに聴く曲5選
(P) ビアノの音色で (I) 癒されたいときに聴く曲。あるいは、(P) ピアノの旋律が (I) 印象的な曲。
さまざまなジャンルの音楽を聴いていると、ときには食傷気味になることもあります。とりわけ効果音の主張が耳障りに感じるとき、あるいは過剰な音の洪水に溺れそうなとき、ぼくは必ずと言っていいほどピアノに還ります。ただの反動かもしれませんが、おそらく本質的に好きなのだと思います、あらゆるカテゴリーを超えて。瞼を閉じたときに浮かんでくるピアノの調べから、選りすぐりの5曲をどうぞ。
なお、表看板で「ピアニスト」を掲げている方々は、ジャンルを問わず最初からご遠慮いただいております。あしからず。
☆Soon☆
Title Soon
Artist Jordan Rudess
Album 「The Unforgotton Path」2015
Comment Dream Theater のキーボード魔術師が、Yes の原曲を奏でるとこうなります。このアルバムには他にも名曲カバーがズラリ。1965年 Jordan 8歳、かのバーンスタインに手紙を送った逸話は有名ですね。「僕はあなたより上手に弾けると思うよ、何かアドバイス欲しい?」。
☆Il Pavone☆
Title Il Pavone
Artist Opus Avantra
Album 「Introspezione」1974
Comment イタリアのアヴァン・ブログレの至宝が Opus Avantra です。このデビュー作の衝撃は、いまなお色褪せることはありません。ただし、この曲が気に入ったからといって、そのテイストをアルバム全体に期待するとエライ目にあいますよ。取り扱い注意の、真正アヴァンギャルド。
☆The Top Of The Morning☆
Title The Top Of The Morning
Artist Mike Oldfield
Album 「Tublar Bells Ⅲ」1998
Comment 幾重にも重なるようにループしていくピアノの調べは、Mike の真骨頂ですね。朝焼けの光が、日常の煩わしさをきれいに洗い流してくれるようです。人は朝を迎えるたびに生まれ変わる。そうだとするなら、ぼくはこれまで何度 Mike Oldfield に成りたいと思ったことか。
☆The Chill Air☆
Title The Chill Air
Artist Harold Budd & Brian Eno
Album 「The Plateaux Of Mirror」1980
Comment すべてはここから始まった、のかも。アンビエントの創始者は Eno でしょうが、ピアノの詩人 Harold Budd の功績も大きかったと思います。John Foxx、Robin Guthrie、David Sylvian、とのコラボも必聴です。R.I.P. 2020年12月8日新型コロナのため死去。
☆Stillness☆
Title Stillness
Artist Poppy Ackroyd
Album 「Pause」2021
Comment ピアニストであると同時にヴァイオリニストでもある Poppy Ackroyd。動画のピッチカートはある意味お手のものです。ポストクラシカルと IDM の境界がどんどん失われていくなかで、この二種の楽器が根本にあることにかえって安らぎを覚えます。
いかがでしょうか。フツーに聴けば、メロディラインによって楽曲の印象は決まる、と思いがちですが、不思議とピアノは残響/余韻の持つ魅力が大きいように感じます。Harold Budd が好例でしょう。彼のスコアーが他のピアニストと大きく異なるのは、いまにもメロディが始まりそうなところで、まるでそこを巧妙に回避するかのように残響を挟み、ループが繰り返される点です。その単調さは新たな余韻を産み、余韻の波紋が広がるように主旋律を消していきます。実際は音が鳴っているのに、残響/余韻の静寂とでも言うべき感覚 (錯覚) に包まれます。
ピアノの美しい曲は、それだけでトランキライザーになりますね。そこを入口にしていただき、↓ のプレイリストをお楽しみください。
それでは、また。
See you soon on note (on Spotify).
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