(M) 冥土の土産に (R) リクエストをするときに聴く曲。あるいは、(M) 冥界からのお迎えが (R) reach の曲。

若い頃は、自分の葬式で流してもらう音楽／レクイエムをあれこれ考えました。しかし、死後まで葬列者に趣味を強要するのはちょっと違うよな、と年を取るにつれて思うようになりました。それなら、せめて死ぬ間際まで聴いていたい曲、ということで選んだのが、以下の 5曲です。あっ、お断りしておきますが、ぼくは宗教的には無神論者です、死ねば意識が消えてそれでおしまい、と基本的には考えています。

☆Heaven & Hell☆

Title             Heaven And Hell
Artist           Vangelis
Album       「Heaven And Hell」1975
Comment　Vangelis で一曲だけ挙げるなら「天国と地獄」のコレ。長尺曲パート2 からの抜粋なので、なかなかイイ動画がなくて。高校時代この女性ヴォーカルに打ちのめされました。はらはらと涙が零れる、というオノマトペがどういうことか実感しました。

☆Yamore☆

Title             Yamore
Artist           Salif Keita & Cesaria Evara
Album       「Moffou」2002
Comment　死ぬときは人類の故郷であるアフリカ(？)に還る、という願望もあります。Salif Keita の神々しい美声に包まれるなら、なおのこと。このアルバムはぼく的に Salif の最高傑作。80年代末からのワールドミュージック・ブームが、ようやく高レベルで偏りなく融合した逸品です。

☆Spiegel Im Spiegel☆

Title             Spiegel Im Spiegel
Artist           Arvo Part
Album       「Alina」1999 (written in 1978)　
Comment　天国で流れる BGM はきっとこんな感じではないか、と想像します。凡庸なポストクラシカルとは、微妙だけれど、決定的に違う。Arvo Part の魅力を語るには、ぼくはまだまだ未熟です。秘められた知性というか、万人に届く一見シンプルな奥行というか、聴けば聴くほど嵌まります。

☆What A Wonderful World☆

Title             What A Wonderful World
Artist           Louis Armstrong
Album       「What A Wonderful World」1968
Comment　言わずと知れたサッチモの名曲。この歌詞のように末期を迎えたい、世界を讃美しながら死にたい。これこそ、幸せな終末の理想かもしれません。少なくとも死顔は安らかで、遺された人々にこの曲を想起してもらえれば、もうそれ以上の望みはないように思います。

☆The Fall Of Saigon☆

Title             The Fall Of Saigon
Artist           This Heat
Album       「This Heat」1978
Comment　この曲だけは視聴しないでください。エントリーはしましたが、絶対に聴かないでください。死後の世界が望みどおり、という保証はありません。もし無間地獄に落ちるようなことがあれば、いや、もとい、だから深淵なる絶望を覗き見るような真似はしないでください。

あっちゃ〜。ラストの曲、聴いちゃいましたか。だから、やめておけ、って言ったのに。昔、「不幸の手紙」って流行りましたよね。期限内に同じ内容の手紙を拡散しないと不幸になる／呪われる、っていうあれ。This Heat の本曲は「不幸の手紙」の逆バージョンです。この曲の美しさを理解できる人だけが、天国に行けるのです。死ぬまでにこの曲の素晴らしさを共有できる人を見つければ、きっとあなたは天国に行けるでしょう。

すみません、御題の趣旨からずいぶん離れてしまいましたね。20世紀の巨匠 Vangelis のプレイリストで、どうぞお浄めください。

それでは、また。
See you soon on note (on Spotify).