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XSに聴く曲5選

(X) X'mas を (S) 静かに迎えるときに聴く曲。あるいは、 (X) X'mas の (S) 聖夜を祝する曲

2023年も残すところあと 2週間ですね。街中にクリスマスの喧騒が戻ってきたのは喜ばしいことですが、聖夜は、ひそやかに、静かに、過ごしたい方もきっと大勢いるでしょう。宗教的な意味合いはいったん脇に置いて。しんしん雪が降れば、なお効果抜群の 5曲をどうぞ。


☆Noel☆

Title             Noel
Artist           石川セリ
Album    「Femme Fatale」1984
Comment 石川セリの本盤は、幻の名盤・隠れた傑作です。かしぶち哲郎 (ムーン・ライダーズ) が全曲アレンジ。ぼくの世代はド真中なので、大貫妙子、加藤和彦、坂本龍一、その他、錚々たる楽曲提供者に身震いしたものです。欧州的頽廃を顕示した、マジで80年代 J-Pop の突然変異。

☆A Spaceman Came Travelling☆

Title             A Spaceman Came Travelling
Artist           Eela Craig
Album    「Hats Of Glass」1978
Comment Eela Craig はオーストリアのプログレ・バンド。この曲は Chris de Burgh のカバーですが、美メロの魅力に加えて、歌詞がクリスマスにふさわしい。早い話、イエス・キリストは宇宙人でした、ってことです。高校時代は LPが擦り切れるほど聴き込みましたよ。

☆Cinema Paradiso☆

Title             Cinema Paradiso
Artist           P.Metheny & C.Haden
Album    「Beyond The Missouri Sky」1997
Comment 聖夜ぐらいは清らかな心でいたい、と下衆 (=ぼく) なんかは思うわけです。「ニュー・シネマ・パラダイス」をエントリーするだけでも充分でしょうが、このメンツのこのアルバムなら文句はないですね。聴き終わると溜息が出ます。諸々ごめんなさい、と言いたくなります。

☆O Come, O Come, Emmanuel☆

Title             O Come, O Come, Emmanuel
Artist           Enya
Album    「Christmas Secrets」2019
Comment 今回の御題を決めた時点で、エンヤのエントリーは決めていました。が、当初の候補曲よりもぴったりのアルバムがあることを知り、この曲に差し替えました。襟を正してお送りします。クリスマスの基本精神を忘れないためにも、いまだ終わらぬ戦争で苦しむ人々のためにも。

☆Merry Christmas, Mr. Lawrence☆

Title             Merry Christmas, Mr. Lawrence
Artist           坂本龍一
Album    「Merry Christmas, Mr. Lawrence」1983
Comment 巨星墜つ、今回はこの曲で締めます。坂本龍一「戦場のメリークリスマス」。最後の力を振り絞った全身全霊のワン・プレイに、鳥肌が立ちます。映画公開から40年、北野武が最新作「首」で見せた「戦メリ」へのオマージュは、二人 (教授&タケシ) の原点を偲ぶためかも。

2023年は、個人的にたいへん苦しい一年でした。さまざまな人との別離があり、後々まで尾を引く精神的ダメージもありました。それを克服するとか、耐え忍ぶとか、そんなことはどうでもよく、ただ一切は流れていきます。年をとって分かったことのひとつです。母が認知症のため、介護施設に入所しました。孫がピアノを習い始め、はじめての発表会で登壇しました。母が施設へ引越した日、最初にスタッフと挨拶をしたとき、なぜ自分がここにいるのかさえもう分からない母は、惚けながらもニッコリ笑いました。孫はステージに上って一礼をしたあと、誰からも教わってはいないのに、会場の四隅を見渡しながらニッコリ笑いました。なんの脈絡もないのですが、これがぼくのなかでは繋っています。人は笑える。

一体あれは何なのでしょう。例えば、宇宙探索機から取り残されたクルーがはじめてエイリアンに出会うとして、事前情報がなく、予測もまるで成り立たない未知の生物に出会うとき、この究極的初対面でも、おそらく人は二分されるように思うのです、ただ笑う人と、そうでない人とに。道徳観も、利害関係も、なにもない完全にニュートラルな状態で、自然に笑える人がいます。1ミリでもぼくはそこに携わった、と思いたい。

Merry Christmas,
And all the best in the New Year.




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