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予備試験対策として司法試験の問題を解くべきか?

 ご無沙汰しております。口述試験も終わり一休みという感じで10月が終わろうとしている今日この頃,受験指導の方は相変わらず盛況でブログの作成ができないでおります(´;ω;`)アフィブログ始めたいのに…というわけで久々に重めの記事です!

 テーマは予備試験対策として司法試験の過去問に取り組むべきか。その場合は優先順位や着手時期、検討方法はどうすべきか?についてまとめてみました。以前も同様の記事は書いているのですがより詳細に理由を記載し,やり方なども記載しましたので参考にしてください!

 なお,選択科目は現時点で予備試験の問題は存在し無いので必然的に司法試験の問題を解くことになるので個々では基本7科目の話とします。

1 結論と理由

 結論としては,予備試験対策としても司法試験の過去問を使用した方がいいと思います。理由は以下の通りです。

 ①予備試験と司法試験の出題論点がかぶること

 司法試験の考査委員と司法試験予備試験の考査委員はおおむね同じ方々が兼任しています。そのため,作問者・採点者ともに同じといえます。そのうえ,試験の目的も究極的には法律家の適性の有無を図るものである点から,似たような出題になってきてしまいます。もちろん,予備試験の方が問題文が短いため,総じて司法試験よりも難易度が低いともいわれております。また,予備試験はあくまでも法科大学院修了程度を認定する試験ですから客観的にも難易度が低くならないと制度上おかしいはずです。もっとも,これは受験者個人の感覚や,その科目によると思いますので強い理由にはならないでしょう。

 むしろ,司法試験の問題と同様の事案や似た論点の出題方法があります。例えば,,,といくつか具体例を挙げたいのですが,問題解説というかネタバレも含みますのでこれは各科目の過去問研究の方で示したいと思います。似た事案が出る以上はやっておけばそれだけで有利です。同じ論点が出ても一回解いていれば当然楽にかけるので有利です。形式も近いですし問題にそこまで大きな違いもないので,本番の問題になれるという点からも司法試験の問題を扱う合理性があります。

 ②答案で求められていることが同様

 そもそも,作問者採点者が同様であること,目的が同一の試験といえることから,求めている答案のレベルは類似してきます。そうすると,予備試験では,司法試験で公開されるような詳細な出題趣旨や採点実感がありませんので,これを活用すべきといえます。特に採点実感に関しては,読み込んでおく必要があります。それは試験委員が答案上にどういったことの記載を受験生に求めているのかを把握できるからです。これがわかっていれば,答案作成時に迷う点は少なくなります。そのうえ,両方とも試験ですので,合格に必要な点数がつくように,問題文と法律知識を使用して文章を作成すればいいのです。そうであれば,どのような答案が評価がつく=点数がつくのかを把握しておけば合格に近づけます。そのために,採点実感を読む必要があるのです。そして,採点実感だけ読んでも問題との関係でどうなのか?という点はわかりませんので,問題をあるい程度解いた方が合理的だと思います。

 この点,採点実感の一部を抜粋している資料などもあると思いますが,それでは一部の切り取りで文脈として何が言いたいのか?一般論として通用するのかは読めませんので,留意が必要です。

 ③司法試験の問題も分解すれば予備試験相当といえる

 これが一番大きいと思いますが,司法試験の出題も平成23年以降は,小問集合形式,しかも問題によっては事案が途中でほとんど別のものになってしまう,そんなものもあります。そうすると一見長文に見える司法試験の問題も,実は予備試験レベルの長さの問題が二つくらい,くっついたようなものといえます。そうであれば,設問ごとに60分で答案作成する,というような使い方は可能ですし効率的とも思えます。

 ④予備試験合格後の対策時間の短縮

 この問題はもう再来年以降には問題がなくなると思いますが,,一応付言します。現状,予備試験ルートの人は,予備試験合格後から司法試験の受験まで11月から翌年5月までのおおよそ半年しかありません。9月の司法試験発表後くらいから動き出すであろう,法科大学院生や司法試験のリベンジ組よりも機関が2か月ほど短いです。そのうえ,予備試験合格勢は選択科目の対策をまったくやっていない方が多数派です。ここにきて一科目追加,それもインプットと最終的には論文作成能力を獲得する必要があります。加えて,予備試験合格後は,予備試験合格者向けの説明会(ウインタークラーク)などもあり,司法試験対策に取れる時間は想像よりも少ないです。この説明会は予備組が大勢参加し,予備組の特権でもあるでの就活をするならやはり忙しいはずです。そのため,予備試験合格後に基本科目の司法試験の問題を検討する時間は非常に限られています。もっとも,平成23年の予備試験開始以降,予備試験合格者の司法試験合格率が法科大学院修了者よりも高い(年によっては40%以上の差があったりしますね)ことから,期間が短い点は自身はあまりデメリットにはなって否かのかもしれませんが…

 しかも,来年から予備試験では選択科目が導入されるので一定の論文作成能力はあります。むしろ,在学中に司法試験を受ける方々はいかに3+2で勉強しているとはいえ試験対策は法科大学んもど気の授業に圧迫されて手は回らないでしょうし。。加えて時期も8月になり,11月から考えても9か月の対策期間が設けられるので司法試験対策をするには十分です。

※令和5年からは予備試験も8月スタートになり結局は時間的な差は生じないようなスケジュールになるそうです。やはり早めに過去問をやって余裕を作っておき就活などをした方がいいと思います。

2 着手の時期

 以上の理由から対策の一つとしてやるべきことだ!と私は思います。もっとも,時期については予備試験の論文の過去問をやり終えてからでいいと思います。理由としては,そもそもは予備試験の突破を目指す以上,予備試験の傾向になれるべきだからです。そして,多くの方がおそらくその前に予備校の論文講義(伊藤塾の論文マスター,AGの重要問題習得講座など)を受けているでしょうから,これら講義と予備過去問以外に事例問題をすぐに増やす合理性はありません。ですので,司法試験の過去問で長文の問題に取り組むのはまずは,短文事例問題をある程度こなしてからで結構だと思います。その後に長文問題になれた方がよいと思います。

 さらに時期を絞れば短答不合格者は,来年は5月の短答後に受験した問題の復習がおわったら,論文受験者も含めればすべての予備受験生は7月末の論文後1週間後くらいから8月から10月にかけて司法試験の問題を解いてみるといいと思います。この時期は,論文後のオフシーズンでインプットをやりがちな印象があります。ですのでアウトプットをここで多くして,弱点をあぶりだしたり,答案作成の方針を検討するという意味でも司法試験の過去問をつぶすのは合理的といえます。もっとも,まだ学習を初めて浅いという方や予備校の講義を消化しきれていないのであれば別ですが。

 なお,演習書に関して言えば,司法試験の過去問が終わり次第やるか,ある程度進んだ時点でつぶす方がいいと思います。演習書はあくまで過去問を解けるようにするためのツールの一つです。最終的には試験の現場で過去問と同じような問題を解けるようになっていればなんでもいいので,まずは過去問だと思います。演習書自体の活用は,過去問で出題のない分野の学習や手薄になりがちな部分の演習,解答方針の確認などになると思います。このために使用するならば非常に有効です。ここまでしっかりできていれば十分合格できるレベルだと思います。どの問題集をやればよいかは別に記事を書こうと思いますが,定評のあるものをやれば問題ありません。ちなみに苦手科目の問題量を増やすという点でもいいかもしれません。

3 特に優先すべき科目

 原則としては直近の問題を,公法系からさかのぼって年度ごとにつぶしていけばいいと思います。ですのでどの科目を優先してやるべき,ということは個人的にはないと思っています。理由としては最終的には全科目(選択科目含む)を解けるようになっておく必要があり,その観点で言えばどこからやるとか,何を優先するとかはつかないと思うからです。

 しかし,予備試験受験生は実務基礎があったり各自の事情(社会人だったりなど)で忙しいのも事実です。そして,司法試験と予備試験の親和性が高い科目がある一方そうでもない科目もあるのも事実です。そこで個人的には,

刑訴→刑法→行政法→憲法→民訴→民法→商法

の順番でやっていけばいいと思います。

 刑事系は捜査の適法性や犯罪の成否など,予備と司法で問われ方はほぼ一緒ですし,事実関係の長短だけが差になっているといって差し支えないです。かつては,予備試験では出るけど司法試験には出ない論点,あるいはその逆もあったかのように思いますが,最近はそうでもないです。

 行政法や民事訴訟法は誘導がついている分,司法試験の方が取り組みやすい科目かと思います。しかし,両科目はそもそも基本知識と答案作成の間に大きな隔たりがありますので,多くの演習を良問でやる必要があります。そこで,司法試験問題を予備試験対策として使用するメリットは大きいと思います。加えて,行政法なら,処分性・原告適格・裁量,民事訴訟法なら主観的追加的併合・既判力など試験的に考査委員の好きな論点で出題の重なり合いが多いのも特徴です。そのためこの二科目は優先度高めといえます。

 商法は単に問題文が長いだけで予備試験と司法試験で大きな違いはそこまでないと思います。もっとも,長文だからこそ出せる論点(内部統制や株主総会決議取消訴訟関係など)は司法試験固有といえるのでその差があるためこの位置にしました。

 憲法は,予備試験の問題の中には,司法試験では出題されないような統治機構などもでます。一方,司法試験の方で出題されているような問題意識は,予備試験でも出題可能性があると思います(逆に司法試験の方で統治が出てもおかしくはないですが,新司法試験が始まって以来ほぼ出てないといって差し支えないので…)。ですのでこの科目もやるべきことに変わりはありません。

 民法に至ってはもうほとんど一緒といえると思います。しいて言えば司法試験の方に出題実績のある契約解釈系の問題や要件事実問題は,問題文の長さとの兼ね合いと実務基礎がある予備試験では,民法としては出題されないかな?くらいでしょうか

4 どこまでさかのぼるべきか?

  これはまずは直近でいえば平成28年くらいまでか平成23年くらいまでかそのあたりだと思います。10年分と考えれば平成23年まで5年分と考えれば平成28年くらいという感じです。自分の可処分時間との関係で十分可能な範囲で取り組めばいいと思います。平成23年以降は大大問が廃止されており科目横断のような出題はありません。加えて旧試験と並存していたわけではないので旧試験と新試験での差のようなものが存在し無いように感じます。さらに言えば,平成18年スタートの現行司法試験(新司法試験)の方は平成22年までは出題の傾向や設問が統一されておらず不安定ですのでそこまでやる必要があるとは思えません。やるとしてもどんな問題だったのか?一読して理解するくらいで足りると思います。今となっては出題されないだろう論点などもありますが,勉強になる問題もいくつもあります。

 なお,個人的には平成21年の司法試験の問題が最強に難しいと感じており良問といえると思います。特に刑訴法はよく考えないとわからないいい問題ですので,解いてみてほしいです。

5 旧司法試験の問題はどうすべき?

 これれまで新司法試験の話をしてきましたが,じゃあ旧司法試験は?という方もいると思うので軽く触れておきます。旧司法試験の問題の方が短文で予備試験に近いので取り組みやすいと思います。最も平成17年以前のものは問題文が短すぎるとも思いますので微妙です。やったとしても出題趣旨の公表されている平成14年までで十分だと思います。やるといっても構成レベルでも十分だと思います。論点つぶし程度の感覚でもはやいいのではないかと思います。私の受験し始めのころは問題が少なかったので旧試験も結構やりましたがもうかなりの量の司法試験・予備試験の問題があるので十分かなと思います。択一でも平成22年以前の旧試験の問題なんてやらないのと同じです。量を増やせばいいというものでもないので,あくまで余裕があればくらいでいいと思います。

 もっとも,旧試験も良問は多数あり,同じような問題意識がいまだに出題されたり,基本的な問題で論点の理解を深められるいい問題も多いです。特に民法はマウスの問題や冷蔵庫の問題,中古カメラの問題など考えさせられたり知識の整理に必要な問題などもありますので気になった方は検索してみてください。

6 最後に

 以上長文になりましたが,まとめとしては司法試験の問題は,過去問がおおよそ解き終わっている予備受験生は受験後すぐにやるべき,ということになります。

 この点は賛否両論あるでしょうし,可処分時間との兼ね合いもありますので一概に言えませんので,困った方はまずは受験指導をたくさんしている方などに自身の状況などを相談してアドバイスを求めるといいと思います。

以上です。次回は…って結構ネタがたまっているのでぼちぼち書いていきます。あ,11月になってしまった。。

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