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朝岡英輔くんインタビュー

ライトボクシーズ(LB ) 
写真に興味持ったのは、いつですか? 
 
朝岡英輔(A)  
20歳の時です。 

LB : きっかけはあったんですか? 
 
A: きっかけはインターネットで写真を見て、かっこいいなぁと思って。 
 
LB : 何の写真だったんですか? 
 
A: 素人が撮った何でもないやつなんですけど。
2000年ぐらいの時ってインターネットができ始めた頃で、自分でイチからホームページを作って、そこに日記を書くのが一部で流行ってたんですよ。毎夜、誰が書いているか作っているかもわからないそれらを見て廻るのが好きで。それで自分も同じようにレンタルサーバー借りて、友達にも誰にも言わず、ホームページ作って日記を書いてたんですよ。で、自分の好きなサイトへのリンク貼ったりしてて、そこだけのコミュニティがあったんですけど。
当時はブログみたいなシステムがなかったから、ページのデザインもイチから自分で考えなきゃいけない。それで、人のページを見て回って参考にするんですけど、デザインに写真を使ってるサイトが、めちゃくちゃかっこ良かったんですよね。 当時は、素材屋さんと呼ばれる人のサイトに行って、ボタン素材とか背景の壁紙とか、そういうのを借りて、著作権フリーのやつでデザインするのが普通だったんですけど、その素材屋さんの中に、稀に写真をアップしてるサイトがあって。それを使って写真を入れ込んでデザインするとめちゃくちゃカッコイイと。当時はまだフィルムしかなかったし、フィルムスキャナーも30万ぐらいするような時代だったから、それをやってる人自体が少なかったんですよ。その中でたまに、奇特な人が著作権フリーで自由に使ってくださいってことでネットに写真をのっけてて。それで見ても写真てすげーっ、情報量がぜんぜん違うから、見た瞬間、ぐわーって目の食いつきがぜんぜん違うんですよね。立体感とか奥行きとか。 
早速自分のページにも取り入れて、知らない人の写真を。写真を背景に固定してその上を文字だけスクロールするとカッコイイ、みたいな事をやってました。それが写真との一番最初の出会い。 
で、写真やりたいなーと思ってたら兄貴が中古カメラ屋で働いていたから使ってないカメラ譲ってもらって、撮り始めました。ぜんぜん趣味です。 
しかも僕その頃からずっとバンドやってて、バイトもあまりしなかったんで、お金がなかったんですよね。バンドの練習で音楽スタジオに入ったらスタジオ代がかかるし、ライブをするのもライブ代を払わなくちゃいけないから。 
 
LB:その時はメインがバンドマン? 
 
A: バンドがメイン。で、学校行ったり、卒業したら会社行ったりでそれが二番目で、その空いた時間とお金を使って写真を撮ってるような感じ。だからどんどん現像してないフィルムが溜まったし、ぜんぜん上手くなかった。 
 
LB :その時は何年ぐらいやってたんですか? 
 
A :その感じで6年とか7年とか。2000年から2006年ぐらいはそんな感じ。かな? 
 
LB :それで藤代さんにアシスタントついたのは? 
 
A :段階があるんですけど、まず2006年ぐらいにその時働いてた会社をやめようかなと思って。その頃、会社の昼休みとかに写メで、当時50万画素とか100万画素ぐらいのガラケーのカメラで写真をひたすら撮るみたいな日々があって、一眼レフが持っていけない会社だったから。毎日そういうことやってて、会社もやめようかなと思った時に、写真をちゃんとやりたいなと思ったんですよね。で、会社が休みの日にmixiで知り合ったカメラマンのアシスタントに行ったりとかしてるうちに、ちゃんとやるんだったらスタジオ入った方が良いよって言ってもらって。それで松濤スタジオに入るんですけども。藤代さんは松濤スタジオに撮影で来たのがきっかけで知り合いました。そこからアシスタントについた感じですね。 
 
LB : 有名なカメラマンが好きとかなかったの? 

A: 僕は藤代さんが好きだったんです。最初、普通に作家として好きだから、逆にアシスタントとしてつきたいとか、そういうのじゃないというか、もう自分のヒーローみたいな感じだったから。でもいざ近くに本人が来てアシスタント募集してるらしいよみたいな話を聞いちゃったら反射的に「はい!」みたいな。その時周りにいた仲間が引くぐらいの勢いで「はい!はい!」みたいな。 

LB : 藤代さんに朝岡君がつく時って、月刊シリーズやってた? 
 
A: はい。春菜はなさんとか護あさなさんとか。  
   
LB : なるほど、自分のアシスタント時代は月刊井川遥のときにはまだ入ってないけど、その後ぐらいで、ずっとほとんど藤代さんで。 
藤代さんってぐいぐいいくし、空気はピリピリしてるし、緊張感あって、他のカメラマンってあんまりそういうのない。そこまで。そこまで集中力を周りを巻き込むピリピリ感はないんで。 
そん時はすごかったですよ。誰も入れるなみたいな。 
 
A: 二人きりになる時間とかもありますよね。 
フィルムチェンジすら扉の隙間からやるみたいな。 
 
LB:その当時印象に残ってるのが藤代さんと荒木さん。荒木さんを見た時は「えっ?えっ?」っと思って。今までの人は何だったんだろう。って思っちゃって。 
 
A:それは何が一番そう思ったんですか? 
 
LB :三脚使って撮ってるんだけど、最初からシャンパン飲んで、女優さんと一緒に。そのまま撮影スタートして、ベロベロな感じで、確かその時、靴も下駄だったと思うんだけど、 
フィルムカメラでカシャカシャカシャって 
 
A: テンションあげて。 
 
LB : スタジオだったんだけど、いきなりばばばーってハシゴ行って、上からバシャバシャ撮り始めて。あれは何だろう?みたいな。今までとちょっと違いすぎる。っていうぐらい藤代さんと荒木さんって対照的な、結構カメラマン変わると蜷川さんも、、、。蜷川さんも一番最初は自分がいた時 
蜷川さんは全部作り込むから。世界がぜんぜん違うなーって。 
作家で作家性が出るから見てて面白かった。毎回違う人見れて。 
 
A:それは貴重な体験ですね。 
 
LB : カメラマンって一緒じゃだめなんだなーって思って、その人自体の作家性がないと。 
 
A: 2016年に西麻布レイニーデイで写真展をやらせてもらった時に、藤代さんを呼んでトークショーに出てもらったんです。その時のQ&Aコーナーで、なんで師匠と君の写真は似ていないのか?っていう質問があって。 
その時は、ポートレイトとか撮る時とかは影響受けてるつもりで、コミュニケーションの取り方とか構図感とか。だけどその時は上手く答えられなくて。後から考えても、結局人間が違うからとかしか言いようがなくて、、、。 
 
LB : 日本て、みんなと一緒じゃなきゃダメって特質じゃん。国的に。 
個性をどっちかっていうと潰す国だと思うんだけど、でも何かをやってかなきゃいけないってなると個性を出さなきゃ、他と違くしないとダメなんですよね。サラリーマンみたいに同じことをするんじゃ。 
クリエイターとしてやりづらい。 
その人に頼むってのは作家性が出るってことだから、、。例えばこの前ウィリアム・クラインとか来日した時撮ってたじゃん。あれも朝岡君っぽく出てたじゃん。 
 
A: あ、そうなんですか?ぜんぜん自覚がないんですけど。 
 
LB : ぽさっが出るってのはやっぱり、作家性。 
 
A: 写真って、出すんじゃなくて出ちゃうもんだとは思いますけど。 
 
LB :でちゃうんだけど、こうじゃなきゃいけないって癖を皆んなつけさせられる。 
 
A: 変に意志の力だけで撮ろうとするとそうなっちゃうかもしれませんね。スタイルを真似するってのもそうだし、だから僕は最初かなり藤代さんのスタイルに影響を受けて真似して撮ってた時もあるんですけど、結局シャッターを押す瞬間とか、それまでに考えてることとかが全部違うから、形だけ真似ても結局違う写真にしかならないし、不自然になっちゃいますよね。 
知り合いのデザイナーさんにも言われたんですけど。知らない女の子とかに連絡してみたり、募集して応募してきた子を初対面で撮るみたいなこともやってたんですけど、僕、基本的に人見知りで。そういう人間が出会い系みたいな形で見つけた女の子のポートレイトを撮ってても、その場ではトーク頑張って一時的に仲良くなって、表情が変わっていくのが面白いとか、それでよかったんですけども、ちょっとおまえこれ本当におまえが出てる写真なのか?って言われて。そうかな~?これはこれで僕だと思ってたんですけど、多分どこかでちょっと藤代さんのスタイルに憧れてたところがあったんだと思うんですよね。 
それで、さっき言った2016年の写真展はポートレートを出さないで風景写真だけでやったんですね。その時にそのデザイナーさんも来てくれて、これだよ!って。おまえのその根暗で、一人で、人見知りっぽい…とまでは言わなかったけど、感じがすごい出てて良いじゃんって。 
 
LB : でも、森山さんも結構似たようなとこもあって、朝岡君とにてる部分があって、距離感があるんだよ。物とか風景とか。撮ってるものぜんぜん違うんだけど。なんか距離感が、なんか逆に面白い。
 
A: 僕はカラー(蜉蝣)のやつ好きですよ。 
 
LB :  たとえば、荒木さんはぐいぐいいった距離感で、距離感が引いてる感じがあれが森山さんのいいところで
 
A: 最初、デビューしたての頃、仕事始めた頃ってあんまり仕事ないから、ブックとか見せに行っても反応がやっぱりなんかイマイチなんですよね。 
なんでかなっていう時に、多分僕はちょっと無理した写真撮ってたんだと思うんですよね。それは自分の持ってた距離感と違う距離感で撮ってたから、やたら無理に寄ってみたりとかが写真に写ってて、、、。 
 
LB : 結構如実に出るからね。 
 
A: そうですね。それで僕呪いのようにその人見知りがコンプレックスな時期があって、デビューしたての頃。
それこそ藤代さんて天性の人たらし、なんて言われるような人だから、そんな感じと同じには絶対できないんですよね。人間が違うから。それにある時ようやく気付いて。寄った写真と引いた写真て同時には撮れないですよね。その自分の距離感にフィットした距離感で撮れば良いんだ、っていうのにようやくある時気付いて、そこからすごい楽になって。
 
LB : その距離感が作家性。 
その人にしかできない距離感ができるんですよ。人でも風景でも。 
 
A : それを自覚できるかどうかですよね。 
それを間違ったまま、自分の作風をやっていってるとちょっと不自然になっていっちゃうなって。僕、アンリ・カルティエ・ブレッソンの本読んで結構勇気づけられたんですよ。ブレッソンのポートレイトすごい良いんですけども、人が嫌いというか、コミュニケーションはそんなに得意じゃないらしくて。藤代さんとか荒木さんっていうのは、被写体に入り込んで引き出すじゃないですか、表情とか。 
 
LB : 荒木さんの場合はどちらかというと巻き込む感じだけどね。 
 
A:一般的にポートレートって、リラックスして、その人の本当の内なる表情がでてきた時に素晴らしいって感じがあるじゃないですか。僕もずっとそう思ってたんですけども、ブレッソンが言うには、出会ったばかり、もしくは相手が気付いてない時の全く意識しない顔、こっちを意識しないとか打ち解けた感じにしない時がその人の本当の顔だっていうんですよね。ポートレイト撮る時も出会い頭の、いきなりドア開けた瞬間、ばーんっていう写真とか、そういうのが一番その人の素に近くて、しゃべって打ち解けてきた時に出てきた表情ってのは本当のその人じゃないっていうんですよ。僕は結構これは負け惜しみなんじゃないのかなーって思いながら読んでたところもあるんですけど(笑)、逆に開きなおりだとしても、マグナムフォトの総長が言うんだったらと。あ、こういう考えもあるんだなと思って、それも結構楽になった一つ。自分の遠い距離感を肯定するようになった。 
 
LB : ヨーロッパのマグナムみたいな王道を作った人じゃないですか。 
ま、確かに 
 
A:キャパはちょっと入り込むタイプだったと思うんですよね。人とコミュニケーションとって。人間的で。 
ブレッソンはそれとは真逆というか。コンポジション、構図、異常なまでの構図感とかタイミング感で写真を撮ってた人だから。
 
LB : ちょっとでも1900年代のヨーロッパの人と、今の人って時代変わってきてるじゃないですか。90年代のヒロミックスとか2010年の小鳥さんとか、けっこう変わってきてて、見方も。どんどんどんどん今の場合だと、もうちょっと普通の人も入
りやすくなったというのが今の写真。 
前はどっちかっていうと写真の業界が好きな人が観てて 
今はライアンとかテリー・リチャードソンとかすごい変な人からいっぱいでてきて一般のお客さんを巻き込めるようなカメラマンが出てきたっていうか、客がもともとあって、それをさらに巻き込む。 
 
A:それは世界的にってことですか? 
 
LB : そうそう。 
 
A: 今の流行りって流れってどんな感じなんですかね? 
ライアンもここ10年ぐらい?テリー・リチャードソンはけっこうもう長いですよね? 
 
LB : 同じぐらい。テリーはもうちょっと。 
子供できて。 
 
A: スキャンダルもあったりしましたしね。me tooの、、、。 
やめて今何してるんですか? 
 
LB : 名前変えて仕事してるんじゃないですか? 
けっこうあっちの人って名前変えて仕事してるから。 
とかクレジットなしでとか。 
あっちって広告に出すと作品として売れないから。 
ブルース・ウェーバーも広告いっぱいやってるけど、作品は売れない、っていうか値段があがらない。 
 
A: 広告に使った写真は使えないってこと? 
 
LB :使えないっていうか、そういう写真は売れないんですよ。 
 
A:作品じゃないから? 
 
LB:そうそう。でもブルース・ウェーバーは人が良いですからね。面白いというか。お尻だけとか。 
 
A:ブルース・ウェーバーって90年代? 
 
LB :90年代。 
でも朝岡君はウィリアム・クラインの最近のやつ、車椅子に乗ったやつ、あれってどこで撮ったの? 
 
A: あれは21_21 です。
僕の横にもがーってカメラマン20人ぐらいいて。記者会見みたいなものでした。 
 
LB : それであの一枚?へーっ! 
 
A: 記者会見っていうかオープニングの時にウイリアム・クライン出てきてしゃべります。車椅子で押されて出てきて、喋ってその後フォトセッションしますみたいな。この辺にばーってカメラマンがいて。なんか正面で撮りたいなって思って、あいてたから正面に入って、ウイリアム・クラインがずっとカメラ持ってるんですよ。α99っていう、多分ソニーにもらって撮ってるんですけど、それをずっとがしゃがしゃってこっちの20人30人に向かって広角レンズで撮ってるんですよ。俺絶対写ってるやんって思って。それをまた真正面から撮るみたいな。 
 
LB : ウイリアム・クラインは大御所っていうか 
 
A:もう90歳ですからね。 
 
LB :でもあの人の面白いところは最初もあれだったけど、途中で切り替えたとこですね。映画撮ったりとか。でも最終的にやっぱり元に戻ったけど。いまだとブルックリンで写真集で、あれはあれで面白くて 
 
A:あれは色が良いですよね。カラーで。 
 
LB : もともとモノクロだったのに一気にカラーにして、リアルな感じが。 
けっこう生っぽい。 
 
A: しかもあの時すでに車椅子ですよね? 
だからアングルが低いんですよね。ちょっと。 
 
LB : それはそれで面白い。荒木さんも片目なくしちゃって、なくしちゃってるのが、逆に良い。 
 
A:そうやって戦ってる。 
 
LB :何かを無くしちゃっても逆にさっき言ってたみたいにコンプレックスっていうのが逆に武器になる。コンプレックスをコンプレックスと思ってたら前に進めなくて、さっきみたいに指摘してくれてこれがお前なんだよって、前に向きになっていく。 
 
A:そうですね、 
なんでもそうですね。そういうのが個性になってくるのかもしれないですね。 
三角形と丸は違う形なんだ。 
丸に憧れてもしょうがない…
 
LB : みんなバラバラなのに、同じってわけないじゃん。 
アニメ好きの人もいるし、アイドル好きの人もいるし、 
その中で勝手に去勢されてるってだけで。 
 
A:そういう意味だとLBさんの持ち味はなんですか? 
 
LB : 自分のことはわかんない。 
ただやりたいことをやってるだけ。なんとも言い難いです笑
 
A:この間、人と喋ってて思ったんですけど。昔から結構、あの、ここでこうやって喋ってるじゃないですか?最近大丈夫なんですけど、1時間とか2時間とか喋ってるとふっと相手の言葉が耳に入らなくなる瞬間があるんですよ。 
結構話し込んでて、真面目な良い佳境に入ってる時なのに、一瞬聞こえなくなって、なんか別のこと考えてるんですよね。 
 
LB : もう完全に意識から離れてるんだね。 
 
A:そうかも。 
 
LB : いうことは、長時間フォトシュートできないってことかな? 
 
A: いや、そういうことじゃないです。 
柴田元幸さんをはじめ、文学者の方の朗読ユニットに参加していたりするので、朗読を撮影する機会が結構あるんですけど。こんな事言って良いのかわからないけど、気づくと朗読の内容が頭に入ってないな今っていう瞬間が、実はあって。というのも、声や言葉の感触とか、視覚のことには集中してるんですが、言葉が活字になって頭に入ってきてなかったりするんですよね。だから意味が頭に入っていないっていう。 
 
LB : 別に良いんじゃないですか? 
 
A:良いんですけどね。でも、僕の友達にも、その辺でしゃべってる人の会話を何気なく聞いてて、あとであー、あれ言ってたねって言う人とか、朗読を聞いてても、僕はそんな感じであまり内容が入ってないのに、この話こうだったねとか、え?細部までよく聞いてるね!とかになっちゃう事がよくあるんですけど。 普通の人より聴こえてないんじゃないかっていう。
で、ちょっとこじつけみたいになりますけど、写真ってそういうのが無くてストレートじゃないですか。パッと見てパッとわかる。わかんないのはわかんないっていうか。 言葉で構築して考えるみたいなのがいらないから楽だなと思って。写真って。音楽が好きだったのもそういう理由だったんですけども。 筆舌に尽くしがたいっとかっていう日本語ありますけど、本当に感動したりとかうわぁーってなった時ってぜんぜん言葉にならなくて説明もできないんですよね。 
 
LB : 自分もそうだけど、全く興味ないものは本当に興味ないからね。 
っていうのはそれが個性だと思うんですけどね。 
 
A:興味あるんですけどね。興味あるのに耳に入ってこない。 
 
LB : 興味ないから耳に入ってこないんじゃないの? 
 
A:いやいや興味あるんですよ。 
 
LB : たぶん人間の集中力ってここまでって決まってるじゃない? 
 
A:それって多分両方あると思うんですよね。集中力の問題と、あと単純に物理的に聴こえてきた声、言葉を、言語処理するのが苦手なタイプなのかもしれない、身体的に。 
興味もあるし、聞くつもりもある。 
 
LB : いまだとライブと朗読の撮影はどっちが多いの? 

A:ライブは最近そんなにたくさんは撮ってないです。後藤まりこさんは毎回撮影に行かせてもらってますけど。downyVOLA & THE ORIENTAL MACHINE小島ケイタニーラブもですね。
ただ、もともと、ライブ写真の専門家になりたいって気持ちはあまりなくて。ライブハウスでの撮影って、もちろん被写体にもよりますけど毎回撮ってるとアングルとか決まってくるとこがあって、ライティングも照明さん任せだし、そういうのに飽きちゃう時がある。それにアーティストとお客さんがいるところで横から撮ってるような感じになるから、アーティストが絶対一番だし、二番目はお客さん、そこにお邪魔して撮ってる感じ。もちろんバックステージ含め、アーティストは対等に扱ってくれますけど、ステージではやっぱり。
もちろんそれはそれで楽しいんですけど、今回の展示に出すような写真とは根本的に違いますよね、当たり前だけど。自分が一番の主役には、絶対なれないっていうか。
 
LB : 仕事になると例えば写真集とかで女優さんとかアイドルとか、主役がいるじゃないですか、それが商品だからそれがよく見えなきゃいけないってのがあるじゃないですか。 
じゃない方が良いってことですか? 
 
A:なんかね、たぶん、公私混同してたと思うんですよね。 
だから楽しい現場にいたいからライブを撮ってた感じがあって、逆に今なら仕事で割り切って、依頼として全然知らない人から来ても、全然割り切って撮れるんですけども、ある種ライフワークに近いような感じの、ずっとバンドやってた頃から写真に入っているから、割り切りがあまりできてなかったりした時があって。そこもごっちゃになっちゃって、自分の自己実現のためにライブハウスにいるような瞬間があって、そういう時に自分が表に出ないってことは嫌だなと思ってたんだと思うんですけどね。今はもうちょっと割り切ってやってますよ。好きなアーティストなら仕事じゃなくても毎回撮りに行きたいし、逆に知らないアーティストから仕事で依頼されても、全然楽しんで撮るし。もちろん。 
 
LB : さっきの話に戻すけどウイリアム・クラインのやつ、記者会見って笑 
 
A:見えないですよね?笑 
あそこにいたカメラマンの数だけ世に出てるはずなんですけどね。ウイリアム・クラインの写真。 
 
LB : あれでも良い写真。 
 
A:嬉しい! 
 
LB : ぜんぜん記者会見じゃない。 
 
A:もっと全然顔の寄りとかもあるんですけども、採用されたのはあの引きの一枚。雑誌Coyoteに掲載していただきました。 
 
LB :もうたぶん日本来ないから。 
 
A:もう来れないですよ。 
90歳ですよ。 
 
LB : トークショーに行ったんだけど、本当はウイリアム・クラインのトークを聞きたくて行ったのに、ほとんど事務所の人のトークで、どうでもいい人の話延々聞かされて、最後に出てきたんだけど。 
 
A:体力もね。やっぱり。周りがめちゃくちゃ気を使ってると思うんで。 
お茶目な人じゃないですか。 
 
LB : サインもしてくれて。普通に写真も撮れたし、全く撮れないもんだと思ってたから 
朝岡君の写真見た時は最初に見た時すげーなと思ったけど、まさかの記者会見! 
 
A:記者会見に見えない。 
 
LB : でもそれがいいんだと思う。 
最近山谷君の写真とかも例えばレイブの写真なんだけど、レイブに見えないっていうのがやっぱりその人の個性っていうか。 
その人の写真にしか見えない。どうやって撮ってるんだろうっていうような写真は個性がある。 
 
A:ありがとうございます。褒めていただいて。ぜんぜん自覚はないんですけど。 
 
LB : 例えば半沢克夫さんがウイリアム・クライン撮ったら、すごい間近で撮っちゃうと思う。ちゃんとポートレイトで撮るから。朝岡君のは距離感があって、どこで撮ったのかなって距離感だったから、車椅子に座ってて、白髪で杖があってね。 
世界観ができてた。 
 

A:あれはセレクトが良かったんですよね。デザイナーさんの。 
僕は寄りを押してたんですけど。けっこう回りが展示会場なので、クラインのニューヨークの写真と一緒に写ってるやつを選んだんだと思うんですよね。 
壁にでかくプリントして貼ってあるところがあったじゃないですか。 ブロックみたいなやつにプリントしたりとか。 
 
LB : 70年代の大阪万博のパビリオンの中にマルチビジョンってあるんだけど、それっぽくウイリアム・クラインが今までやってきたやつのビジュアルをいっぱいバーっと写してて、ブロックがいっぱいあったんですよ。たぶんそれだと思う。 
 
A:壁にでっかくニューヨークの写真貼ってあった。 
 
終わりの時間が迫り強制終了笑
LB : A: 
今日ありがとうございました!笑



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