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総力特集:復活の10分間...J2第4節 ファジアーノ岡山vsアビスパ福岡から




“待”ってたぜェ!!この“瞬間”(とき)をよォ!!

いやあ、やっとむっくんの話ができます。待ちわびた待ちわびた。



これまでのあらすじ


2018シーズンセレッソ大阪から鳴り物入りで加入したむっくんこと椋原健太選手ですが、初めてのウイングバックで思うような結果を残せずシーズン終盤には膝を負傷し出場もままならず。恩師長澤徹監督(現FC東京U23)も契約満了という結果に。さらにはこの怪我が長引き、今季は有馬新監督率いる新チームで出遅れてしまいました。

そんな中、新チームでは4-4-2という慣れ親しんだ陣形であることからむっくんの復活によってチームの完成度はより高まるのではないかという期待が(ごく個人的に)あったわけですが、第4節の福岡戦で二番目の交代カードという形でようやくのお目見えとなりました。


*試合の詳細はJリーグ公式サイトから*


この試合では、福岡のライン間連動の不備(これはアンカー脇とSB 裏に対する守備で目立ちましたが、攻撃でも同じことが言えそうです)を事前に織り込んでいたと思われる立ち上がりからの風上ロングボール+中盤4枚(シャドウとボランチの2列隊形)によるハイプレスで敵陣に釘付けにすることに成功し、ショートカウンターで手にしたFKから先制点と最高の結果を得ることが出来ました。

福岡の攻撃はアンカーの鈴木惇が前を向いたときに上手くつながる可能性が高くなっています。20m以上の距離で速く正確なパスを出せるというのは異能で、鈴木惇にはそれがありますが、逆に言えば一番ヤバイパスが飛んでくるのはココだとはっきりするので、岡山はココを基準点に選手の距離間や向きを決めて「コンパクト」な形にすることが出来ていました。とはいえ、両ボランチのチャレンジ&カバーがずれて大穴が開いてしまう局面ができてしまったり、片手では足りないショートカウンターのチャンスを作りながらもFKからの1点のみという結果になったことが後に響くことになります。

福岡がインサイドハーフ(たぶん田邉で落ち着いた)を下ろしてアンカーの鈴木惇以外にボールを出せる場所を作ろうという形になってくると、ゴール前を開けてしまうシーンが散見され、特にIHの前川大河には厳しい場所を使われてしまっていました。後半には明確に周知されたようで、左SBの輪湖も残って擬似的な3バック状態とする選択肢も用意され、岡山のプレス隊形を潜り抜けています。

福岡の同点弾はまさしくこの結果として鈴木惇を空けてしまったことによって振りまわされているうちに前川大河に侵入されてしまったことでボールウォッチャーになってしまった形。

岡山は3バック気味となる福岡のセット攻撃に対してSH仲間が個で勝つぞ、くらいしか進みどころがなくなってしまいましたが、金山のゴールキックをイヨンジェが競り勝つと斎藤・仲間が走りこんだ速攻で勝ち越しに成功。さらに武田を投入して中盤を5枚にしたことで余った一人がボールに行こうとはっきりさせたことによって福岡の攻撃をCFヤンドンヒョンへのロングボールに制限することに成功しました。

ここで、むっくんが左SBの喜山に代えて投入されます。残された時間は10分というところでした。



役割について


――最後に喜山選手に代えて椋原選手を入れた意図は?
「康平は攻撃面も含めて前半からチームを引っ張ってくれていて、ただ福岡も選手を交代してさらにスピードのある選手を入れてきたので。今週の練習の中でも椋原を入れて最後にクローズする形はやっていたので、追加点を狙いながらも絶対にやられないという意味で、椋原を入れてクローズしにいきました」
(有馬監督試合後コメントより)


監督コメントの通り簡単に言えば「クローザー」。福岡が初出場のコロンビア人助っ人ミコルタを岡山の左サイドに投入したことでサイドを突貫してくるように思われたので、そこに向けたものであることは明らかでしょう。

また、ここまでの状況としては

①チームが修正に成功し上手くいっている
②福岡が城後・ミコルタとFWの選手を増やしており強引な形で前線にボールを入れることが予想される

という形ですので、

❶チームの攻守の形を守りながら
❷対面の相手を抑え
❸リードを守れるようにシンプルにプレーする

ということが必要とされたと考えられます。



実際のプレイングについて


ファーストタッチは右サイドからの浮き球をスライドしてシンプルに相手のDFラインの裏までクリアしたというプレイで、注文通り。意外とね、ここでしっかりクリアできないで慌てるみたいなことがあるので、それをしなかったのはいいリズムで試合に入れたんじゃないでしょうか。

その後斎藤さんが勝ちまくって攻勢となったのでアンカーとしてサイドチェンジを受けた武田のボールの逃げどころとして、仲間が縦に仕掛けるスイッチとして、という位置取りをしておりこれもこれまでの有馬ファジアーノの動きに整合的です。まあ試合に出れてるということはそういう基本的なことが出来るのは当たり前でしょうが。

福岡は岡山の中盤の増強に対して、城後と喜田の投入によって喜田と鈴木の2ボランチとヤンドンヒョンと城後の2トップに形を変えて、2CBと2ボランチを残してSBをあげてサイドを押し込み、松田・ミコルタが中へ、中は城後とヤンドンヒョンがギャップを作った位置取りをとる、という予定になっています。

喜田と鈴木にそれぞれ上田・関戸をぶつけ武田はカバーという形にしたいところですが、喜田が縦横に動いてなかなかつかまりませんでした。良い選手ですね。フィジカルバトルが辛いから出てきてないんでしょうか…?

85分にこの形からSB石原のカットインを許し(これも上田が喜田に引っ張られて空いてしまいましたし、武田君のカバーも中途半端になってしまいました…ここの連携はJ1でもよく見る課題です)、最大のピンチを迎えますが、フリーとなったヤンドンヒョンの切りかえしをカバーしたのはむっくん。この時ミコルタが中央に入ってて城後と二人待ち構えてたところの横をヤンドンヒョンが裏抜けしようとしていて、そこをスライドして守ってた形ですね。

プルアウェーを狙っていたところを読み切って捕まえていたのですが一度かわされかけてしまいヒヤリ。それでも粘り強く体勢復帰して最初のシュートタイミングを潰し、ジョンウォンが間に合う時間を稼ぎました。投入の意味を見せたシーンといえるでしょう。

しかし、ミコルタを潰すためにむっくん入ったと思ったんですが逆サイドに移動してるしカットインするわりには鈍いのでどういうつもりで動いてるのかわからないまま終わってしまった…

このピンチの直後イヨンジェ→レオミネイロで実はビルドアップに必要なボランチやCBへの横パスに対するカバーもうまいレオ様というところを見せてプレスのタイミングをずらされるというシーンほとんどなくなり、レオミネイロ経由のカウンターチャンスも生まれます。この同サイド突破はは金沢戦で上手く見せた形ですね。

チームが落ち着くとむっくんの仕事もほぼなくなりました。落ち着いて侵入してくる選手を仲間隼斗と上田康太と抑えていけました。今回はリリーフピッチャーなので派手なシーンは少ないに越したことはありません。よかったよかった。左のワンポイントとして無事にリリーフを果たし、復帰戦は及第点といったところでしょう。





未来へ


福岡の未熟さを突いて組織的に闘うことが出来、その内容通りの勝ち点3となりました。むっくんも課せられた役割を上手く果たしてくれたと思います。わずか10分間でしたが、ひとつエラーで作られた決定機を凡退に済ませましたし、リリーフとしての役割は果たしたと言えるでしょう。

今のところ有馬新体制はこのスターティングメンバーで内容も勝ち点も積み上げつつあるので、いきなりスタメンに復帰するというのは虫のいい話。とはいえ、新体制のサッカーに必要そうなサポートの動きを見せてくれましたし、出場時間の増加に期待したいところです。

御託はさておいて、久しぶりにスタジアムでのお宝kawaiiスナップが見られるようになったのがとにかくうれしい。開幕したぜ。





それでは。