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むっくんだいすきクラブ シーズン3 第四話:強烈、力こそパワー (vs.Vファーレン長崎)



前回までのあらすじ


前節、長沼とのタイマン地獄めぐりを制し、岡山に再開後初勝利をもたらしたむっくん。意気軒昂と迎え撃つは首位長崎。製作班も鼻息荒く団扇を振る。ここで勝てるとクソデカJ2リーグになるぞー。いけいけむっくん。がんばれむっくん。明るい未来が待っている。



試合概要




ファジアーノ岡山 1-2 Vファーレン長崎

ゴール
 21分:徳元悠平 1-0
    73分:大竹洋平 1-1
    78分:カイオセザール 1-2  


メンバー

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交代
岡山
 70分:山本→関戸
 86分:上田→清水、野口→齋藤
 89分:イヨンジェ→赤嶺

長崎
 HT:吉岡→畑
   64分:ルアン→大竹
 76分:澤田→富樫
 86分:カイオ→加藤、イバルボ→米田






試合内容について


ポゼッション、さんさんと


試合は立ち上がりから一進一退のぶつかり合いで、お互いに結構肉体派なメンツで器用なことをやろうというサッカーをしているので、その器用と不器用が良い感じにスパークしあってるようなスリリングなやりとりになりました。ロングボールラッシュには互いに譲らず、切り替えで全速前進。ただポゼッションには無頓着(連戦などのせいで対応できないという方が正しいでしょうか)でサクサクと互いのゴール前にボールが行き来します。トリックプレーも互いに完備で手に汗。

その中でCFイヨンジェがCBフレイレとの空中戦で有利をとれたことで少しだけ岡山の中盤でボールを持ちやすくなって流れが来ると、CKからのダイレクトボレー一閃で衝撃の先制。ここで流れをつかむことに成功しました。しかしすごかったねこのゴールは。





これは昨年もそうだったのでVファーレン長崎の特徴、だと思われるのですが、ライン間の移動 (DFの守備範囲からボランチの守備範囲へ落ちる、ないしは、ボランチの守備範囲からFWの守備範囲へ落ちるといった縦の移動) に対してはあまり厳しく来ないというところがありました。岡山のポゼッションはCH白井の上下動に合わせてサイドにSB、中へSHが移動するという形になっていて、これは序盤特にきれいに決まっていました。

SHを逆足で配置したことによって中央で奪われにくいボールの持ち方ができていて、その間にサイドでドフリーになりまくるむっくん。大変に美味。改めて後述しますが、野口君は左足で細かい技が使えて面白い選手ですね。

イバルボを起用していることのリスクだと思うのですが、長崎はイバルボとルアンの2枚になる前線は守備が抑えめで、その代わり中盤の選手が強く当たるという意識をもって臨んでいました。が、それは逆に岡山にとっては白井が自由にボールを触れて、優勢に進めることができました。それを差し引いても前半の岡山の選手は周囲が良く見えていましたね。良かったと思います。

こうしてサイドでドフリーなチャンスをバブリーに貰っていたむっくんですが、どうやらチームの約束としてDFラインを背走させている間に裏を狙うFWに早めに入れるということになっていそうでした。このチョイス自体はたしかに理論上正しかったと思うのですが、長崎も跳ね返し職人が多数在籍していたので、チャンスの回数ほどには決定機を作れませんでした。これはちょっともったいなかった。長崎の選手が良かったのもあるんだけどもね。

逆サイドの徳元~上門の細かい繋ぎによる進出のほうが可能性を感じたのですが、こちらは長崎SH吉岡が重点的にチェックしていてボールがなかなか回らなかったですね。イバルボもここだけはプレッシャーをかけようというそぶりがありました(かけるフリで終始することも多かったですが…w)し、これはまずいぞとルアンが出張して抑えにくることもありました。

せっかく右でむっくんがドフリーだったので、右から戻して逆サイド展開というじっくりとした崩しも見たかったのですが、野口君や山本君と合わず、ボールがうまく回りませんでした。うーん。悩ましい。上門ほしかったな右に…上門分身しないかな…w 




むっくんの日替わり相方定食について


ちょうど野口君の話もできたので、むっくんの相方が変わりすぎてる件について。

むっくんの復帰から4試合がたっていますが、サイドでコンビを組む選手は上門(磐田・北九州戦途中)~関戸(北九州戦途中・愛媛戦)~野口(今節)と交代も含めるとのべ4人で日替わり定食めいたなんかになっています。

連戦が続いているので損耗が激しくメンバー固定が難しいという事情なのでしょうがないですし、コンビごとに異なる個性が光り、いいものです。

最もコンビネーションが洗練されていると感じるのは上門とのコンビですが、チーム事情でなかなか見られず。関戸さんとのコンビはタフネスにタフネスを掛けて100倍の算数であり、3年目の安心感にあふれています。何より顔がいい。

今回の野口君はルーキーで、上門の洗練や関戸さんの安心感とはだいぶ持ち味が異なります。まずレフティであり、そして身体が大きく、若くがむしゃらである。そこから導き出されるのはロマンと粗削りさになります。若木のように香しい。

左足で懐深くボールを持ち、ギラリとゴールへの最短ルートを狙う眼光。いたずらっぽいボール運び。むっくんが大外でフリーになる機会を多く貰えたのは野口君の個性のおかげでもあったと思います。

反面、むっくんから野口君というチャンスはあまり作れなかったですし、山本君やヨンジェ、上門との関係もちょっと画が描けていなかった。まだ素材だけという感じでした。連携の未熟さが特に出たのは守備の場面です。

長崎の方もCH秋野のライン移動を起点として岡山と同様の崩しを志向していて、ここでのキーマンはOHルアンでした。こちらは岡山よりもより自由に遊泳してフリーなスペースに顔を出し、仕掛けています。また、ロングボールのこぼれ球や岡山のミスをさらってカウンターからイバルボが頭を押さえる形でボールキープする形も有力で、そのいずれかでできた時間を両SBのドリブルかCHカイオのミドルレンジパスかで打開するといった流れでした。

むっくんとしては駆け上がってくるカメックスと中へ仕掛けてくるSH澤田の二人をSH野口君と協力して抑えなければならないのですが、ここの連絡がちょっとうまくいってないシーンが散見されて、カメックスにフリーで突破されてヤバイというシーンが出来てしまいました。野口君あとで体育館裏に来るように。って思ってたら本当にお説教タイムがあったようですね…ww

この辺の攻撃のロマンと守備の苦さとが初々しく、これもまた楽しみなコンビでした。連戦は大変で実際勝ち点計算が大変になるので歓迎できないのが普通だとは思うのですが、様々なコンビを堪能できるという点で製作班は嬉しく思っています。熟成できると楽しそうですねこの二人も。



ところにより雷雨


閑話休題。首尾よく先行した岡山ですが、長崎は岡山のポゼッションを寸断し、難しい試合が続いていきます。後半特に顕著でしたが、見返したら前半の終盤からそういう流れでしたね。イバルボが強すぎて辛い。むっくんの澤田のゴールをしのいだスーパータックルが見れたのはかなりのキマシタワポイントだったのですが…。

後半立ち上がりに吉岡→畑。吉岡は岡山の強みだったSB徳元~SH上門のラインを抑えることに忙殺されてたので、ルアンをSHに置きここの力関係をひっくり返しに来た感じでしょうか。交代によって攻撃のギアを上げる長崎。前半はあんまり見た記憶がないイバルボが流れてルアンと左サイドを制圧する形で岡山陣を押し込みます。畑がFWとしてしっかり中央にいるからここで成立した筋ですね。キープ出来たらここにCHカイオセザールも突っ込んでいくガジガジ行く長崎。フィジカルの嵐だ。

岡山もやり返したいところですが、濱田と田中でなんとか抑えられてたイバルボを徳元と2ボランチで当たるのはいくらなんでもゲームバランスがアレじゃよという感じで、自分たちのペースでボールを持つ余裕がなかなか得られません。そこに追い打ちをかけるように長崎は大竹を投入。フィジカルのちテクニックでもう左サイドはてんてこまいで、CBが引きずり出されて中央で畑とむっくんがマッチアップということになってしまいました。いや~、これ、去年3点差だったのを追いつかれたときに見たやつですよ。(追記3-3だったとおもったら3-2でした....w記憶違い。)

という嫌な記憶をなぞるように立て続けに叩き込まれてしまいました。岡山も齋藤・赤嶺を前線に突っ込んでチャンスを作りますが、長崎のパワー、その最大火力と持続力に敵わず。いいチャンスを作れていたのですが。もう一押しが足りなかったですね…。無念の逆転負けになってしまいました。



未来へ


岡山としては長崎とヒリヒリの殴り合いで渡り合えた前半でしたが、後半のギアチェンジについていけず残念な敗戦になってしまいました。

長崎が優れていたのは兵站の多さと多彩さ、そしてその豊富な戦力を投じる判断の巧みさだったかと思います。前線の強度不足は畑と富樫で補い、岡山の強みであった左サイドのタレントコンビをイバルボで蹂躙することで自陣にくぎ付けにしてしまいました。この修正力と瞬間の火力はすさまじい。崩しの要となっていたルアンと同じ役目を大竹がそん色なく見せていたことも大きな勝因でしょう。

岡山には長崎の守備がライン移動に甘いよねという弱点をとがめたかったのですが、白井・上門・徳元の3人でしかできないのが問題ですね。選手単体で見れば長崎に負けない良さ、強さを持っていたと思うのですが、組織として作戦を実行できたかというと足りない部分が出てしまった。これは磐田戦から課題なので急にどうにかなるものでもないですね。とりあえず1戦1戦最善を尽くすよりないでしょう。

むっくんがフリーになったあと、どないすんねんという話、裏抜けにぴったり合わせるという形は出せるのですが、それが通じない時、まさにこの長崎戦がそうだったのですが、これがむっくん積年の課題という感じですね。それで増谷が補強されちゃったからね。うん。なんとかかゆいところに手が届くマンとして上門や徳元を支える形が作れればいいんですけどねえ。増谷になっちゃうのかなー、がんばってほしい。


製作班としてはやや苦悶ですが。強く生きましょう。


それでは。