パク・ヒョンジンさんをおいかけたい



私にはサンフレッチェ広島とともに個人的に追いかけている(もちろん比喩です)選手がいます。パク・ヒョンジン選手です。

私はウイングの選手が好きです。もはやサッカーにおいて異色となった一対一、いざ、尋常にて勝負という雰囲気が好きですし(なによりサッカースタジアムだと目の前なので凄い)、ゴール前のFWにピンポイントに合わせるクロスが入ると鳥肌が立ち、twitterのタイプ速度が上昇します。

2013シーズンの味スタでのFC東京戦。気温は30度湿度も90%、熱気と湿気が卵型の屋根にこもり汗でユニフォームが張り付きながら声を出し続けた90分。最後の最後のワンプレー、まるで自分達の声に吸い寄せられるように、ゴールに吸い込まれたフリーキックを蹴ったのがパクヒョンジンさんでした。

あの時の、自分たちが勝たせてしまったという昂奮(錯覚でいい…)。その勝利、あの1点が、その後続く連勝を導きましたし、2位のまま迎えた最終盤でも信じ続けることができたきっかけだったのではないかと、自分にとってはそう思わせてくれた選手がパク・ヒョンジン選手です。その決定的な場面に居合わせてしまったために、現在まで追いかけてしまっているということになっています。

栃木にも行きましたし、長崎にも行きました。次は岡山ということで、個人的にも本籍地でよく来ているし旅行先としても魅力的だったので、楽しみにしているんだウオーパクサーン!

ちょっと楽しみすぎて気持ちが逸ってしまったため落ち着かせるため少し認めます。岡山のサポーターの方にもファンができるようなプレイを見せてほしい…



◆パクヒョンジンさんとは



パク・ヒョンジン選手は2013シーズンに韓国Kリーグのドラフト(2015シーズンに廃止されたようです)目玉選手という評価を蹴ってサンフレッチェ広島に加入した大卒ルーキーでした。

当時のサンフレッチェは2012年の99%減資からの立て直しの途中でありACL出場権を得ながらも補強の余裕がなく、獲得選手は新卒かレンタルバックのみでした。(2012夏に塩谷司を補強しましたが、これは森脇良太の流出を補填するものであることが後にわかりました)

その中で正確な左足クロスをもつ大卒選手ということで、消耗が激しく枚数の必要なウイングセクションの即戦力として期待され、服部公太氏(現ユースチームコーチ)の17番を受け継ぐことになります。その期待どおりに左ウイングの2番手として出場機会を伸ばし、そのキックはACLでも通用した広島のストロングになりました。

しかし、トランジション、ブロック形成時の守備判断、そして広島のウイングに要求される単独での突破力に難があり、そして連覇により経営状況が上向いたことで甲府から柏好文が加入すると出場機会を失い、2015シーズンには栃木SCへの期限付き移籍となりました。

栃木では4-4-2の左SBとしてスタメンを勝ち取ります。左足を封じられた際のカットインや中央への展開といった工夫を見せられるようになり、阪野豊史とのホットラインを形成するなどJ2のアシスト王を争う活躍を見せていました。切り替えで走るだとか、チャージに行くタイミングの見極めだとか、いわゆる"気持ち"面は良くなってきていましたが、やはりゾーンの管理やマークの受け渡しの難が否めず。残留争いとなった最終盤にはメンバーから外されてしまいました。

そのまま栃木は降格、広島との契約も満了となってしまいましたが、Vファーレン長崎に完全移籍となりました。

長崎では左のウイングバックとして出場。栃木の経験から低い位置での守備でがんばれるようになっていましたし、攻撃力をあげるため3-5-2となったことでセントラルハーフと入れ替わりで中央へ入り込みショートパスで打開するというプレーが増えていきました。

ですが、キープレイヤーの梶川諒太、永井龍に合わせることができず。プレースキックも梶川に譲ることが多かったのであまり見せ場を作れないシーズンになってしまいました。密集プレーが増えてしまったことが大きかったでしょうか。やはりサイドで駆け引きして、クロスを点で合わせるのが本懐なのでしょう…まあ、右サイドからのクロスに飛び込むパクさんとか初めて見たのでめちゃくちゃ面白かったんですけど

長崎でのプレーも1年ということになり新天地となったのが、ファジアーノ岡山です。



◆パク・ヒョンジンさんとファジアーノ岡山

パク・ヒョンジンさんは誰にも負けない一芸を磨きながら、弱みをひとつひとつ解決してキャリアアップを進めることが出来ていると捉えてよいのだと思っています。栃木では右足でボールを進める術を、長崎では守勢でのPAでの粘りとSBの位置から中央にポジションを移しての展開(後者は出来てはいないんですけど…w)と新しい引き出しができていました。

チームの成績は芳しくないのですが、移籍先が順位的にどんどん上がっているのもおそらくそういった"成長"を評価されているのではないか―ウチならココが磨かれて貢献してくれるはずと信じるに値するものがあるのではないかと思っています。

ファジアーノ岡山には前線で起点となる赤嶺慎吾、ゴールに向かう強さのある豊川雄太、スピードのある飛びだしが魅力の藤本佳希とロングボールを入れがいのある選手がいます。ここでパクさんはどういった"成長"をしていくでしょうか。手札を増やし続けているパクさんが、岡山のみなさんを虜にして、昇格という結果を掴んでくれることを願って今季も追いかけたいと思います。


では。