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劇的逆転<<<(越えられない壁)<<<前節と同じ負け方になりかけてたという事実【vs.鹿児島ユナイテッドFCの会報:2019-7/7】



15000人を越す観衆が、”王の帰還”上田康太の劇的弾に酔いしれた…それだけでも意義はあるのでしょう。むっくんスタメン復帰から2連勝もめでたい。めでたくはある…。

ですが、当マガジンの編集部(一人称の難易度が高すぎるけど言い張っていこうと思う)としては敗北感しかなかった試合でした。

逆転に吠えるむっくんはかっこよかったけど!かっこよかったけどな…!しかしそれを祝おうにも、あまりにも前節と同じやられっぷりのせいで喜びがZEROなんじゃ…








試合情報



岡山2-1鹿児島:ハンヨンテ(57分)、上田康太(86分)、中野誠也(89分)


メンバー

交代
岡山:24赤嶺→7中野、25久保田→14上田、9ヨンジェ→32福元
鹿児島:20酒本→33田上、11五領→18野嶽、28ハンヨンテ→30萱沼




試合内容について




鹿児島の仕組みについて

前半のかなり長い時間をハンヨンテへの蹴っ飛ばしに費やしていた鹿児島。

守備は4-4-1-1型でハンヨンテと酒本でCB→ボランチへのパスを塞いでサイドに誘導。廣木と仲間のサイドを塞ぐような追い方が見られましたが、後半はそもそも仲間の後ろから徹底して攻めたれという形へ修正したっぽいです。

ボール保持はSBが上がりSHを内に入れて入れ替わり立ち変わることで優位を得る狙いで、特に左SB砂森の大外からの仕掛けを崩しの決定打にする形が強力でした。むっくんの対応でしたが、中央に寄せられた後での対応になるので結構辛かった。とはいえ、精度不足や岡山の球際により決定機自体は少なめ。

八反田がDFラインに近い位置で漂う形からチャンスが出来たのを期に、2列目以降もライン間の上下動を織り交ぜて岡山の守備を上回ってきました。おそらく試行錯誤の結果でしょう。

フィニッシュの精度には難があったものの、特に八反田のブロックの穴を見つける視野の広さと縦パスが素晴らしかったっす。先制点のきっかけとなったクイックリスタートも彼でしたかね。端的に言って、欲しい。

後半は右サイド中心の攻撃となり(おそらく仲間狙い)、岡山のサイドチェンジを阻むための同サイドプレスが目立ちました。その守備がハマっての先制点は見事の一言。上田康太が入るまではアンジュンスのスーパーセーブもあってよく粘っていたと思いますが、プレスのラインが下がって追加点をちらつかせる余力を出せなかったことで、岡山に攻撃の余裕が復活してしまったところが悔やまれます。


岡山の対応について

前半途中までは蹴っ飛ばし合いのような展開で、そこまではどの選手も球際激しくという意欲を見ることができました。

基本的に蹴っ飛ばしてその周辺でマンツーマンでカチ当たってからの速攻を志向しており、鹿児島に誘導されたサイドでの攻撃ではむっくんと久保田のコンビネーションを見ることが出来たものの、左サイドではほとんど見られず。それを打開するためにボランチが動いたりもしなかったので、前節同様の手詰まり感が拭えませんでした。

岡山の戦法が蹴ったあとは目の前のやつを潰す、拾えたら広いサイドから縦を狙う、サイドに出されたら逆のSHが絞って人数を補充するということ以外にあまり見えなかったので、鹿児島の守備がサイドチェンジを防いで時間を稼ぐと崩せなかったですし、鹿児島のライン間移動攻撃をどう止めるのかもよくわかりせんでした。それがそのまま失点にもなってしまいましたので、心象は非常に悪いです。

失点後は、鹿児島のギアが落ちたことで本来のサイドチェンジをきっかけとする攻撃の加速が可能となりました。しかしながら、鹿児島の粘りとアンジュンスの神通力になかなか決まらず。むっくんも幾多のチャンスを迎えますが、跳ね返されやすいふんわりクロスに終止してしまいます。これは本当に残念...

中野誠也投入後に目立ったのは守備面の修正の方でした。2トップで縦の2人を抑えて横はSHが頑張るという形に落ち着くことができました。後で見てみたら中野誠也が八反田を抑えてたのは地味に大きかったようです。

攻撃面に変化が見られたのは上田康太が投入された最後の15分ほど。浮き玉以外に前進の手段を得たことでようやく鹿児島の守備ラインを切り崩すことができ、上田康太自身のFKと中野誠也のPKゲットで怒涛の逆転に繋がりました。



反省ができるのは、挑戦した時だけ。


劇的逆転でめでたしめでたし、ではあるんですが、鹿児島も勝利に値する試合をしていたという事実までは捻じ曲げたくないというか、岡山にとっては、前節の完敗を乗り越えるための意味あるチャレンジが出来たとは到底言えないのではないか、というのが今回残しておきたいことです。

ヨンジェが勝てる分チャンス自体増やすことは出来ていましたが(関戸さんのロングキックがうまくなってるのもいいことだけども)、相変わらずCBがプレスを受けると蹴るしかないですし、前節最も修正すべき点であった相手のポジションチェンジに対する守備は今回も対応できず真ん中にどんどん通されて、その結果根負けしてボランチのミスから中央を素通しにされるという失点に至るまでの流れは前節のまんま引き写しでした。

どちらかと言えば、J2初挑戦で凡そ戦力的に秀でているとは言えない鹿児島であっても、岡山の守備の弱点(大外と中の2択への対応が遅い)に照準を合わせたボール保持を披露して、中央の数的優位とサイドの孤立との選択を迫りながらしっかりと崩してみせたという事実の方が重要に思われます。

鹿児島が良いチームであることは確かですが、前節と今節の違いは最後の放り込みで点が入ったという結果だけということになってしまいました。上田康太の配球によって精度が上がったことは改善点にはなるでしょうが、「それまでの80分は何だったのか」ということを無視することはできません。

J2は恐ろしい場所ですから、よっぽど統制がないか戦力の足りないチームでない限りは横浜や鹿児島の披露したポゼッションはどこも狙ってくるでしょう。それに対する備えがヨンジェがねじ伏せるでは駄目だったのが横浜戦だったじゃないか、というのが編集部の今節に対する深い悲しみの出処です。



違いを見せたけど勝負を決めきれなかったむっくんの口惜しみ


むっくんにチャンスが多かったというのも前節と変わらなかった点でしたが、決めきれなかったのも編集部の無念に拍車をかけています。

仲間隼斗を上げる形をとる岡山に対して鹿児島ハンヨンテのプレスによって右サイドへのパスを誘導されたのですが、逆にむっくんはヨンジェを走らせて下がったスペースを使ってみせたので攻撃の糸口としてかなり活きたましたし、どうしても点がほしい場面では仲間がちぎる左サイドのクロスに飛び込むというオプションも見せましたが、決めきれなかったっすね、、、

一足飛びにクロスではなく和音との2対2をもっと使ってPAまで入るという崩しをもうちょい織り交ぜると楽になりそうですが、おそらくは戦術的な優先順位のためにアーリークロスをぶつけまくっていたのだと思います。

ただ、鹿児島もそこの警戒は赤嶺の決定機を除けばよく準備していたので、前半最初のチャンスみたいな2対2で突破するやつの方がもっと見たかった。あれはとても良かった。

上田康太が入ってボランチのとこでボールを持とうという動きが増えたこと自体は良かったし(SHの関戸さんもすごくいい守備とパスを出していた)、投入直後の決定機の様なむっくんの攻撃チョイスの良さが出るシーンも増えてきそうです。選手の入れ替えによる変化は純粋に楽しみな部分。

しかし、有馬監督の浸透させた4-4-2の動かし方はこの2試合でだいぶメタられているという状況を踏まえていかにアップデートできるのか、という部分については不安の勝る試合となってしまいました。

上田康太さん効果以外の用意が果たしてできるのかなと首を傾げつつ琉球戦を待つことになりそうです。むっくんとの相乗効果は楽しみですけれども、編集部の疑念は深まってしまった。裏切ってほしい。


それでは。