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現地観戦記録 ザスパクサツ群馬vsファジアーノ岡山~笛吹けてないから、踊れない~



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アウェイ観戦解禁記念キャンペーン第三弾!…は最終節の予定だったのですが、むっくんがもう岡山にいないということが分かってしまったので、勢い平日の群馬ナイターへ駆け込みました。山形も行きたかったけど年末進行で睡眠が不足…うらめしや…




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正田醤油スタジアム!極寒の時にしか来てないので(2017年のみぞれの時とか)、札幌よりも寒いイメージある群馬。サッポロはドームだからね…。



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めっちゃ寒いけど試合を迎える緊張感はいつ何時も最高にテンションがあがります。



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もつ煮。命の恩人だった。



さて、試合の内容について。

長崎戦の大敗を境に勝ち無しのトンネルに迷い込んだ岡山。特に12月の試合内容は危機的な状況です。前回観に行った松本戦でもかなりの惨状だったのですが、この群馬戦も同様の悩みが続いていたので、より深刻な段階に来ているように思われました。

今回は応援が制限されたことと席がピッチから近かったことで選手の声が非常に良く聴こえました。そこに現状を理解するヒントがあるように思われたので、現地で聞こえた「声」を振り返りながら考えてみたいと思います。(むっくんが出なかったし)


結論から言うと、「笛吹けど踊らず」という言葉があるけど「笛吹けてないから踊れない」って感じがしたな。



①金山の声がむっちゃデカい


試合開始時から目立ったのは久々の先発になったGK金山の声がとにかくデカいということ。本人も気合の現れとコメントしていましたが、めちゃめちゃよく聞こえました。後半反対側にいても「サトキ!前から!」とか前プレの指示が聞こえた。びっくりした。

立ち上がりは岡山は前線にぼんぼん蹴りだし、前からプレッシャーに出てリズムをつかもうとしていました。金山が後ろから声で後押しして、前から守備に行く、という雰囲気を作れていたように見えていました。

金山の良かったところは、一人一人名前を呼んで守備にいくべきタイミングや位置を指示していたこと。「トク!裏!」「カイト!背後見て!」と最終ラインの綻びを的確に認識させ、対応させていました。特に阿部君への指示がめちゃくちゃ多かったw 前節山形戦であほほど裏抜かれましたからね。その反省ということだと思います。日々是上達。

声がデカいおかげなのか、前から守備に行くべきところも金山の指示が届き、いい感じで守備のスイッチが入る時間もありました。普段応援で聞こえないと思うので、こういう時だからこその武器かもしれません。



②守備時と攻撃時の顕著な違い


とはいえ、時間とともに群馬がボランチの立ち位置を上下にずらしてくると途端に岡山の面々は自信がなくなっていきます。金山が細かく見える範囲はDFラインまでなので、中盤のプレッシャーのずれまでは修正できません。

この辺はボランチの役割だと思うのですが、白井係長は淡々と自分で判断するし、パウリーニョは危機感が自分だけ突撃するエネルギーへと変換されてしまうタイプだし、上門はなんか元気がなくてアリバイ気味に動いてるし、関戸さんは反対側だからよく見えないし、群馬側の元気な声だけが聞こえるようになっていきます。

岡山に顕著だったのは、守備時はがんばってマークを外さないようにしているなという声が伝わってくるのですが、いざボールを奪ったときに、「フリー!」というのですが、どこで、誰がフリーになっているのか、誰も把握していないということ。(今振り返るともしかしたら群馬側の声で、この声に対応して防げてたのかも)奪った際の、相手の隙を味方に伝えるという動きが残念ながら見られず、これが群馬との決定的な差になりました。岡山が奪ったボールはすぐに奪い返されてしまい、群馬の奪ったボールは岡山の守備陣の急所を突いていくことになります。

ミスが起こるのは、すでにその局面が苦しいからです。そして、苦しくしてしまった理由は、攻撃時、もっと言うとチャンスになっているときの声のなさが関係していそうです。金山くらいデカイ声は無理だと思いますし、実際は声に出さないほうがいいとは思いますが(声に出してる時点で判断としては遅く相手の対応が間に合ってしまうということも多いでしょうから)、少なくとも群馬の選手はチャンスになるところ=SBとCHの間までボールが運べると、サイドのもう一人、中のもう一人と声をかけて、それに応じて逆サイドの選手がやってきて、フリーでシュートを打てる状況まで持っていっていました。2点ともその形でしたね。見事でした。



③”暗譜”をしている群馬との差


このように何が足りていないのか、というヒントを見つけることはできるのですが、難しいのは、序盤から声出してるレベルだととてもじゃないけどゴールまでいけないと群馬のイレブンに痛感させられたことです。声出さんでも先にわかっとるという状況をいかに作るかということなのですね。

ボランチの相方が下がればもう一人がFWの裏で必ずフリーになる、そこでボールを持てば逆サイドが必ずフリーになる。そういうパターンがはっきりと群馬の選手たちにはあり、何も言わなくても敵陣まではボールを運べるという状態になっていました。そこからはケースバイケースなので声を出し合う、という流れになっていましたね。

後半の岡山は、自分がボールを持っているときに「声を出し合う」「味方にアピールする」ということが増えて、中央でキープして、サイドを押し込み、サイドバックがフリーで受けて、フィニッシュを狙う、攻撃の流れを作ることに成功しました。目を見張るようなロングパスが金山からぴたりと飛んできたりとかもしてたので、やはり選手を躍らせるものは優れたチームワークと指揮系統なんだなと実感します。

とはいえ、群馬が先行していたのもあるでしょうか、最終局面では守備を固める群馬の方がアクションが早く、バックパスで撤退せざるを得ず、常にガチガチに密集した中を突破しなければならないという時間が多くなりました。そうなると流動的な躍動というものが鳴りを潜めてきます。

群馬が自動で岡山のゴール前まで迫れていたことと比べるとかかっていた労力の差は大きかったと思います。フィニッシュのシーンで群馬を上回ることはほぼなく、そういった数少ない決定機もギリギリで防がれてしまいました。あれは松原が凄かった。

このような状況で思い出すことがあって、楽器を演奏するのも楽譜をじっと見て一個一個の音符をたどりながら音を出すのと、先にどのような曲であるのかを覚えていてどのように演奏しようか考えながら演奏するのと、さらに言えば事前にこの曲はこのように演奏されるべきという研究と実践を踏まえたうえで演奏しているのとでは、出てくる音に雲泥の差があるということがあります。プロの舞台というものは最後に挙げた領域でしのぎを削っているのだと思いますし、群馬と岡山のサッカーの差には似たようなものがあるのかもしれません。

一つ一つの音符を押さえることに手いっぱいで、演奏している曲の方に意識が向いていない状態。そんな感じがしました。楽譜だけに目が行っている状態では、指揮者である監督からどれだけ指示が出ても対応するのは難しいだろうな~、と寒さに震えながら漠然と思った次第です。監督の声しかいつの間にか聞こえなくなっちゃいましたし。金山もボール持つとさすがに余裕なさそうでした。

そもそも楽譜が書けてないのか、楽譜はあるけどこの楽団には難しすぎるのか、フレーズの解釈がバラバラになってしまっているのか、誤植が多すぎて音を出しようがないのか。内情はいろいろあると思いますが、少なくとも出てきている音だけを一曲通して聴いたところですと、とてもじゃないけど楽団の体をなしていないなというのが率直な感想です。




未来へ


山形戦、群馬戦と連戦でこのような状況であるので、最終節でいきなり改善することはないでしょう。それでも幕は上がってしまいます。SHOW MUST GO ONなのだ。




…とこちらは思ってるのですが、もしかしたらそこも疑わないといけないんでしょうか。いやまあそういうのはドツボにはまることなので、やめておきましょう

とにかく今季最後にもう一回むっくんのプレーを見たい。それだけでいい。山形戦のあの内容で終わりにしてほしくない。出し切れる舞台がきてほしいですし、それを掴んでほしい。


たのんます。