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むっくんだいすきクラブ シーズン3 第三話:対決、伊予のイナズマ(vs.愛媛FC)



前回までのあらすじ


前節、北九州にポゼッション力の差をまざまざと見せつけられて完敗。補強もうまくいった、新監督熟成の二年目、むっくん大復活、覇権待ったなし!と息巻いていた制作班をしょんぼりさせるには十分すぎる衝撃であった。しかし憂う暇もなく連戦。だが、おお!見よ!こんなこともあろうかと制作班はコロナ明けの過密日程を予測して抜け目なく水曜日曜に休みがとれるよう立ち回っているのだ。勝ったなガハハとDAZNを開く制作班を待ち受けていたのは、ターンオーバーしてないむっくんと伊予の曲者たちであった…




試合概要


愛媛FC 0-1 ファジアーノ岡山


ゴール
 55分:山本大貴 0-1 


交代
愛媛
 56分:西田→有田、藤本→丹羽、清川→長沼
 65分:渡邉→川村
 85分:西岡大志→惣那
岡山
 65分:山本→齋藤
 75分:上門→野口、関戸→パウリーニョ
 85分:イヨンジェ→清水





試合内容について


関戸さんとの顔面偏差値コンビ再結成


試合内容についてはSTの山本君のプレス圧力とCH白井のポジション調整が絶品すぎて愛媛のポゼッションが70分近く機能停止してしまったということに尽きると思いますので、いつも以上にむっくんどアップ、果汁100パーセントでお送りしたいと思います。

まず今節のむっくんトピックとしては同サイドを担当する相棒が上門から関戸さんに変更となった点ですね。このコンビは顔面偏差値がリーグ屈指といわれており(当局調べ)、たいそうやんごとなき右サイドとなっております。

冗談はさておき、実戦上の効果についてですが、前から捕まえて時間とボールを奪うという岡山のゲームプランにマッチしたものとなっていました。愛媛のCB3人に対して岡山は2トップに加えてボールの出るほうのSHが突出して愛媛のポゼッションから自由を奪う方針で、そのためにはSHにはとにかく走ってもらう必要がありました。これが関戸さんにはぴったりでしたね。

この前線の動きに追随する形でCHとSBが目の前の選手に張り付いてパスコースを奪うという岡山の守備は大きく機能しました。ここで仕切り直しのバックパスや二次攻撃につながりそうなこぼれ球に間断なく食らいつくST山本君と縦パスの出てきそうなスペースを察知するCH白井が絶品の働きで、彼らのおかげで岡山としてはいい守備からいい攻撃、そして次のいい守備へという局面の好循環をつくることに成功しました。

ここでは徳元の働きも特筆したいですね。北九州戦では悪目立ちすることになりましたが、それはチームの守備が機能しなかったからであって、チームが機能すれば対人守備はきっちり強く奪えますし、奪った後のパス展開も愛媛の隙をつく見事なものでした。先制点のきっかけとなったのも徳元から上田への強いパスからでした。愛媛の準備が整う前に上田につなげたことで上門が空き、上門がミドルかパスか判断する余裕を得ることも出来ました。この試合の徳元は素晴らしかったと思います。



”伊予のイナズマ”長沼洋一とのタイマン決戦


山本君のモーレツプレスに象徴される「ハイプレッシャー」戦法がばっちりハマり、先制点も生まれて、岡山としては非常にやりやすい試合となりました。その流れを変えようと愛媛は3枚替えを敢行します。前線の2選手を入れ替え、左ウイングに長沼を入れてきました。

長沼は切れ味の鋭い突破力とトップ下的出自特有のプレー選択肢の多さで愛媛の最終局面を支えている選手。その切れ味は”伊予のイナズマ”として、たった今制作班が名付けましたが、恐れられています。パクリです

愛媛のボール保持が岡山の左側(右CB茂木)から始まることが多くなっていましたので、逆サイドの大外で長沼が余り、それをむっくんが見るという状況が多くなっていました。文字通りのタイマンです。左に選手が密集している分、右に振られてなおかつ抜かれてしまうと一気にピンチになります。この長沼とむっくんの一騎打ちにはわりと大きな試合の趨勢がかかっていました。

というわけで65分以降の駆け引きのうち、特に面白かったものをいくつか取り上げてみます。概ねうまく対応できており、それが岡山のリードを守ったのですが、川村が投入されてから彼にうまく動かれてしまい、かなり危なくなりました。ボールが左サイドに集まるのでわりかし地味だったとは思うのですが、ここのところの駆け引きはかなりの丁々発止であり、ひとつのポイントだったように思います(まあ、ピッチ上にポイントじゃないところなどそもそも存在しないのですが)


①58分:ファーストタッチ

むっくんの長沼とのファーストコンタクトはロングボールに対する追いかけっこでした。ここで見事に死角からのチャージで奪いとり、逆にファウルを誘います。守備者としては最高の立ち上がり。


②64分:ビルドアップで反撃

愛媛の攻撃をせき止め、いい形で攻めるという流れを継続することができていました。プレッシャーが緩まったあたりで上田のDFラインに落ちる動きからチャンス。白井、関戸とプレス選手の背後をとり、サイドのむっくんがフリーになりました。これに連動して山本が右サイドの裏を狙い、そこにむっくんのパスがぴったり。愛媛のDFラインを背走させ、さらに逆を取って折り返し中央で上門がフリーになりました。シュートはブロックされたものの、理想的なチャンスメイクだったと思います。むっくんの裏抜けパスはいいぞ。


③65分~:曲者、川村拓夢

愛媛CH川村の投入によって流れが変わります。岡山の2トップ+SHによる愛媛CBへのはめ込みが、川村のポジショニングの妙によって崩れてしまい、ボールが進むようになりました。2トップの間・2ボランチの間を巧みに突き、DFラインからボールを引き受け、さらに次の守備ライン(岡山DFライン)すらも脅かす、積極的な縦のライン移動を行っていました。

これによって愛媛は幅広く岡山の守備を揺さぶることに成功し、長沼vsむっくんの力関係も押され気味となっていきます。川村が上田の横を狙っていて、物理的にむっくんが2対1やんけみたいな状態が増えてしまいました。愛媛の支配率が高くなるにしたがって長沼はよりゴール正面へと位置取るようになり、大外には左CB前野が押し上げ厚みを作ってくるようになります。(その時川村はボールサイド、岡山の左サイドに増援に出ています)


④72分:最大のピンチ

川村の登場によって守備が後手に回り始めた岡山は、左サイドから上質のクロスを許す機会が増えていきます。中でも72分のものは危なかった。左に集めて、右に一気に振る形で長沼単騎でリーチ一発みたいなチャンスになりました。むっくんがかろうじてついていきますが、背走しながらのボール処理でよりによって長沼の足元にこぼれてしまい万事休す。ですが、濱田がなんとか間に合ってくれました。いやーこれはマジで危なかった。


⑤80分近辺:愛媛の数的優位と丁々発止

愛媛の前進を止めようと岡山も斎藤、パウリーニョを投入して抑え込もうとしますが、決め手というわけにもいかず、愛媛が岡山陣内で押し込む時間が増えていきます。愛媛の方に判断ミスや出足の遅れが目立っていたものの、数的優位を作っていたという事実には変わりなく、先述した川村のライン移動によって、むっくんは常に外と内の両方を抑えなければいけないという状況にさらされることになり、バランスを保つのが難しい形勢になっていきます。

ここの対応はむっくんが見事に読み勝ち奪いきるときもあれば、長沼がフリーで受けラストパスのチャンスを得るときもあり、形勢は難解でした。途中白井と組むことになったのですが、大きな齟齬はなくバランスを保てていたと思います。

このあたりのヒリヒリとした駆け引きは一番の見どころであったかと思います。まあ観戦中は追い付かれそうで情緒がそれどころじゃなかったですが…w 濱田が有田を潰してギリギリのしのぎを見せ、リードを守ることができてよかったです。



⑥87分:"暴れて"くる愛媛をスローインでしのぐ

後半終了も差し迫り、なお愛媛に押し込まれる状況。自然自陣でのスローインも増えむっくんがアップになる機会も多くありました。ここで前線の選手が献身的に動いて少しでもいい状態で競ろうとふんばってくれたおかげで落ち着くことができました。これは大きかったですね。

守備対応に頭も身体もへとへとだと感じさせましたが、うまく一息つけましたし、愛媛もだんだん焦りやミスで同点の機運を感じさせなくなっていきました。ファウルが多かったので待機時間で脚をのばすことができ、今日は足つらなかったですね。無事やりきれて良かったです。



未来へ


愛媛のボール保持をくじく素早いプレッシングと裏への圧力が見事に機能した試合だったと思います。ボール保持勢力となるCBとCHに対する山本君および斉藤さんの執拗なチェイスとそれに合わせて自陣の穴を機敏にふさぐCH白井の守備がチームの指針を明確にして、幾多のインターセプトを生みました。

いい形で奪うことで、いい形で攻撃ができる。そのようなサイクルができたことが大きな勝因といえそうです。

むっくんもこの流れに乗って、サイドでのタイマンで優勢をとることに成功し、ウイングの裏を機敏に狙うパスおよび突破を見せることができました。こういうぶつかり合いの展開だと一対一の強さとプレッシャーを受けたときの判断力が光りますね。夏の調子のいい時のむっくんが味わえてジューシーでした。

1点を追う愛媛が長沼を投入したあたりからはタイマン勝負がよりきわどいものとなり、特にCH川村の投入は、彼の岡山守備陣の急所を的確につくポジショニングによってかなり苦しいものとなりました。しかしその中でも、(愛媛のコンディション不良のおかげもあったかとは思いますが)、SBとCBの間を狙う有田や長沼とSBの外を狙う前野とをうまく同時に受けながらSH・CH・CBと連携して守ることができていました。特にこびん(SBとCBの間)を狙われた時の濱田の対応が心強かったですね。

かなりイメージのいい試合ができたと思います。ですが、ポゼッション面ではもう少し工夫の余地がありそうです。先制点の場面のような上田が下がって、両SBが広く構えて、空いた中央のスペースを関戸と上門が狙うという形をもう少し使えたらいいですね。そのためには、それを見せ球にして自分たちのちょうどいいタイミングを調整していくような形が必要になるのだと思います。そういう意味ではむっくんの調整力にはわりと期待しています。


それでは。