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天かえるプロローグ

雨に濡れながらの、この道は。
帰り道なのか往く道なのか、それは定かではないし決めるつもりもない。
ただ結果的にこうなっただけで、結果論で言えばひと段落なわけで。
誰も知らない傷つかない所で、悪役がのたうち回るそれだけのこと。

そんなこんな、自傷的なプロローグ

そろそろ意識が飛ぼうとしている中で、そろそろ希望も無くなる中で、1つだけ思い出すのはあの小さき物のこと。
上手く逃げられただろうかあいつは。
いや、それは希望的観測であって現実は絶望的である。
全くもって柄にもない善き事をすべきでない。
しかしどうにも気分は悪くない。

どうやら意外に円滑な断末魔

そろそろお迎えかと、次はどんな役を押し付けられるのやらと、逡巡する思いも重い。
次生こそは高らかに命を泣き叫び、不必要に酒を煽りのんべんだらりと昼間から怠惰に過ごす。家族があらば一生分の幸運を注ぎ込み、子があらば千生分の愛を分かち合う。そして、自分が自分として生きたならば、万感の拍手で迎えてやるのだろう。

なんと鮮やかに映える次回予告

そうして彼はプツリと線が切れるように倒れ込んだ。誰に支えられる事もなく。倒れ込むと同時にどこかで見ていた雨蛙が飛び上がる。まるで変わるように高らかに。望んだように自分として。やがて雨は上がり、太陽がむくりと顔を出したと同時に、天の架け橋は降りてくる。まるで誰かを迎えるように。雨蛙もまた、歓声の様に声をあげる。まるで誰かを祝福するかのように。

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