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緑翠

車窓から駆け抜ける枝葉を追いかけ
目まぐるしく変わる景色を置き去りに

間手前の心持ちで
伝え聞いたあの歌を口ずさみ

何処に征くなど終ぞも知らぬ
果ても果てでも終わりは見えず

ただ風の如く流離いて
ただ風の孤独彷徨いて

呼べど呼べど止まるを知らず
来い来いと告げられるも距離は埋まらず

ひたすらに前だけを貪り続け
いつまでも過去を顧みず

そうして生きる屍が
やがてその命の重さを知る
ついに捨て置いた物の価値を知る

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