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医学論文解説:蛋白質を多くとると死亡リスクを下げる?~医師が伝える筋トレ・ダイエット理論~

今日は蛋白質、特に植物性の蛋白質を多く摂取した方が、死亡リスクを下げるのではないかという論文が2020年7月付で出ていたので紹介します。

蛋白質の摂取量と死亡との関係を調べた前向きコホート研究を対象にシステマティックレビューとメタアナリシス(最もエビデンスレベルの高い研究手法)を行って、蛋白質の総摂取量、動物性蛋白質や植物性蛋白質の摂取量と、総死亡率や死因別死亡率との関連を調べた。BMJという、論文雑誌そのものの重要度、信頼度を示すImpact factorという指標の高い論文雑誌に投稿されている。

結論としては蛋白質の総摂取量と総死亡、植物性蛋白質の摂取量と総死亡および心血管死亡の間に有意な関係が見られたと報告した。

残念ながら、あえてここで取り上げた理由としては、これまでには蛋白質の総摂取量と長寿の関係を検討した研究では、一貫した結果は得られていなかった。なので、これは「筋トレ✖蛋白質摂取=最強」説を後押しするかもしれないと思われる論文になります。

あまりに細かいことを話すとわけわからなくなるのでざっくりと、

世の中に星の数ほどある様々な文献の中から一般的な健常成人(小児や慢性腎臓病、透析、進行ガン患者、重度の疾患がある患者を対象にした研究を除く)計32件の前向きコホート研究を系統的レビューの対象として、31件をメタアナリシスの対象としたそうです。
まあ、要するに色んな論文をまとめて解析してみたってことですね。難しい方法論はさておいて。

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<結果>

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<結論>
1、蛋白質そのものの総摂取量が多いことは、総死亡リスクが低いことと関係
2、植物性蛋白質の摂取量が多いことは、総死亡と心血管死亡のリスク低下と関係
3、動物性蛋白質の含有量が高い食事の代わりに、植物性蛋白質の多い食事を取れば、余命が延びる可能性を示唆

ただし、分析対象となった研究の多くが西欧で行われたものであり、それ以外の国では当てはまらない可能性があるってこと。ここは特に気を付ければなければなりませんが、我々は日本人です。西欧人とは医学的にも圧倒的に異なりますから。全てをを鵜呑みにしてはいけません。

繰り返しますが、これまであまり一貫した結果は得られていなかったこと
=すぐには結果は分からない
=大差ないんじゃないかな  ってことになります。

論文は一つの考え方ですから、それも宗教みたいなもので、科学的にはそんな結果が出ましたけれども、信じるか信じないかはあなた次第です、ってことです。

ま、私も人ですから都合のいいことは信じたくなります(笑)

Take Home message
蛋白質、特に植物性蛋白質は死亡リスクを下げる?
結果的には、筋トレ✖蛋白質摂取は最強かも?


以下、参考文献
「Naghshi, Sina, Omid Sadeghi, Walter C Willett, Ahmad Esmaillzadeh. Dietary Intake of Total, Animal, and Plant Proteins and Risk of All Cause, Cardiovascular, and Cancer Mortality: Systematic Review and Dose-Response Meta-Analysis of Prospective Cohort Studies. BMJ, 2020.7.22, m2412. https://doi.org/10.1136/bmj.m2412. 」
https://www.bmj.com/content/370/bmj.m2412

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