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『靴修理の職人さん』の推しがいる。

ごあいさつ

どうも邪念(36)です。👞
ファッションをみつめる初老の事務職女性です。
わたくし、数はたくさんは持ってないのですが革靴が好きでして、メンテも真面目にやっているほうだと思います。
きょうはそんな私が靴の修理屋さんに行くたびに痺れてしまう推し(職人さん)の話をしていきます。

①出会い

初回、3足くらい、お磨きと裏張りとヒール補強を頼んだ。
「このトッズのやつだけ、作りが特殊なので2日かかります」と言われた。見てすぐ言われた。
ちなみにトッズは、革靴と仲良くなるためメルカリで購入し、しばらく履いてたやつである。その後足に合わなくて自分のテイストにも合わなくて売ったけど、靴自体は可愛くて手放すのは少し惜しかった。

ほんとに事務的な会話だけして、その日は終わった。職人気質なお兄さんだなぁと思った。

②靴のことはすごく喋る

2回目、私は某所で購入したショートブーツを持ち込んでいた。今は亡き、タニノクリスチーという高級ブランドの、現在は入手が難しい靴のマイサイズを見つけたので、ついコレクション的に買ってしまった。ファーがあしらわれており、小動物には申し訳ないけどラビットとか、ミンクとか、おそらくその手のものだ。
履くと脚がプードルみたいになり可愛いので、おばあちゃんになりラブリーに履けるようになったとき常用しようと楽しみにしている靴。

しかし、私は高いヒールが苦手で、この靴を履いて歩ける靴にしたかった。

前回と同じお兄さんだなぁ…と思いつつ
「これのヒールを1センチか1.5センチくらい切れないでしょうか」と頼んだ。

そしたらよ。

「それくらいなら切れますけど、5ミリくらいでも結構体感変わるので、いまから一旦切るので履いてまた確認してもらえますか? つま先の角度とか変わっちゃうので。これは形的にはそうでもないですけど。いや3センチ切ってとか半分にしてみたいな人もたまにいるんですけど、バランスおかしくなっちゃうんですよね(ほぼ原文)」

ひと息ですごい喋るじゃん。この圧、このプロの譲れない思い、客の『ヒール低い方が好き〜』より老舗靴ブランドの製品の質とデザインと靴の構造をリスペクトするこの姿勢。

その意気や良し…!お兄さん…これからもあなたに頼むわね…!!と心の中の資産家マダムがスタンディングオベーションしている。

結局、5ミリだけ切ってもらった。くつが可愛いので納得している。
でもわかる。ヒールが高い方が可愛いデザインの靴ってあるよね。ブーツはそれが顕著なやつが多い気もする。
その靴はヒールも太くて歩きやすいほうではあったので、がっつり切るより後悔しなかったと思う。
お兄さんありがとう…😭😭😭

③さすがに神対応すぎて胸熱。

3回目、私はかなりお気に入りの靴について例のお兄さんに助けを求めた。ブラウンで、モンクストラップで、ミドルヒールの靴で、なかなかない、ちょうどいい高さのヒールの本格革靴。これも中古だけど、奇跡のように足にぴったり合っていて、裸足で履いてもまぁまぁ歩ける。これがだめになったらどうしよ…と思ってる靴なのだけど、色が抜けてきて白っぽくなってきてしまった。補色のため茶色の靴クリームを買おうと思ったけど、色選びがわからなすぎたのだ。東急ハンズに向かおうとした足で、思い立っていつもの修理屋に向かった。

『とくに修理とかじゃないんですけどこの靴に合う色の靴クリーム教えてくれませんか』
と、言うのがかなり恥ずかしかった。世の中ただのものなどなく、知識がある人に何か教えてもらうのは当然のことではないことは、さすがにわかっているけども、「確実にわかりそうな人」は、1人しか知らない。

『わからんですね』

おぉ…そうか…変なこと聞いてごめん……と思っていたら。

『靴とクリーム並べないとわからないです。こういうのネットで色見てもわからないんですよ。お手入れはどうしてますか?リムーバーはしてますか?してるんですね、それは大事なんで、落とすのは大事なんで。そのあと何塗ってますか、あ、デリケートクリーム入れてるんですねそしたらそのあと無色のクリーム載せてもあんまり艶出ないでしょ?毎回じゃなくていいと思いますよ。無色のクリームずっと続けてると靴白くなってくるんですよね これ磨いてみましょうか?』(たぶんほぼ原文)

ぉ…おお…?! 
いま履いてるやつで脱ぎたてだけど大丈夫ですか? ってなったけど、お願いすることにした。正直靴はタイミング的には磨いたばっかりだったけど。最初から磨きを頼めば、さりげなくクリーム聞けたしそうすればよかったな…。

ものの数分で、綺麗な色になった。みちがえた。

磨いてる間、少しお話しできた。
黒のクリームはサフィールのクレムを使ってることとか。そしたら、クレムはいい、素人が使っても艶が出る、あっでも高くなりましたよね、そうそう他のところもわりと値上がりしてるけどサフィールは早かった…とか。
そして、『普段から自分で手入れしてすごいですね』と褒めてくれた。『デリケートクリームも別に悪いとかじゃなくて、柔らかくはなるんで、ただ頻度落としてもいいと思って』とフォローもしてくれた。優しいー。なんかめっちゃ脳汁が出た。私が好きでやってることなのに…靴のお手入れやってて良かったな…☺️

そして、どれを使ったか何種類かのクリームの色を見せながら説明してくれた。
『帰り、どこかで同じのさがしてみます』そう言うと、『仕入れてまだ使ってないのあるから、これでよければ値上げ前の価格で譲りますよ』と言ってくれた。
正直ハンズとかに寄るのがだるくなってきてたのでとてもとてもありがたかったし、おそらくメニューにないだろうに親切な販売対応をしてくださり心底嬉しかった。なんかこういうことすると帳簿とかめんどくさそうじゃない? インボイス制度とか…私よく知らんけど……。お兄さんがすごく手間とかじゃないといいんだけど……と、思いながら、私は帰路についた。生まれ変わって2人とも独身だったらあのお兄さんと結婚しても良い……とまで思考がいきついた(洒落怖)。まじで我ながら発想が怖い。飛躍が早い。

なんてことない世界で、ほんのり光ってるもの見つけたのでこれはきっと推し活。

まあ毎日いろんなことがあり、世界情勢もめまぐるしく、給料も上がらず、物価はあがり、寿命いつまでだろ…とか思ったり、このうすぎたねぇ世の中ですが、人間の魂が美しいということだけが、心にひとすじの…なに…? なんかもう語彙力と集中力が尽きてきちゃったんだけど…人間の魂っていいよね……という話で、あとは、正しく継続している魂は、結晶化していて、容易に他人が触れられない、ガラスドームの中の薔薇みたいになっているのがまたたまらんよね…みたいなふしもあり、あの…長くなったから巣に戻るね……という感じです(酔ってる?)。

ではでは、邪念でした。お兄さん逃げて!

(邪念 2799文字)

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