プロフ用完成B

OnePhotoProjectのご紹介(前編)

こんにちは、Tasukuです。

ここでは、僕が推進しているOnePhotoProjectについて紹介します。

OnePhotoProjectとは?

OnePhotoProjectとは、国内で普通に生活している人と、発展途上国に住む人を、旅人がインスタントカメラで撮る1枚の写真「OnePhoto」によって繋いでいく活動です。

具体的には、まず、旅人はインスタントカメラのフイルムを出資してくれる「参加者」から預かります。

預かったフイルムを持って、旅人は旅に出ます。
そして、旅の中で出会った様々な人に、交流のきっかけや感謝のしるしとして、その人の写真を撮り、フイルムを渡します。
ここで、渡す前に、スマホやデジカメで渡すフイルムを撮影しておきます。

旅人は旅から帰ると、出会った人に渡したフイルムの写真に、その人はどういう場所で出会い、どんな人だったのかといったエピソードを添えて、参加者に報告し、役割を終えます。

参加者は、預けたフイルムが実際にどんな人に届いたのか、旅情を感じながら報告を受けることができます。

旅人は、参加者からフイルムを預かることによって、より多くの人に写真を渡すことができ、またその分だけ、言葉を交わせない人とでも交流することができます。(フイルムは1枚100円近くするので、全てを旅人だけで用意するのには限界があるのです)

旅先で出会った人は、自分や家族の写真をもらうことができます。詳しくは後述しますが、たった1枚の写真であっても、彼らにとってはとても大切な意味を持つことが多いのです。


たった1枚の写真が、「出会った人たち」にどんな意味を持つのか?

写真があふれ、インスタグラムが流行っていたりする私たちの社会からすると、写真1枚をもらって本当に嬉しいの?と思うかもしれません。
そんなことよりチョコを1枚あげるほうが喜ぶんじゃない?食べられるし、と。

実は僕もそう思っていました。
というか、そもそも始めは「もらって嬉しいのか」なんて考えもせず、ただインスタントカメラの持つ「その場で写真が出来上がる即興性」が、初めて見る人にはそれはもうバカウケするので、僕の旅を楽しくするツールとして使っていました。

その考えが変わったのは、ネパールでの旅です。

ネパールでは、若いガイドひとりについてもらって、アンナプルナ周辺をトレッキングしながら村を回っていました。旅の途中でガイドに、インスタントカメラで撮った写真を渡していることを伝えると、「きみは素晴らしいことをしているよ!」と言いました。

ガイドは続けて、
「実は、僕自身、幼い頃の写真がないんだ。他の兄弟もみんなそう。いまは甥っ子もいるから、ぜひ僕の村に寄って写真を撮ってほしい!」と言いました。
そして実際に撮り始めると、
「うちの子も撮ってあげて」と次々と言われるようになりました。
そこで初めて、相手にとっても価値のあることなんだ、と気付いたのです。

それから村を回っていると、幼い頃の写真だけでなく、「自分の家族写真」や「生前の祖父母の写真」など、”大切な思い出”を写真で振り返ることができない家が多くあることに気づきました。

日本で生活している私たちには、
「赤ちゃんの時はこんなに可愛かったね」
「このときの家族写真、素敵だね」
「このころのおばあちゃんはまだ元気だったなぁ」
と、大切な思い出を振り返ることができますが、彼らはそれができません。

この経験から、僕はいっときのチョコよりも、写真を渡したいと考えています。

また、写真を渡す活動を語る上では、発展途上国でのカメラ付携帯電話やスマホの普及についても触れる必要があると思います。それについては別の記事にまとめました。こちら


インスタントカメラは、旅人に何を与えるのか?

僕が初めて一人旅に出たのは、大学を卒業する直前でした。
人見知りな性格ながら、バックパッカーとして旅する人に憧れて、自分も挑戦してみようと思ったのがきっかけでした。

行き先はラオスでした。
ラオスを選んだのは、本当はブータンに行ってみたいけど、ツアー限定で価格も高い、ラオスなら周りに行ったことある人はいないし、ブータンと同じ内陸国だから近いものがあるかも?という、とても不純な理由からでした。

しかし、いざ旅に出てみると、人から聞いていたようには、うまくいきませんでした。
それはトラブルがあったというわけではなく、むしろ”何も起こらなかった”のです。

振り返ればその原因は明らかで、僕自身が心を開いて旅をしていなかったのです。
詳しくは別の機会に書きますが、旅で面白いことを引き寄せるためには、運ではなく、旅人側の姿勢がとても大事です。
その時の僕はそんなことに気づく由もなく、「これだったら誰かと”旅行”したほうが面白いかもな…」と思い始めていました。

そんな旅のある時、ボート漕ぎのおじさんに誘われて、メコン川を遡ったところにある遺跡に行くことにしました。
ボートにはドイツ人一家が相乗りしていたものの、はじめに挨拶を交わしただけで、特に関わることもなく、目的地の遺跡に着きました。

遺跡には、十数人の物売りがいて、供え物なども売っていました。
遺跡をめぐった後、物売りの中に、赤ちゃんを連れた女性がいることに気づきました。


インスタントカメラの「チェキ」を持っていた僕は、赤ちゃんと一緒に撮ったら喜んでくれるかな?と思い、パシャりと1枚撮りました。

カメラからフイルムが出てきても、始めは白いままで、母親は不思議そうな顔をしています。次第に自分と子供の姿が浮かび上がってくると、満面の笑みになり、周りの人に見せ始めました。

すると、他の物売りも笑顔で僕に興味深々になり、「みんなで集合写真を撮ろう」と言って、写真を撮っては、白いフイルムを真剣に見つめ、浮き上がってくると大笑いして、みんなで回していました。

その時の僕らは、物売りと観光客の関係ではなくなっていたのです。僕は夢中でコミュニケーションをとっていました。

帰りのボートでは、一部始終を見ていたドイツ人一家から質問攻めを受けました。「どこから来たんだ」「日本か、その機械も日本製か」「最高にクールなアイデアだ」「息子はサッカーをやっているんだ。日本にはカガワがいるだろう、いい選手だ」「日本では何をしているんだ」などなど。行きとは大違いに盛り上がりました。

それからは、僕の旅への姿勢も変わり、お坊さんと知り合いになったり、同じ旅行者と仲良くなったりと、全てが好転していき、とても楽しい旅になりました。チェキでの交流は、僕の心を開き、新たな出会いを呼び寄せてもくれたのです。

僕はその後の旅でも、チェキを持ち歩いています。

1枚撮るごとに、大人も子供も僕の手の中にあるフイルムを覗き込んでくる。その度に、肩が触れ、手が触れ、髪が触れて、熱が伝わってくる。こんな経験は、普通の旅をしていたらなかなかありません。

インスタントカメラを使うと、一人ひとりとの距離が縮まり、たくさんの笑顔が生まれます。それは、飴やチョコを受け取った子供達の表情とは全く違うものです。

旅人でありながら、旅行者に対する見えない壁を消し、人と人との関係性を築いてくれる、それがインスタントカメラが旅人に与えてくれるもの、と言えるのかもしれません。

後編では、僕の一番印象に残っているエピソードなどをご紹介します。

後編はこちら


たくさんの応援ありがとうございます。