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スマホ × 発展途上国 写真は身近になったか?

ここでは、僕が進めているOnePhotoProjectに関連して、スマホの普及によって、発展途上国で写真は身近になっているのか、ベトナムとネパールの農村部を実際に歩いて感じたこと、それが写真を渡すOnePhotoProjectにどのような影響を与えるのか、を紹介します。(OnePhotoProjectの詳細はこちら

ベトナムやネパールでの様子

ベトナムやネパールでは、街から何時間もかかるような山奥でも、カメラ付携帯電話やスマホ自体は、ここ数年でかなり身近なものになっているようでした。

例えば、ベトナム北部に、中国と国境を接しているハジャン省という山岳部の地域があります。この地域ではモン族やザイ族など様々な少数民族が農業を中心として暮らしています。

ここでは、週に1度くらいの頻度で、地域ごとにマーケットが開かれます。地域ごとと言っても、広大な自然の中なので、それぞれの村々から大きな籠を背負いながら何時間もかけて歩いてくる人が多いようでした。とても大変そう・・・

マーケットはとても賑わっていて、買い物の場であるのと同時に貴重な社交の場にもなっています。若者にとっては出会いの場にもなっているとか。

道端では、牛や豚や犬、自家製の焼酎などに並んで、携帯電話やスマホが売られています。いきなりイマドキのものが目に映るので、少し面食らいました。

もちろん売られているからといって、気軽に買えるものではないはずですが、売られている以上、多少なりとも買う人はいるのでしょう。

訪ねた幾つかの小さな村では、直接携帯電話を見る機会はありませんでしたが、小学校に突撃した時は先生がスマホを持っていたので、生活の中でも縁遠いわけではなさそうです。

一方ネパールでは、個人でトレッキングガイドをやっている青年の実家の村に泊まる機会があり、農村部のフツーの生活をじっくり見ることができました。

家に水牛、山羊、ニワトリがいるのは当たり前で、食事は練炭で調理した炒め物やダルスープに、しぼりたての牛乳、自家製ラッシーを、最小限の灯りの中、土間にゴザを敷いてみんなで楽しく食べる生活です。もちろん冷蔵庫はないので、ラッシーやバターは棚で保管して作ります。

朝は寒い上に山間なので、始めに陽が当たる家の庭先にみんな集まって井戸端会議をする、そんな生活です。(詳しくは別の記事で)

一見スマホには縁遠いような生活ですが、それでも普段は街に出て働いているガイドやその兄弟は当然のようにスマホを持っていて、甥っ子の写真を撮っているのでした。


そんな彼らへ「写真を渡す」こと

ベトナムやネパールでの旅でわかったことは、生活水準が低いからといって、携帯電話やスマホが縁遠いものであるとは限らないということです。

先ほど書いたように、発展途上国の小さな村であっても、誰かひとりくらいはカメラ付携帯電話を持っていたりします。
つまり、写真を撮ること自体は、かなり日常に近づいているのです。

しかしそれは、あくまで携帯電話内のデータとしての保存です。日本では簡単にプリントすることができますが、発展途上国の農村部では、プリンターもパソコンもありません。写真をプリントするためには、街へ出て、お店で現金を支払って頼む必要があります。

彼らの多くは、農業などにより日々の衣食住を足る生活を送ることはできても、余剰な現金を持っていません。いくらかあったとしても、万が一の病院費に備えたり、子供の結婚資金にしたりと、写真プリントより遥かに優先しなければならないもののために使われるはずです。

では、データとして保存していれば良いのでは?ということになりますが、日本であっても、いま自分の携帯電話にある写真データを20年、30年後も保存し続けていることを想像できるでしょうか。
ましてや、土埃など、精密機械が壊れやすい環境がある地域ではなおさらです。

インスタントカメラの写真であれば、長い年月が経っても、ほとんど色あせることがありません。
保管している限り、何度でも見返すことができます。見返して、みんなで笑うことも、時には一人で泣くこともできます。これが、現像された写真のアナログな特徴です。

そのアナログな特徴は、スマホの普及によって取って代わられることなく、価値を持ち続けると考えています。

大切な思い出を残すという、写真のシンプルな力を僕は信じて、これからも写真を渡していこうと思います。




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