20150918_12サフン

宿が見つからない…!?/旅行者ゼロの町ベトナム・サフンをさまよう

ホイアン名物カオラウ

宿に戻り、出発の12時まで時間があったので、近くの店で早めの昼食にした。

ホイアンにはいくつか名物があるようで、有名どころはカオラウとホワイトローズらしい(ネットで調べるとすぐに出てくる。)。

ホワイトローズはワンタンに似ているらしいが量が少なく主食向きではなさそうなので、和え麺のカオラウを頼んだ。 いつもなぜか添えられてる香草(特にミント)にはまだ慣れないが、太い麺はコシがあって、なかなかうまい。 

食べ終わってゆっくりしていると、宿のスタッフがやってきた。

僕を見るなり、「もうバスが来てるぞ」と言う。時計を見てもまだ11時45分。

どうせ遅れるだろうと思っていたのに、早く来るパターンがあるとは・・・。急いで会計をし、宿のスタッフに別れを言って、バスに飛び乗った。

バスは12人乗りくらいのミニバスで、すでに数人若者が乗っている。

出発したバスは、途中の町や道端で客を乗り降りさせながら進んでいく。観光客が使うことのないローカルバスなので、運転手含め全員ベトナム人で英語は通じない。

旅あるある「個人経営バスの不思議」

こういうバスに乗るといつも不思議に思うことがある。

ミニバスであればどれもそうだと思うが、運転手の他にアテンド役の人が乗っている。アテンド役は運賃の徴収をするのは当然だが、時折電話をしている。たぶんそれは、途中で乗りたいという客からの電話なんだろうけど、客とアテンド役はどう繋がるのか。

どう見ても個人経営のバスだから、客は東京無線のコールセンターに電話する感覚ではないだろう。客がたくさんのアテンド役の電話番号を知っていて、近くを通るのを狙い澄まして電話しているというのも少し変だ。時間通りに運行することも少ない。

その上、店の前でバスが停まって声をかけるが誰も乗らないこともある。そうなると事前に乗客を全員把握しているかも微妙だ。

(誰かが)各国の乗り合いバスをフィールドワークして実態解明すると面白そうなのに。闇のブローカーとかが出てきたり。そういえばスリランカだと最初の町を出るまで、ドア開けっ放しのノロノロ運転で「誰か乗る人いねぇかぁー!」ってずっと客引きしていた。客引きされて乗るものなのか・・・。(続く)

サフンに到着

バスは国道1A号線を休憩を挟みながら、ひたすら南下する。

14:30ごろ、突然バスが停まり、「サフンに着いたぞ」と言う(雰囲気)。

聞いていた予定より少し早かったが、経験上、バスのアテンドは嘘つかない!と思っているので素直に降りた。降りるとすぐにバスは去っていった。

降ろされた場所はホテルの前。4階建てくらいの簡素な地方ホテルで、泊まるには値が張りそうだったが、ここではないにしろ、その町の宿の情報を聞こうと思って中に入った。

しかし、中国式の装飾がされた屋内は閑散としていて、カウンターには誰もおいなかった。声をかけてみたが、誰も出てこず、客の気配もない。

どうしてだろうか。しばらく粘ったが、早く宿を確保しなければいけないので、諦めて海岸線に沿って続く国道を歩き出した。

サフンについては、事前の情報はほとんどなかったが、唯一、バイク旅をしている人のブログで数件の宿が並んでいると書いてあった。

きっと宿は国道沿いにあるはずだけど、そもそも自分がいまどこにいるのかわからない。しかも商店らしい商店もなく、話を聞けそうな人がいない。当然外国人もいない。とりあえず進んでみるしかない。

しばらく歩くと、交番のような、バスの待合所のような建物があった。覗くと、おじさんがひとりいたので、ホテルがどこにあるか聞いてみる。しかし、英会話どころか「hotel」が通じない。冗談みたいだけど、寝るポーズをして「寝る場所」を一生懸命伝える。

伝わったのかわからないが、おじさんはただ進行方向を指差して頷いている。自分から聞いておきながら、希望と不安が同じくらい湧いてきた。 

 ✴︎

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暑い。

バッグが重い。

そして時間が経つにつれて今晩の宿が不安になってくる。

もう半分やけくそで、海に出てみようと思った。

海岸線と地図(Google Mapのスクリーンショット)を見比べたら何か分かるかもしれない。なにより、この内向きな気分を変えたかった。

そこからしばらく歩いて、ようやく、ようやく、海へつながる道を見つけた。

海が見えた!

とりあえず荷物を下ろして海に近づき、からだいっぱいに伸びをする。そうすると、体は軽くなり(荷物降ろしたから)、まだ何も解決していないのに、きっとどうにかなる!と根拠のない自信が湧いてきた。

海ってすげぇ。

海岸線を見ると、先の方に建物が続いている場所があった。荷物を背負い直して、国道に戻る。相変わらず暑いが、足は少し軽い。

宿をみつけた!・・・のに?

サフンに降り立ってから、1時間半くらい経ったと思う。民家の並びに少し高い建物があった。通りの看板には「HOTEL」と書いてある。

だいぶ歩いたが、やっと2件目の宿が見つかり、疲れが吹っ飛ぶ。さっそく意気揚々とフロントに向かう、、、が、誰もいない。

この町はいったいどうしたんだ!状態。HOTELって宿以外に別の意味があったっけ?と本当に混乱してくる。

この建物の隣に食堂のような場所を見つけ、中を覗いてみた。

テーブルばかり並んでいる中で一組だけ中年の夫婦がいる。他に頼るものがないので、近づいて声をかけてみた。しかし声をかけるなりすぐに目をそらし、話も聞かずに手を横に振って「よそにいってくれ」というポーズをされた。

こちらが勝手に田舎にやってきてるのだから多少は仕方ないけど、なんだか余計に困惑してしまった。

再び歩き出そうと外に出ると、隣にも「HOTEL」がある。そしてその隣にも。やっとネットに書いてあった場所を見つけたんだ・・・!さっそく中に入ると、またしてもフロントには誰もいない。

それでも、藁にもすがる気持ちで誰もいないフロントに「Excuse me」と声を掛けていると、奥から女性が眠そうに目をこすりながら出てきた。

僕が旅行者だとわかると「ちょっと待ってて」という手振りをして、旦那を呼んできた。旦那は「部屋なら空いてるよ」と言ってくれた。こうして、ようやっと今日の宿が決まった。

前の2件の宿に人がいなかったのは、きっとこの「お昼寝タイム」に当たってしまったんだろう。お昼寝タイム・・・。なんにも言えない。

部屋に着くなりドッと疲れがやってきて、フロントで買ったスプライトを一気飲みして、しばらく寝転んだ。

メロウな夕暮れ/人の優しさ

日が傾いてきた頃、宿の裏手にあるビーチに向かった。

宿とビーチの間には防風林があって部屋から海を見ることはできないが、よく言えばプライベートな道があって、海に通じている。

ビーチと言っても何も整備されていない長く続く砂浜。ぱらぱらと地元の人が散歩している。思い思いに夕暮れの、昼から夜へと変化していく時間を過ごしている。

砂浜に座って裸足になり、ぼーっと海を眺めたり、本を読んでいるだけで、とても心地いい。

喧騒はない。聞こえるのは静かな波の音だけ。遠くに水平線が長ーく続いている。風が柔らかく変化しながら体にぶつかる。

少しづつ落ちていく日の中で本を読んでいると、4人の青年が声をかけてきた。「一緒に海に入らないか」と言う。「ありがとう。でもいまはやめておくよ」と伝えると、彼らは海に入っていった。

きっと、見慣れない外国人がひとりでいるから誘ってくれたんだろう。言葉はわからないけど、優しい。

宿の1階の食堂でベトナムのテレビを見ながら、ひとりラーメンのようなものを食べていると、オーナーの娘二人(ちびっこ)がやってきた。

ちびっこたちは恥ずかしそうに近づいてきて、紙とペンを出して、「電話番号書いて」と言う。可愛いすぎて思わず笑ってしまったが、応えてあげると満足げに引き上げていった。

客の電話番号を集める遊びでもしてるんだろうか。もちろん帰国後も何も起きていない。

サフンは静かで、海のある穏やかな町という印象だった。ゆっくりして、余計なものが何もない浜辺に浸りたい気持ちもある。

けれど、タイまで行くことを考えると、次の街に進んだ方が賢明そうだ。それに、ゆっくり留まることを焦る必要もないかな、と思った。

次の街の候補には、カンボジアに入国することを考え、内陸の街プレイク(Pleiku「ク」にアクセントのよう)が思いついた。

オーナーに聞くと、なぜプレイクに行くんだとか、カンボジアに行きたいなら他に手段があるぞとか親切心ゆえにしばらく話が噛み合わなかった。

結局、「定期便はないが、なんとかしてやる。何時に出発したいんだ?」とのこと。俺が時間決めていいの?と少し不安になりながら、7:30にロビーで待つことで決まった。

宿には時折ヤモリのキャッキャッという鳴き声だけが響く。

部屋に戻ると、本を読んでいるうちにいつの間にか眠ってしまった。

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