【読書】伊与原新「オオルリ流星群」

「オオルリ流星群」という小説を読んだ。面白かった。高校時代に協力して巨大なタペストリーを作った5人が20年以上の月日を経て再会し、今度は手作りの展望台を作ろうとする話。5人のそれぞれがみんな友情バンザイ的な心境であるのではなく、1人は家業の調子が悪く妻から展望台づくりに時間を割きすぎることに反対されている、1人は仕事を辞めて司法試験の勉強をしている宙ぶらりんな状況、1人は心の状態が思わしくなく自宅にこもる日々が続いている、1人は他者との協力に価値をおかず自分のペースで淡々と作業をする、1人は人間関係で若干思うところがある、という関係性である。そして、もう1人のこのチームのまとめ役、発起人的な人物はすでに亡くなっている。それぞれ問題や悲しみを抱えている状況というのがおそらく45歳のリアルだろうし、その中でのエンディングは心動いた。中高生向けかなとも思った、それより歳を重ねた自分が読んでも面白かった。

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