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【時事】LGBT理解増進法 情報整理

成立して数ヶ月経過したところで、一旦この情報をまとめてみようと思います。

法案の条文はこちら


001.日本は性的マイノリティに差別がなかった?

江戸時代以前は寛容だったという事実は有名(戦国時代、織田信長や武田信玄や伊達政宗など、有名な武将も男色だったという記述が残っています)ですが、明治時代初期になると同性愛者に対する風当たりは強くなっていきます。当時の日本は文明開化で西欧の知識を取り入れており、その西欧では同性愛者を罪悪視し異常性愛に分類している考えが主流だったので、我が国にもそのイメージが染み付いてしまいました。

1873年には「同性間性交渉禁止条例」が施行されます。(ただ、この条例は長くは続かず、1880年に発令された刑法ではこの条例は消えています)

今の若年層からは考えにくいでしょうが、筆者が若い頃にはゴールデンタイムの人気バラエティ番組でホモセクシャルを面白おかしいキャラとして描いているものもあり、当時の私でも「これ、同性愛者は嫌がるんじゃないかなぁ」と危惧した記憶があります。

1980年代後半から1990年代にはAIDSと同性愛者が結び付けられて語られました。(人権ライブラリー)実際はヘテロセクシャルでも同じように感染は広がるのですが、おそらくは「避妊の必要性」の有無でこうなってしまったのかなとは思いますが…。

「日本にLGBT差別がない」なんて事は決してないと、私は断言します。

02.日本におけるLGBT関連年表

※自民党内の調整や衆参両議院通過の箇所は別枠で記載しています。

1872年
鶏姦律条例」(肛門性交の禁止)
1873年

「同性間性交渉禁止条例」が施行
1880年
上記「同性間性交渉禁止条例」が条文から消える
1976年
国内初のゲイ団体である「日本同性愛者解放連合」が結成
1990年
府中青年の家事件」が起きる。
2000年
新木場殺人事件
2004年
性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律成立
2015年
一橋大法科大学院生自殺事件
渋谷区と世田谷区でパートナーシップ宣誓制度が導入された
2015年3月17日
超党派の「LGBTに関する課題を考える議員連盟」発足。初代会長は自民党の馳浩議員。
2016年05月27日
日本共産党、民進党、社会民主党、山本太郎となかまたち、生活の党が「性的指向又は性自認を理由とする差別の解消等の推進に関する法律案(LGBT差別解消法案)」を衆議院に提出(LINK
2018年12月05日
国民民主党、立憲民主党、無所属の会、日本共産党、社会民主党、自由党が「性的指向又は性自認を理由とする差別の解消等の推進に関する法律案(LGBT差別解消法案)」を衆議院に提出(LINK
2021年5月14日
オリンピック憲章が性的指向を含むあらゆる差別を否定、東京五輪が「多様性と調和」を理念に掲げていたことなどから法案提出の機運が高まる中、LGBTに関する課題を考える議員連盟の「性自認を理由とする差別は許されないものであるとの認識の下」各党の実務者が合意。

03.自民党の公約

03-1. 政策パンフレット・政策バンク確認

自民党の公約はWEBにまとめてありますので、確認してまいりましょう。これは誤解が蔓延している気がします。

【安倍政権時】
 2016年 参院選公約 (記載あり)
 2017年 衆院選公約 (記載あり)
 2019年 参院選公約 (記載あり)
【菅政権時】
 2020年 ※ポスターのみ、公約記載なし
【岸田政権時】
 2021年 衆院選公約 (記載あり)
 2022年 参院選公約 (記載なし)

「性的指向・性自認に関する理解の増進」
性的指向・性自認に関する広く正しい理解の増進を目的とした議員立法の制定を目指すとともに、各省庁が連携して取り組むべき施策を推進し、多様性を受け入れていく社会の実現を図ります。

2016年

「性的指向・性自認に関する理解の増進」
性的指向・性自認に関する広く正しい理解の増進を目的とした議員立法の制定を目指すとともに、多様性を受け入れていく社会の実現を目指します。

2017年

性的指向・性自認(LGBT)に関する広く正しい理解の増進を目的とした議員立法の速やかな制定を実現するとともに、民間や各省庁が連携して取り組むべき施策を推進し、多様性を受け入れる社会を築きます。

2019年

性的指向・性自認(LGBT)に関する広く正しい理解の増進を目的とした議員立法の速やかな制定を実現するとともに、民間や各省庁が連携して取り組むべき施策を推進し、多様性を認め、寛容で温かい社会を築きます。

2021年

ネットでよく話題になっているのは2021年には記載があったのに2022年には記載が消えていたことでしょう。これは高橋洋一氏のミスリードが大きいかと考えています。

03-2. 高市早苗議員の公約説明

まず、高市早苗議員のスタンスを先に確認しておきましょう。(LINK
高市議員はLGBT理解増進法案策定について賛成派ですね。

では2022年6月16日の記者会見を確認してみましょう。

(文字起こし)
それではまず、参院選公約をご覧ください。今回の公約をご覧になってお気づきになられたかと存じますが、昨年の衆院選の政権公約と比べて非常にコンパクトになっております。昨年の衆院選が10月31日。8ヶ月経っていません。選挙後に会期の短い特別国会、臨時国会があったとはいえ、通常国会も本予算の編成も1回しか行っていない状況であり、政権公約の実現は今なお現在進行中でありますし、政策の方向性についても、大きな軌道修正はございません。本来、政権選択選挙である衆院選の政権公約は、「次の衆院選挙までにこれをやっていきます」という国民の皆様へのお約束でございます。今回の選挙公約をご覧になって、「政策BANKがないので、自民党は、あそこに書かれていたことはやめてしまったのではないか」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、昨年政策BANKに書いたことについては、間違いなく今後もしっかりと取り組んでまいります。

自民党参議院選公約発表2022年6月16日

これを稲田議員がまとめておられました。

03-3. 政策に書かれていない立法について

そもそもネットでの論調で首を傾げたのが「政策に記載されていないから、法案提出は駄目だ」というもの。政策は「これをやります」という事項を記載するものですが「書かれていない法案は絶対やってはいけない」というものではないです。緊急を要すものも、臨時的な特措法なども過去にいっぱい経験してきましたよね?

ドローン規制
2015年に首相官邸屋上にドローンが落下する事件がありました。2016年には重要な国家機関の周りをドローンが飛行することを禁止した法律ができました。が、この法律での規制はあくまでも重要な国家機関の周りに限られていました。令和元年の国会では、オリンピック・パラリンピック会場でも同様の措置をとることが決められました。G7やG20でも同様の規制が入ります。

民泊
民泊は、空き部屋を短期で貸したい人と宿泊を希望する旅行者をマッチングするビジネスとして急速に増加しています。有償で人を宿泊させる事業は、通常は旅館業法によって営業許可を得なければならないことになっていますが、無許可のまま民泊を行うケースが多くあり、当該施設近隣住民からの苦情やトラブルが多発したため「民泊新法」が制定されました。

天皇陛下生前退位
これは政治アカウントの方には説明不要かもしれません。平成時に天皇陛下(現在の上皇陛下)のご意向を受けて、それまで想定されていなかった「陛下ご存命中のご譲位」が行われたのです。勿論、想定外だったので公約に掲げられてはいませんよね?

公約に掲げられていなくても法案提出は可能。かつ、公約は生きていたので法案提出は普通にOKです。

04.安倍元総理が反対していたか?

筆者としては「これをミスリードに使っているパターンが多い」と思っています。

04-1. 言論テレビ、萩生田議員解説

2023年5月20日放送の櫻井よしこ氏の「言論テレビ」に萩生田議員が出演した際に明確にお答えが出ています。

安倍元総理は「LGBT差別禁止法」には反対、「LGBT理解増進法」は推進という解釈でいいかと思います。安倍元総理が危惧されたことは安倍元総理・菅前総理の答弁「不当な差別はあってはならない」に沿った内容に修正され、 安倍さんの元で党内でオーソライズしての国会で提出されています。

安倍さんが「自分で公約に掲げて、自分で国会で答弁して、ご自身の答弁内容に合わせて党内でオーソライズされて、ご自身でOK出したもの」にNG出す訳ないですよね。ここ、本当に意味わからないです。稲田議員が反対されたってのも「超党派会合による差別禁止法」の文言にNGを出して、ソフィスティケートされて提出という流れでしょう。

04-2. 第197回国会 稲田議員質問・安倍総理答弁

稲田議員の質疑がこちらです。

安倍総理(当時)の答弁も議事録に記載されています。

ここは議事録も長いので当該箇所抜粋。

社会の多様性の尊重についてお尋ねがありました。
御指摘のとおり、女性、障害者やLGBTと言われる性的少数者などに対する不当な差別や偏見はあってはならないことであります。(※筆者注釈:この文言が後の修正案のベースかと思われます)多様性が尊重され、全ての人がお互いの人権や尊厳を大切にし、そして支え合い、誰もが生き生きとした人生を享受できる共生社会を実現するため、教育や啓発の充実、適切な相談対応、人権侵害の疑いのある事案への迅速な救済等にしっかりと取り組んでまいります。

第197回国会 稲田朋美議員の質問を受けての安倍総理答弁

04-3. 古屋圭司議員・小川榮太郎対談

まずは動画をご覧ください。8分20秒の箇所です。

古屋圭司議員(大学の先輩)
「日本はそういう文化だから本来なら(法案)要らない。しかし海外からあらぬ風評被害があって日本は後ろ向きと言われる。だからちゃんと日本もやってるとメッセージ出す必要があるというのが安倍さんの考え」

04-4. 西田昌司議員解説

彼はYoutubeの「週刊西田(2023.06.29)」にてこう発言されておられます。

【文字起こし】
この法案には安倍元首相が断固反対していたにも拘わらず稲田朋美の裏切りによって推進されてしまった、稲田朋美とは西田先生もYoutube上で対談されてましたが、このことへの言及が全くない、と言われてますけど安倍総理が反対していたのはその通りなんですが、反対していたのは「前回稲田さんが野党の議連の会長として出してきた法案(超党派案)に対してダメだという話をしていた」わけです。それはなぜダメかというと禁止規定をやって何々してはいけないという形だと国民を分断したり内心の自由に関わる問題になったりしてしまうからそれは絶対ダメだと、こういうことを仰ってたんですよ。ですから、今回の法案には禁止規定が入っていない、一般の方になにか義務を押し付けるとか行動を禁止する、制限するとかそういう事は一切ありません。ここをちゃんと理解していただきたい。ですからもし安倍総理が生きておられたら、そこまで反対されるはずはないと私は思っております。この問題は安倍総理と私も一緒にやってきましたから。

週刊西田

05.民主主義の手続き度外視?

衆参両議院の法案通過は多分、皆さんあまり問題にしていないと思います。おそらくは自民党内の意見のすり合わせが出来ていないまま、反対する議員が一定数いるのをゴリ押しして法案提出に至ったイメージがあるんじゃないかなと。拙速に決めすぎたって意見もここに含まれるかと思います。検証してみましょう。

05-1. 2021.05.20 LGBT特命委員会合同会議

政務調査会内閣第一部会と性的指向・性自認に関する特命委員会合同会議を開催し、いわゆる「LGBT新法」の与野党合意案に関する条文審査が行われました。自民党案を基に超党派議連が協議し「差別は許されない」との文言を追加することで一度この法案は合意していましたが、自民党内でこの文言に対し「差別だと訴える訴訟が多発しかねない」などの異論が続出。安倍元総理の国会答弁の文言とも少しズレが生じるため、微調整を行う必要があると法案提出が見送られた経緯があります。

05-2. 2023.05.12 自民合同会議

これが「強引に法案を通し、民主主義を破壊した」とおっしゃる方のポイントだと思います。これ、のミスリードでしょう。一部略されている箇所は単純に文字数節約なので、確認されたい方は動画をご覧ください。

まず、ここご注意いただきたいのが「18対11」のカウントについて。カウントして書かれたのは山谷えり子議員なんですが「賛成と反対」ではないんですね。賛成と慎重です。

山谷えり子議員のメモ(青山繁晴議員のBLOGより)

まず、この部会の出席人数は60名。発言者が28名。上のカウントは(1名誤差があるが)発言者のみではないかなと推察。

さらにここで萩生田さんが出演した櫻LIVEから文字起こし。

【言論テレビ:櫻LIVE】2023年5月20日
司会進行:櫻井よしこ GUEST:萩生田光一、石橋文登

萩生田「十何対なんとかだから賛成が多かったとか反対が多かったっていうのは、その議論の中での発言者の数を執行部側は確認をしながらやってますから、これはまだ議論が成熟してないなと思えば続けてやる訳です。だけど、いくらその反対でも、ただ感情論で反対だけ言われて堂々巡りになっちゃったら、これどっかでやっぱり議論は終わらなきゃなんないんで、その現場としてはそのこれ以上やっても新しい事は出てこないってことで判断をしたんだと思うんです。(中略)何かその一部の報道ではね急に慌ててバタバタとやって決めたっていう風に言われるんですけど、それはそれぞれ携わった皆さんのご苦労を考えたら決してそういう事実ではないって事を申し上げたいし。自民党のルールでね、部会って決を取るとかじゃないんですよね。

言論TV 櫻LIVE

この「反対派が多いのに強行採決」みたいな論調がそもそも間違っていると解釈します。

05-3. 2023.05.16 自民党総務会

05-4. 2023.06.13 衆議院通過

05-5. 2023.06.16 参議院通過

05-6. 2023.06.16 同参議院採決時3名退席

採決時に「賛成できない」として青山繁晴議員、和田政宗議員、山東昭子議員の3人が退席しました。残りの議員は賛成です。


06.「差別禁止法」と「理解増進法」

自民の提出した「理解増進法」と超党派議連提示の「差別禁止法」、維新国民独自案、および自公維国修正案の比較の図解がこちらです。あまり情報ソースとしてWikipediaは使いたくないのですが、これに関しては一番キレイにまとまっていたので拝借。

Wikipedia

06-1. 性自認・性同一性・Gender Identity

「性自認」は自称にすぎず、「性同一性」は性同一性障害を前提にした医師の診断に基づく医学用語と解釈している方も多いようです。結局、最終的に成立したLGBT理解増進法では「ジェンダーアイデンティティ」が採用されたが、その国会審議にて「性同一性」「性自認」「ジェンダーアイデンティティ」のどちらも意味は同じだと再確認されています。

06-2. 教育関連

大人でもカムアウトする難易度は高いのに、狭いコミュニティの中で幼い子がこの問題に直面した際に自力で解決するのはなかなか難しいです。希死念慮が高い傾向があるのは統計などでご存じの方も多いかと思います。

ここはおそらく事例の集積を経てのブラッシュアップがなされていくものと思われます。

06-3. 民間団体の活動促進を削除

ここが超党派案、旧自民案との大きな違いですね。維新と国民の独自案および与党修正案では「民間団体等の自発的な活動の促進」が削除されています。過激な団体の活動を促進することを問題視しているのだとのこと。

すでに民間団体と連携し、性の多様性について啓発を行っている自治体などが多数あります。自治体から怪しい団体への公金の流れはカットの方向です。

【西田議員 週刊西田】
そもそも今の法律が何にもない状態ですらですね、この埼玉県の教育委員会に代表されるように教育の現場が非常に行き過ぎた、この前衛的なこの教育を示しているとで、これ放置しておくとどうしようもないわけですよ。だから、一つのガイドライン、これを示す方がいいじゃないかという結論に達したからなんですよ。だから今回はそのガイドラインを載せるというのが一番の肝な部分なんですね。そしてその方がマシだと。で、ジェンダーレストイレそういうことをねどんどんやっていく必要ないんだという、そういうことをやろうと。じゃあそのガイドラインにちゃんとできるのかと。これは新藤さんが提案者でしたけれどもね。それは西田さん我々が当然この閣議決定をしてやる話はですね与党のこの成長の会議で我々が目を通すんだからでそこでしっかりコンクリートできるんだよという話で、それはそうかと。

週刊西田

06-4. 留意点

これは「マジョリティもマイノリティも優遇も差別もされない」ですね。そして、ネットでよく言われていた「女性が施設を利用する際の、危険性」には関連がなく、そこは従来身体的特徴で刑法で逮捕および裁判されます。

07.安倍昭恵夫人の発言

これも誤解を招きやすいので少し整理をしておきたいと思います。前提として昭恵夫人はLGBT関連には造詣が深いし、精力的にこの問題に取り組まれるお方であることにご留意を。

07-1. 安倍昭恵夫人の発言

では、まずは当該動画をご確認ください。

皆さんにとりましても優しい主人の思い出がたくさんおありかと思いますけど、最後に私が主人に頼んだのがLGBTの友人に会ってくれということでした。(LGBT理解増進)法案の事で、私はLGBTの友人がたくさんいるので色々と批判の声がありました。主人にそれを伝えて直接話を聞いてもらえないかといったところ、主人は「いいよ」と言って一緒に食事をしてくれました。食事をしながら、飲みながら、彼らの話を熱心に聞いて、一つ一つの課題に対して、法律にしなくても、これはこういう解決方法があるんだと。
日本は昔から差別をするような国ではないんだと、議論を重ねて彼らは大変、喜んで納得をしていました。どんな人ともきちんと話をして、そして解決を見いだしていくという主人の姿に、私は本当に感謝をし、また尊敬をしていました。これから皆さま方、どうか主人がいなくなって悲しいという思いは持たれていると思います。

安倍昭恵夫人「安倍晋三元総理の志を継承する集い」

ここの「法律にしなくても」の箇所が「安倍元総理はLGBT法案を進めようとはしていなかった」という論調が結構ありましたね。

07-2. 昭恵夫人の発言の「当事者の方」ポスト

実はこの安倍元総理とお話をされた当事者の方が、この件についてポストしておられます。

大きな誤解があるのが「当事者の方の発言」でご理解いただけるかと思います。

08.米国の圧力で強引に可決?

初期の岸田政権は「親中だ」というレッテルを貼られていたのですが、最近は「アメリカのポチだ」という論調に変わっている方が散見されます。

これは米エマニュエル大使が「日本のLGBT法案可決に合わせて、米国の関与があったかのような発言を重ねていたから」です。

08-1. 有村治子議員のポスト

これに対し、有村議員がきっぱりと否定をしておられます。

有村氏は「LGBT法案に向き合う日本の現状について、大使は『日本は進化の過程にある』と公言し、日本を見下し評定するような不遜な態度は日米関係を大事にしたいと思う国民層を逆撫でし、毀損する」と猛反発。さらにエマニュエル氏がツイッターで、岸田首相や公明党のリーダーシップを称え、法案が次週に成立見込みなどと投稿したことについても「国民の代表である与野党各会派の合意によって確定をする国会運営をも愚弄するものだ」と非難した。その上で「日本は独立主権国家だ。他国の支配や干渉を受けず、国の統治のあり方を決める主権は、日本国および国民にある」と言明し、外務省側に対し「しっかりと独立国家としての矜持を持って毅然と向き合ってもらいたいと考える国民の声に日本政府を代表 する外務省は一体どのように向き合われるのか」と追及した。

SAKISIRU

08-2. 西田昌司議員のYoutubeでの説明

動画は上述(04−4.)のため割愛。以下文字起こし。

今年の2月に唐突に岸田総理からの命によって法案成立に舵を切られたが、これが米国のエマニュエル大使からの強い圧力によるものであることは明白であり、岸田首相自らによる説明が一切ないということを言われてるんですが、これもちょっと違うんですよ。エマニュエルさんがいろんなところでそういうパフォーマンス、それをやったことは事実でしょう。ただし私の方に来るとかそういう事は全くありませんが、一部そういうことをやっていたことは事実でしょう。しかしだからといって我々が動いたんじゃないんですよ。これは何で動くようになったかというと、これは総理の秘書官だった人物がぶら下がりの会見、いわゆるオフレコと言われるものですけどもね、そこでLGBTに対してちょっと乱暴な言葉を吐いたでしょう、それがスクープになって出た。それをやったのは毎日新聞なんですよ。毎日新聞の記者がそういった形でオフレコを録音して、上司に聞いたらこれ書けという話で大々的に一面に出て、総理の秘書官がこんな差別発言をしていいのかと言う話になって大騒ぎになった。だからここを抑えなきゃならないから、一旦秘書官は更迭されました。で、それだけではなくて、そういう差別を助長するようなことは良くないから、これをどう抑えるのかということでこの法案が動き出したという事で、エマニュエルさんと全く関係ありません

週刊西田

08-3. 櫻井よしこ+萩生田光一対談

動画は上記に掲載されているので割愛。以下文字起こし。

【言論テレビ:櫻LIVE】2023年5月20日
司会進行:櫻井よしこ GUEST:萩生田光一、石橋文登

櫻井「今日はどうしてもこれ聞かなきゃいけない、私もすごく自民党に怒ってることがありまして、それはLGBT法案なんですね(中略)どうしてこんなにバタバタバタっと、ものすごく批判を浴びる中で、法案にして…」
萩生田「私はねその提出をする必要ないとは言ってないんですね、要するにG7は関係ないと、G7に合わせて何かをやるっていうのは筋違いだってことを党内で申し上げてきましたし今でもそう思ってますたまたまG7の前に提出まで行きましたけど、これは議論が尽くされて、残りの国会日程を考えて現場の皆さんがそういう判断をしたということなので。別にエマニエルに言われたからやったわけでもなければ、G7に間に合わせなきゃいけなくて我々党が慌てたわけではないです。

言論TV 櫻LIVE

09.産経新聞の世論調査ミスリード

これはよくある「X上でのアンケートでは◯◯という意見が主流派」の文脈。一個人ならまだしも、これをメディアでやってしまっているのはなかなか酷いと思います。

同社のウェブ上のアンケートモニターサイト「くらするーむ政治部!」の登録者を対象に11月17日午後~11月20日午前まで実施、全国の1751人(男性1238人、女性513人)から回答があった。

産経新聞(上記リンク)抜粋

通常はサンプルが偏らないように世論調査にはRDD方式が採用されます。RDDとは「Random Digit Dialing」の略でコンピューターで無作為に数字を組み合わせて番号を作り、電話をかけて調査する方法です。上記のようにWEBSITE内の登録者アンケートには「無党派層」や「積極的に解答しない層」がまったく反映されないです。

なお、2月のアンケートではRDD方式を採用して記事にしているので、数値がまるっきり違うのをご確認ください。


10.法案後に女風呂に入る人が現れた件

この件で「LGBT法案を推し進めたせいでこんな事件が起きたじゃないか」と推進派を糾弾する方も多かったです。

この方、LGBT法案が通過する前にもやらかしているんですよね。つまり「LGBT法案があろうがなかろうが、犯罪を犯す人は犯す」というだけかなと。

11.追記

ここが大きな誤解があると思うのですが、これは一石何鳥にもなるプランだと解釈しています。文字通り、マイノリティの方もマジョリティ同様に取り扱い理解を増進し、悲しい思いをする方が1人でも減るように国が動くのが大前提なのですが、副次的要素として下記にご留意。

1. 「超党派の差別禁止法」を国会に提出させずに封じ込める
2.  海外にも「我が国はLGBTに配慮していますよ」とアピール可能
3. 自治体の独自解釈による条例の暴走を抑えることができる
4. 民間への「左派活動的な公金の流入」抑制にもなる

【週刊西田】
維新や国民民主からですね、この修正が出ましたけど、あの修正の内容っていうのはね、まさに自民党の慎重派がずっと言っていた事で、これがあの時はですね、自民党案の中に盛り込めなかったけれども今回法案にあたってですね、彼らがまさに自民党慎重派が言ってきたことをそのまま抱いていたから、じゃあこれはもう飲み込んでしまおうとということで、最後それも一緒に修正する形で入れていったんだから、このことによってですね、元々のこの2年前の与野党合意した稲田さんの時代の法案とは全然違う方になっているわけですよ。ですから、立憲民主や共産党は反対するんです。

週刊西田

12. 私見

なんか「思い込みと誤解」が暴走しているのではないでしょうか。一般的には知識層と呼ばれてそうな方まで、軒並み誤解しているような…

確かに二転三転しているし、わかりにくいから、今回はまとめもなかなか大変でした。でも、私は「国民がマイノリティの環境や心情に理解を寄せる方策は絶対にあったほうがいいに決まってるじゃん」と考えています。

優遇も差別もせず、マジョリティもマイノリティ同等。いい着地点に持ってこれたんじゃないかな。

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