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風の歌を弾け

#私の勝負曲 「気分を盛り上げてくれる曲/自分の定番曲やテーマソング」という言葉を少々発展させて書いてみたい。

これまでの人生の中でハマったミュージシャンは何組もいるが、今、久しぶりに溺れまくって呼吸困難に陥っているシンガーがいる。

藤井 風だ。

一度聴き始めると次の曲、次の曲、もう一度あの曲・・・と止まらなくなってしまうので、毎日何時に聴くかを考えて、それまではほかのものをかけて過ごしている始末。

藤井 風はオリジナル曲も洋楽カバーもどれもこれも魅力的で順位などつけられないのだけれど、聴きながら一緒に歌って、歌いきれた、爽快!と一番思うのが「Shape of You」だ。

私は英語をうまく話せるわけではないので、英語の歌詞が日本語の歌詞と同じようにスーッと出てはこない。いつも少し身構えて、さあ歌うぞ、と神経を少し集中させないと、とたんに間違えたり口が回らずグダグダになったりしてしまう。

藤井 風の「Shape of You」を聴くとき、それは私の勝負のときだ。

毎回、あーダメだった、とか、やった!間違えなかった!と一喜一憂する。こんなご時世に、そんなふうに思えるミュージシャンに出会えたことに感謝しかない。

子供の頃は楽器をやったりして、自分と音楽は地続きだったときもあった。いつしか、上達しない自分には向いていないと気づいて止めていくという、よくあるパターンを歩んだのだけれど。

そして、こんな歳になって、楽しみとか喜びというものは、外側ではなく内側にあるということを藤井 風に思い出させてもらった。私の中の奥深い地中にあったピアノ心が長い長い冬眠から目覚めてしまったのだ。

上達しないから止めたわけだから、自分の弾けなさ具合は自分が一番よく知っている。でもそれ以上に、藤井 風のピアノには自分で弾いてみたいと思わせる魔力がある。

「優しさ」のイントロの和音。

あの音を自分で弾いたとき、どんな感覚がするのだろうか。

いや、どんな感覚もなにも、弾けるわけがないし、少し弾けるかなくらいになったとしても、必死過ぎてこれっぽっちの余裕もないのは想像がつく。

オフィシャル・ピアノスコアが発売されたら、ひととおり目を通してそっとページを閉じるんだろうな。藤井 風から叩きつけられたこの挑戦状、見るまでもなく敗北の白旗を揚げている。

それでも、これからの人生の長い時間をかけて、「優しさ」のピアノスコアと勝負していくつもりだ。

藤井 風の曲は私の人生を盛り上げ、それぞれの曲がそれにふさわしい局面でテーマソングのように流れることだろう。




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