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…おかえりなさい! 〜おっさんずラブリターンズ1話〜

2024年1月5日。
時刻は23:15。
固唾をのんで、なんなら正座して私はテレビの前にいた。全国のあちこちでテレビの前にいたり、スマホやタブレットを握りしめてる同じような仲間がいるんだろうなと思いながら。
待っていたのは「おっさんずラブリターンズ」。

もうすぐ伝説のドラマの続きをリアタイできる…!

もう少し詳しいことはこのnote

に書いたけど、私はおっさんずラブシリーズをリアタイしたことがない。それをリアタイできる世界線がくるなんて!
もちろんリアタイしてたらもどかしかったり、それこそ2018年版の6話→7話は地獄の1週間だっただろう。
それでも。リアタイしたかったな…と、時間は戻せないのに常々クヨクヨ思っていたので、続編の放送が発表された時、私はすごく嬉しかった。
夢を見ているのかと思った。
そして迎えた1月5日、23時15分。
オープン・ザ・ドア。扉をあけて。
結婚式場のドアが厳かに開かれて。
そこから1時間プラス、配信のスピンオフ10分。
私の感情は上下左右ぐわんぐわんに揺さぶられた。
泣いて笑った。
 
なんてこった。すごいもの見ちゃった。
それをリアルタイムで見れたなんて。

この多幸感はほかのドラマでは感じたことがない。

座長・田中圭は続編を自分達にとってもご褒美だといい、そして、1話に自信がある様子だった。
でも正直不安だった。続編って難しい。
バックトゥザフーチャーしかり。
ダイハードしかり。
続きもすごく面白いんだけど、やっぱ最初のがすごかったなと思いがち。

特にこの作品はいろんな人のそれぞれの期待を背負ってる。
大丈夫かな…って。座長のプレッシャー半端ないだろうなって。
それは杞憂で、失礼な心配ですらあった。
みんなが見たかった春田が、牧が、部長が、天空不動産のみんながそこにいた。

これはドキュメンタリーだと思った。
5年の間彼らはちゃんと仕事していて、不動産を売り、貸し、街づくりをしていた。
そしてそれぞれ昇進していった。異動して、出張していた。
私たちは再びそれを目撃し、(主に)春田の気持ちになって泣き、叫び、戸惑い、笑う。

春田創一という名前。
春田という名前が先なのか、「spring」というファイルを作りたいから春田なのか、それはわからないけど。ドラマが春だったからなのかもだけど。
ともかくも創造主の字をその名前に抱く男。
世界でただ一人のひと。
その愛すべき造形の彼を通して私たちはこの世界に入っていく。

リターンズ1話終了後、いろんなSNSの発信を見たが、次話を今すぐ見たいと思わないというつぶやきもあり、私も含め満ち足りていたひとが多かった印象。
これよ、見たかったのは…!という感じ。

恋愛が主題のドラマはやっぱりどうしても結ばれるまでが多くて、その後の結婚生活が描かれるのは恋愛編に比べると少なめなのかなと思う。
そして、結婚生活が描かれる場合、いちゃいちゃだけで、何も事件が起こらないということはない。そこはドラマだから。

だから春田と牧の2人がひたすらしあわせそうで、笑い合って、きゃっきゃっうふふしてるのが見られるのか?また喧嘩ばかりじゃないのか?とおもっちゃったのだ。

案の定牧は狂犬チワワになり、ガウガウ言ってたけど(掃除機を投げたらいけません!)
ただいま、おかえり、の階段のハグと自撮り、カイロ顔挟みからのマフラー巻き、初詣の写真撮りっこ…。大声の「好きだー!」
そして、ただいま、おかえりのあとの夜を描いたTVer配信の「新婚初夜」…。
なんですか!あれは!
地上波では流せないけしからんやつ!(笑) 
字幕ついてなかったから細かくはわからなかったけど、もう見てるだけで絶叫…。
低い声だったという「そんなの後でいいだろ」。口の形はっきり見えたのでおそらく相当滑舌よかっただろうな。
春田も「男」なんだよね。
結婚式ではキス受ける側に回ってたけど。
普段はニコニコ、ソワソワ、ドキドキ、オドオドしてるけど、愛する人とはきっちり触れ合いたい男なんだよね。 

その春田を座長、田中圭は「ててて…」という歩き方から始まって、牧の手をとる、牧の頬を挟む、マウスの手つき、ポスティングの教え方、ツッコミなど手の動きを多用、表情筋を駆使してくるくる変わる顔、部長含め全方位に優しく(八方美人とも言う)、ダッフルコートやリュックのビジネスバック、パーカーが似合う、そんな可愛さをあっさり体現し春田を召喚する。それは決して翔太くんの可愛さではない。虎ちゃんの愛情風でもない。瀬野さん、朝陽さんみは全くない。
ああああ、それなのにブラックアウト寸前で見えない何かを解放するのやめてくれませんか…!(スキ)

牧も春田といることを心から嬉しそうにして、心がほぐれてるように見える。2018年や劇場版ではそんな顔をほとんど見せてなかった。猫被るのをやめて「めんどくせぇ」と言えるくらい本音が言えて、本当に春田が好きなんだなってわかる。そんな顔ができる子だったんだ…!万年雪が溶けたかのよう…!それがひたすら嬉しくて。

私たちはこのいちゃいちゃを見て、何かが昇華された。ああ、もう思い残すことはない。
次の話をすぐみなくてもいい…!この幸せを反芻したい…なあんて思ってしまったのではないか。
でも見たいけどな!見るけどな!どうなっちゃうのかこわいけどな!あと8話も(しか?)あるから、色々あるんだろうけどな!

はあはあはあ。
閑話休題。
少し固い方向へ。

2018年当時、同性同士の恋愛や結婚はまだそんなに世の中に出ていなかったと思う。
「おっさんずラブ」が間違いなくその扉をあけ、世に放ち、コメディという形で深刻にならずに性別は関係ないといってみせた。
気がついたらここにきてパートナー制度のある自治体も増えてきている。
もちろん漫画や小説でそれは既に描かれていたし、そもそも同人誌でも色々描かれていたはずだ。それの実写化が以降相次いだ。
2023年にシーズン2が放送された「きのう何食べた?」では穏やかな生活と美味しそうな料理シーンと共に、男性カップルのリアル、遺産やカミングアウト、相手親や兄弟との関係などが描かれていて、ついにここまで来たんだと思う。

そして2024年。
共働きの家庭はどんどん増え、特に家のことをする時間のない家庭は増えてきている。
私は2016年に出産し(それも単発ドラマの月に)、以降仕事と家庭の両立の時間の足りなさを実感した。
とにかく足りねえ!
今まで自分が当事者じゃなかったから、アンテナを張ってなかったのかもしれないけど。
でも、このころから、「名前のない家事」とか、「一人で家事や育児することの辛さ」が発信されてきたと思う。
「リターンズ」1話はそれをきちんと見つめ、他人同士が家族になること、これを浮き彫りにした。
狂犬チワワ牧が吠えたようなことは、今までドラマでそんなに明らかに描かれてこなかったことじゃないかと思う。結構家事が得意なカップルがドラマで多かった気がするから。unknownの虎ちゃんなんて料理完璧だったし!
家事への距離(お手伝いなのか当事者意識があるか否か)、姑との距離(鍵を渡すか否か)、などなどこれから描かれちゃうんじゃあるまいか。貴島プロデューサーは漫画が好きだそうで、ネットとかで出てるこういうふうふの軋轢を読んでそうだし、この切り口もまた斬新な描かれ方しそう。

家族になるってなんだろう。
他人同士が家族になる過程。入口。
いろんな家族のかたち。

自分は固定概念に結構しばられてたなって気がつかされるドラマになるんじゃなかろうか。

いや、怪しい二人組がいるから、とんでもない方向へ行ったりして(笑)

とにかく、はるたん。牧。部長。
みんな。

当時リアタイしてなかったから5年ぶりとかではなくて資格ないかもだけど。言いたい。

おかえりー!
帰ってきてくれてありがとう!

あ、あと家がハイテクかつリッチすぎませんかー!w

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