バレンタインの苦い思い出

こんにちは。カナダ生まれカナダ育ち、生粋のカナダ人(日系二世)です。(ケンミンショーのセリフ、一度は言ってみたいものですね)

バレンタインの起源については諸説あるようですが、基本的にどこの国でも恋人たちが花束やお菓子を送り合う日とされていますね。

欧米の一部地域ではバレンタイン近くになると、スーパーなどで葉書の半分くらいのサイズの小さなバレンタインカードが大容量パックで入った箱が売られます。(こういうやつ

画像2

私の通っていた小学校では、毎年バレンタイン前の工作の時間で自分の名前入りの「カード入れ」を作り、それぞれの机の前に引っ掛けます。そして、バレンタイン当日になると、友達のカード入れにバレンタインカードにメッセージを書いたものを入れてまわるのです。チョコレートなどのお菓子を入れる子もいたりして、ちょっとした人気バロメーターのようなものでした。

画像1

そして、私はこの日が一年で一番大嫌いでした。この上の画像は欧米で育った子供であれば誰もが観たことがあるシンプソンズというカートゥーンのバレンタイン・エピソードでのラルフの様子ですが(余談ですが兄と私はシンプソンズを観すぎてほぼ全シーズンのセリフを把握していて、よくシンプソンズのセリフしばりで会話をしています)私はまさにこの画像の通りで、誰からもカードをもらえず、カードをあげる人もいなく、ただただぼっちであることを再確認させられる日でした。むごい、あまりにもむごい。

というのも、私が子供だった頃に売られていたカードは必ず24枚入りのパックで、ひと箱だけだとクラス全員に配るには足らず、ふた箱買うとあまりが出る、という地獄のような販売方法だったのです。(今では32枚入りが主流のようです。商品開発の人に聞きたい、なぜあの時24枚にしたんだ。)

バレンタインに限らず、ハロウィンもそうなのですが、この時期になるとマクドナルドやウェンディーズなどのファーストフードチェーン店で、商品引き換えクーポン付きのカードが発売されます。(今もあるのかな?)10枚綴りが100円くらいで購入でき、クーポンは12歳未満の子供専用で、ポテトのSサイズやソフトドリンクのSサイズと交換可能となっています。

ある年、私はこのマクドナルドのクーポン付きカードを母にねだって買ってもらい、暗い私にも話しかけてくれる優しい子のカード入れに一枚そっと入れました。するとクラス中の子に囲まれ、「カードをくれ!」「私にも!」と、あっという間に全て無くなってしまいました。人気者の気分を味わえたのは一瞬だけ、同情で私のカード入れにバレンタインカードを入れてくれた子もいましたが、ますます虚しくなり、次の年からは普通のカードに戻りましたが、相変わらず配る相手もいなく、私からもらっても嬉しくなかろうと名前も書かず適当に突っ込んで終わりました。

こんな苦い思い出を職場でしていたところ、同郷のバンクーバー出身の同僚が「そんなの聞いたことない」と言いました。トロント出身の同僚も知らないと答え、そんなはずは、と思い欧米出身の人たちを何人か集めて聞いて回ったところ(私の勤めている会社は外資企業です)、NY州出身の1人だけが全く同じ思い出を語ってくれたのです。彼もやっぱり友達がいなく辛い思いをしたようで、小学校のバレンタインカード配布制度廃止を心から願っていた仲間でした。

不思議に思い、その夜、別の小学校に通っていた大学時代の友達やアルバイトで出会った友達に電話してみると、それぞれ「カードやお菓子は友達に配ってたけどカード入れとかは無かった」「うちの学校は必ずクラス全員分持っていくっていう決まりがあった」「バレンタインカードを配ったことがない」と言うのです。なんだこの地域差。そして、「そんな人気を図るみたいなのを学校でやるなんて信じられない」と同情してくれました。

今でも母校はあれやってるのかな・・・やめてあげて欲しいな・・・という思い出でした。

今年は仲良しの親友とバレンタインチョコを送り合う約束をしているので楽しみです。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?