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【撮影解説】ロケハン×ブルペン×荘司康誠

沖縄キャンプで撮影した写真の中で、準備(ロケハン)が最も活きた写真を紹介したいと思います。

今回の1枚

【球場】宜野座村野球場
【試合】2024.02.17 NPB練習試合
【選手】東北楽天 荘司康誠投手(立教大2023卒・新潟明訓)

【カメラ】Nikon Z9
【レンズ】AF-S NIKKOR 300mm f/2.8G ED VR II
【設定】300mm、ISO400、f/4.0、1/2000s

撮影想定

NPBのフランチャイズ球場で観客席から見える場所にブルペンがあるのは12球団でエスコンフィールド北海道、神宮球場、西武ドーム、ほっともっと神戸あたりでしょうか。
特にエスコンベルドはブルペンを間近で見られる席種もあって人気の座席ですね。

しかし、プロ野球選手をなかなかブルペンの背後からアイレベルで見られる球場というと限られてくると思います。社会人野球で使用する球場だと、そのような場面も出てくるのですが、今回は荘司投手をそのアングルで撮ってみよう!という想定。

阪神タイガースのキャンプ地、宜野座村野球場には外野のファールゾーンにブルペンが2レーン設置されていたので、どうにか活かせないかな?と考え、試合開始前にカメラ片手に球場を散歩することにしました。

球場環境

阪神のキャンプでは普段は内野スタンドのみの開放ですが、この日は週末の練習試合ということもあり客足も伸び、防球ネットが張られたライトスタンドだけでなく、レフトスタンドまで開放する大賑わい。球場をぐるっと1周歩ける動線になりました。

緑のフェンス越しならブルペンを撮影できそうだなとは思っていましたが、ファールポールの近く、搬入口の扉の横に、ボール1つ分もない隙間を見つけました。

右側のブルペンは緑のフェンス越しになるけど撮れそう

拡大してみると隙間は5cm少々ですかね。サンニッパの口径(124mm)の方が大きい隙間ではありましたが、口径の中心を隙間の中心に合わせれば、周辺光量落ちみたいな感じで収まりそう=撮像範囲の中心はフェンスの色味の影響を受けなさそうだったので、目星をつけておきました。

左側のブルペンは、この隙間から撮れそう

しかもこの場所は後ろにお客さんがいない場所(この後ろに座ってもグラウンドが見えないため)なので、後ろを気にせず立てそうなことも、この時点で確認済み。

先発の早川投手の遠投(これは緑のフェンス越し)

試合前は300mmと1.4倍テレコンを持っていたのですが、ブルペンに入った早川投手をモデルに撮影してみると、70-200mmがなくても300mmだけで撮れそうかなと、焦点距離も合わせて確認。

荘司投手は6裏から登板予定と事前情報を得ていまして、5裏からゆるくキャッチボールを始めたので、上述の場所に移動。グラウンド整備と6表の時間を使ってブルペンで準備していたので、その際に撮り進めていきました。

機材設定

今回のキャンプから、ついにサンニッパ(300mm f/2.8)を導入しました。サンヨンを下取りに出したので26万円くらいしました、良いお値段だ…。

というわけで、絞り開放で使いたくなるところではありますが、被写体が奥行き方面に動くシーンということもあり、被写界深度が浅すぎてピントがズレるのも嫌だったので、1段絞ってF4.0にしています。

補正作業

先発の早川投手を撮影していた時は300mm横アングルでも収まるかな?という画角感でしたが、荘司投手の方が背が高いので、横アングルは余白一切持てず、70-200mmも持ってきたら良かったなと思いつつ。なので、縦アングルでどんどん撮っていきます。

オリジナル画像

天気が晴れたり曇ったりで、このタイミングは雲が多めということもあり、思ったより画像周辺の緑を感じずに済みました。

縦画角のまま使っても良かったのですが、ブルペンの傾斜で左足の先が見えないのもバランスが良くないかなと思い、水平を整えてから思い切って横画角にトリミング。たまたま次打者の田中和基外野手(2017卒・西南学院)がベンチ前で構えるシーンを背景に持ってくることができてニンマリです笑

今回の1枚をこのカットに選んだ理由は、横画角にした時に腕の収まりがいいこと、球種がストレート(フォーシーム)であること、ブルペン捕手の顔が見えていることあたりです。

終わりに

キャンプは普段の試合ではなかなか見られないような角度や近さから、ゆっくり選手が頑張る姿を眺めることができて、選手やチームに関して新しい気づきも多ければ、キャンプ地だからこそ撮れる、トライできる写真も増えてきます。

常に新しい視点で探し続けることで、自分の引き出しは増えていくと思うので、これからも思考が凝り固まらないよう、いろんな写真を見て勉強したいと感じたのでした。

あと、私が外に出す(掲載する)写真は表情が見える写真をセレクトすることが多いですが、今回のように背中姿だったり、帽子のつばで目線が見えないカットも好きなので、今後はそういう写真も意図的にアウトプットできたら良いかな。

それでは「今日の1枚」以外の写真を掲載して今回のnoteは終わりにしたいと思います。

もう少し引きたかった(トリミングしてないです)
球種がカーブなので不採用
このカットも割と好き
縦アングルで「今日の1枚」ならフォーシームのリリースを捉えたこちら
思い切ってトリミング。もう少し絞っても良かったかも。

ではまた!

継続した撮影活動のため定期的に機材の点検修理を行っています。 もし私のご活動をサポートいただける方がいらっしゃいましたら、機材経費に充てさせていただけますと幸いです。