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専業旅婦飯4〜28年ぶりのネパール2日目(中)

Kathmandu

いやホテルからここまで何キロも歩いたはずだ。長い石段を登ったはずだ。そしてストゥーパの周りを何周もしてまた市内へ歩いて戻ってきたはずだ。
なのになぜ一向におなかが空かないのだろう。
朝のプーリーは大きめで4枚もあってしかも当然揚げ物だ。
すごいカロリーを摂ったのだろう。ネパリ ブレックファーストで。

しかしまだ初日と言っても、連れ合いの予定は正味4日間だ。
その間は夢に見た毎日ダルバートは外せないし、空腹ではないとはいえ私も精神的にはダルバート欲求が抑えられない。

どちらかと言うとダルバートはトレッキング中山で食べるのがもっともおいしいと思っていた。
というのは以前は地元の人が贅沢に外食するものではなく、あくまで毎日家でお母さんが作るものだったからだ。
だから家族経営の山の宿ではそれが食べられる。
歩いて歩いて気立の良い奥さんが作ってくれる素朴なダルバートはしみじみおいしかった。
でもカトマンドゥなどの市街ではツーリスト向けレストランが英語メニューやピザやステーキ(水牛だったりするが)を揃えて並んでいる。もちろんツーリストレストランでダルバートもあるが、大抵日本を出て3か月以上はたっているので、カトマンドゥでしか食べられないものにも惹かれがちだった。
気軽に食べられるモモ(ギョウザみたいなもの)やチョウメン(炒麺が転じたと思われる焼きそば)などのチベットレストランも多い。
90年代カトマンドゥで働く地元民が入るダルバートのみの店は、看板もなく暗い小屋のようなところで、偶然見つけて通ったりしていたが。

ダルは豆(スープにする)
バートはごはん


これがベースで、あとは 

タルカリ(野菜のおかず)
アツァール(ピクルスのペースト)
ダヒ(ヨーグルト)

などがつく。
日本でいうと、ごはんに味噌汁という豆のスープが基本で、そこに野菜のおかずと漬物がつく、と対比できる。

インドの場合も基本ダルとアチャールとサブジ(野菜のおかず)が基本だが、ネパールのそれは、豆はムングダル(緑豆)の皮付きだし、90年代まではジャガイモも皮付きだし、アツァールもトマト中心で、素朴でスパイスもよりマイルドだ。
大抵つく野菜の菜っ葉やジャガイモが滋味深い。

色々言いたくなるのは、ダルバート及び北インドのベジタリアンのターリーが好きで好きで、日本でも事あるごとに作っているからだ。
それについては私の他の記事

ミックスダール(ビーンズスープ用豆のミックス) 料理編  うちにあって 日本の一般家庭の1%未満にしかないと思うものを挙げてみる その22

他を参照して下さい。

私の中では山ではなく平地の街で食べたダルバートの最高峰は、ネパールガンジのものだった。ずっと世界で一番おいしいと思っていた。
そして以前からアンナプルナの方にあるツクチェが本拠地のタカリ族の作るダルバートはおいしく豪華だというのは知っていた。
20代の頃の私はタカリ族によく似ていると言われ続け、「タカリデディ」(タカリ姉さん)と呼ばれたからだ。「ダルバート食べさせてよ!」と冗談で言われた。
ネパールガンジの店の多くがタカリ族のレストランと後に知って合点がいった。

さて、今のカトマンドゥと言えばそのThakaliを冠する店がとても多いのだ。
そして大層豪華な装いを呈している。店もダルバートの写真も。

91年に入ったような薄暗がりの掘立て小屋のような店ではなく高級そうな佇まいのタカリキッチンへの階段を上って連れ合いが恐れをなして引き返してしまう。
「なんかお呼びじゃないみたい」
と。
貧乏臭かった頃の昔の感覚に戻っているみたい。
インドでは出稼ぎネパール人と思われおばちゃんに用事を言いつけられ、ひょこひょこ従っていた貧乏臭い頃に。
今特に食うに困っているわけではないと思うが、なんか性分で高級そうだと恐れをなすのは私も同じ。
でもここまで来て怖気づいてはいられない。たかが数百円のはずだ。
「えっ?大丈夫そうじゃない?食べようよ」
と一人では同じく貧乏臭さを再発したに違いない私は相手がいると強気になって率先して店に上がる。
なんか小上がりとかソファの席もある。

🕛12時の位置のカップがダル青菜入り レンブー(レモン)キュウリ トマトアツァール ムラコ(大根の)アツァール 豆と菜っ葉 青菜 の天ぷら アルマタール(ジャガイモとグリーンピース) ダヒ(ヨーグルト) パパド 

ということで無事大変おいしいダルバート(タカリ風のそれはネパリターリーとあった)をいただきました。
怖気づくことなどない、全然大丈夫。

おなかがすかないといいながら、当然おかわり自由のおかわりをしてしまう。もういっぱいづつではなくアリアリ(少し)だが。

わかりにくいかもしれないが、皿の直径は30センチはあり、ライスは固めてあるのでゆうに大きな丼いっぱい以上ある。
インディカ米はジャポニカより少々カロリーが少なく、水を増やしてもおかゆにならず従って水量多めで炊けるのだが、それにしても。

30年前は3回おかわりして、褒められたのに。

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