奇特なゲーム

奇特なゲーム
著者 星野彩美

彼らは夜な夜な集まりだした。
昼間のうちに打ち合わせをしていたからだ。
今からここで繰り広げる残虐で悍ましいゲーム。
その世界へ興味本位で足を踏み入れてしまった。
奇特な者たち。ようこそ…奇特なゲームの世界へ。

遥香、道也、真璃子、修の4人に加えて新たに急きょ加わったのが春生だ。
春生は、先日彼らの話しを立ち聞きして、そのゲームに興味をそそられていた。昨晩は眠れなかったらしい。
どうしても…という春生の強い熱意と要望で仕方なく参加させることにする。
しかし、このことがこの先、あんな結果になろうとは誰も予想しなかった。

彼ら若者の間でいま、流行りのオンラインゲーム。バァーチャルな世界に迷いこんで武器を現地で調達しながら、敵を倒していくというもので、その最新版が先週先行して発表されたばかりだった。
前作のランキングで10位以内に入った者たちの特権だった。
その10人の中に彼ら4人も入っていた。あと1人の仲間の春彦が体調不良により今週の初めに入院してしまった。
その代わりにと、名前も似ているということもあり、皆で話し合った結果、春生の名前を「春彦」と偽り参加させたのであった。 

新しいオンラインゲームは前作を凌ぐほどに精巧でリアリティある内容に仕上がっているらしい。
どんな内容なのか皆んなワクワクが止まらなかった。
前作の装備品や道具は、引き継げないシステムになっていて、オンラインストアでも、先行発表のため売られてはいない。
内容が知らないから仕方ないのである。

要するに、腕に覚えのある10人にゲームを試しプレイさせてみようという制作者側の意図がある。
彼らもそんなことは百も承知である。ただ、新作で遊びたい。
それだけだった。

タイトルは…「戦略の殺戮ゲーム」
この戦略の殺戮ゲーム。実は前作の制作者から引き継がれていて誰が制作しているのか不明だった。
だが、ゲームのシステムもきちんと引き継がれている。

春生はこのゲームのシステムはとかプレイの仕方は分かるのか?
うん。弟がプレイしていたのを見たことがあるから。
なら、話しは早いな。

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