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手術後の話(1)

 前回のあらすじ....

 手術が終わった後は、基本的にあらゆる管が体につながっており、その管は手術の次の日にはほとんど抜かれる。

 まず最初に抜かれたのが、脇に刺されていた管。肺を直接縫ったとはいえ、肺が膨らむには意外と時間がかかるもので、膨らみ切るまで管を抜くことが出来ない。かといって、患部を開きっぱなしにすることもできないので、管をつけて膨らみ終わるのを待つ事になる。

 結果、次の日にはちゃんと膨らんでいたので、無事管を抜くことになる。が、これが思っていたよりも辛い。

 今までの闘病日記には書いてこなかったが、何度かドレーンを刺しているので当然抜いているのだが、特別書くほどの苦しみはなかった。ドクターがそのままさっと抜いて終わっていたから。しかし、手術後に挿入されていた管は割と太いので、肺を動かさないようにしないとならなかった為、抜いている間は息を止めなければならない。これが思いの外、息を止め続けるのが苦しかった。もしここで呼吸をしていたら、肺に傷をつけてしまったのかもしれない。だからこそ、慎重にならなければならない工程なのである。

 何とか体から管が抜け、その後患部を縫い始める。後に抜糸をする事になるのだが、ここにも何かと問題が発生する。その話はまた追々書いていく。ひと段落ついたように思うが、この入院生活で一番辛いのはここからだ。

 体に刺さっている管は脇だけではなく、尿を輩出する為に尿道へ挿入された管を抜かなければならない。これが想定していた以上に激痛なのである。

 そもそもチンコに管を挿入しているのは、術後にトイレに行くことが出来ないし、何より手術中に麻酔によって筋肉の力が抜けてしまうので、結果的に尿が漏れ出してしまう。なので、チンコに管を挿入するのだが、そもそも麻酔による作用なので、手術中にカテーテルを挿入している。

 当たり前だが、outputにインサートする訳だから、挿入することによるダメージはかなり大きい。尿道がボロボロになっているのだ。女性器のように挿入前に濡らせばなめらかに入るというような構造になっていないのだ。尤も女性だとしても、尿道はそんな仕様にはなっていないのだが、不思議な事に尿道に対するカテーテルで痛みを訴えるのは女性よりも圧倒的に男性の方が多い。性別は関係ないようで段違いのようだ。

 特に女性と男性で決定的な差が出るのは、チンコの長さの分だけ、カテーテルの挿入尺が増えるので、抜く時の痛みが長くなってしまう。

 自意識過剰ではあるが、私のチンコは人より若干長いようで、尿道に対するダメージ範囲が広かった。

 いよいよ女性の看護師が管を引き抜き始めるのだが、これがものすごく痛くて仕方がなかった。浣腸の時もそうだったが、もう羞恥心がどうとか恥を感じている余裕なんてないのだ。浣腸以上に痛い。何より麻酔を打つことが出来ない。チンコに麻酔を打った所で、そもそもその麻酔がダメージになる為、ボロボロの尿道に鞭を打ちながら、チンコに挿入されたカテーテルを引き抜かなければならない。

 たかだか1,2分の処置なんどだが、私には1時間以上の戦いのように思えた。

 色々管がつながれていた為、脇とチンコの管が抜けた瞬間、全裸でダウンしていた事は言うまでもない。

 やっとの事で体を動かせるようになった時、私に尿意が攻め立てる。なのでふらつく体を動かしながらトイレに向かって、いざ尿を出そうとしたときに、二次災害が襲ってくることに気づく。


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