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昔働いていた職場のアポインターを思い出したので

 最近私は掛け持ちをしていた仕事を変えて、テレマーケティングの仕事を業務委託で受けている。テレアポと言った方が恐らく皆さまには伝わりやすいのかもしれない。

 商材を言ってしまうと何となく私が何者なのかバレてしまう気がするのでここでは伏せるが、一応毎日それなりに件数を取る事が出来ている。何だかんだブランクはあるものの、営業職をやっていた時期があるので、電話のやり取りはそんなに抵抗感無く出来る。何より接客業とは違い、対応する時間なんてたかだか数分だし、何より顔も分からない。

 まあ、そうは言ってもムカつく人というのはこの日本には星の数程いるので、クソと遭遇せずに一日を終える事は不可能である。

 この仕事をしている時に、やはりどうしても波はあるので、アポが取れない時間というのが存在する。

 大体そういう時は電話をするエリアを変えたり、かける順番を変えたり、場合によってはいっそ一旦作業を中断したりと、流れを変えるような動きをして、何とか持ち直す事が出来る。

 しかし、この仕事はやはり相手が冷たく感じる。それだけならいいのだが、時々こちらの情報を聞き出そうとしてきたり、しまいには下の名前まで聞き出そうとするクソキモいクズにも遭遇した事がある。営業電話が相手だからと、何をやっても言い訳じゃねえぞ、クソ爺が。と、このnoteでは本音を言いたい放題言えるので、ネタには困らない。

 これで思い出す事が、以前の職場にもアポインターが居たのだが、取れるアポインターと、ダメなアポインターというのはどうしても差が出てきてしまう。

 トークスクリプトも大体同じだし、誰がやっても流れそのものは一緒なので、数さえ打てば誰でも取る事が出来る仕事と言えばその通りなのだが、それにしても取れる人と取れない人の差というのがあまりにも出てくる。

 当時から思っていた事ではあるのだが、取れる人というのは、どんなクソが相手でもメンタル面が強い人、口調が優しい人はやはり結果を残す。取れない日があっても、次の日には必要な件数を上げてくる。それを真似しようとしてもなかなか出来ない。何故なら話しているトークそのものは全く同じだから、取れない人にとっては取れる人と同じような展開にはならず、トークスクリプトから外れた相手の不信感による攻撃が発生してしまう。ちなみにこれに関しては誰がやっても必ず遭遇するのだが、それに対応出来るかどうかはその人の腕である。後、恐らく当時の件数を取れるアポインターも、クソには絶対遭遇していたはずである。とにかく言える事は、取れるアポインターはやはり取れるだけの理由があるのだ。それが聞いているだけでは分かりにくいと言うだけのはなしだ。

 しかし、アポが全く取れないアポインターが、何故取れないのかというのは非常に分かりやすい。

 まず、取れるアポインターとの違いは喋りだしのトーンやトークスクリプトの読み方まで、所作が根本的にダメなのである。

 トークスクリプトを読む形になるので仕方がないのだが、余りにもトークスクリプトを読みすぎると、電話にも関わらず会話になっていないのである。文章を読んでいる時の発音や声の出し方が、会話のそれとは異なると、思っている以上に人は敏感なものでバレやすい。

 また、取れない人は精神的にも病むので、テンションも低い。低いだけならまだしも、取れないイライラが声にも表れてしまう。

 電話を受ける側からしてみたら、只でさえ営業電話でイライラしているにも関わらず、その営業している人のテンションが苛立っている雰囲気を持っていたら、そりゃお互いイライラしてしまうに決まっている。勿論名乗っただけで喧嘩を売ってくる日本人らしいクソは沢山いるのだが、普通に話を聞いてくれる善良な相手ですら、イライラした人の営業トークを聞かされれば、気分が良くなる訳がないのだ。

 当時の職場のアポインターが正にメンタルをやられるタイプで、最初の方はしっかり化粧もして気合を入れて仕事をしていたのだが、アポが取れなくてへこみ続けた結果、化粧もほとんどせず、表情も完全に死んでいたのを思い出した。やっぱ人って表情や態度に色々出る生き物なのだが、それを感じたものだ。

 いつものようにイライラしながら電話をしているので、やはりアポは取れない。そしてとある時、ついに事件は起きた。

 相当頭のイカれた地雷を引き当ててしまったのか、とうとうアポインターであり、こちらから電話を掛けているにも関わらず、レスバを始めてしまったのである。実際のトークを聞いている訳ではないので、本当にやばいお客を引き当てたのか、相手を怒らせた結果のレスバになったのかは分からないが、段々アポインターの口調がイライラし始めていた事だけは確かだ。

 レスバにまで発展すると、もうもはや営業トークどころではなかった為、そのアポインターの電話を強制的に切った。ガチャ切りはアポインターとして一番やってはいけない行為と言われるが、そんな事はない。レスバをしてしまう方がずっとダメージはでかいと思っている。ガチャ切りは代理店的な立場でやっている場合、委託関係を切られる可能性もあるが、結局はそいつだけがダメージを食らって終わるだろう。だが、他のアポインターが居る現場でレスバなんて始まってみよう。周りの人のモチベーションやメンタルにもダメージを与えてしまうし、何よりそのレスバがいつ収まるのかは、そのお客とアポインター次第という、最悪な状態になってしまう。本当はこういう時は、無理矢理にでも電話を切りにいけるトークに切り替えて、電話を切ってしまうしかないのだが、レスバを始めてしまうぐらいであれば、正直ガチャ切りしてしまった方がまだマシなんじゃないかと思っている。

 結局当時は強制的にこちらが電話機のスイッチを切り、アポインターのレスバを止める事となったのだが、その状況にまでなると、もうとてもじゃないがテレアポなんて出来る状況ではなかった。

 それから暫くしてそのアポインターは退職をし、私もこの職場では朝9時の出社にも関わらず、朝8時15分までに出社を強制され、夜の21時(下手をしたら22時)まで残業をする生活を毎日しており、内勤時にはこんなアポインターの面倒を見なければならないという超ブラックな環境で働いていた事もあり、私もしばらくしてこの仕事を去った。

 今思い出してもブラックにもほどがあるクソ環境ではあったのだが、あの頃に比べたら今では朝9時に起きて、スコーンと紅茶をテラスカフェで嗜み、10時に出社をして、12時に一旦家に戻ってテラスカフェランチをしてハンモックで仮眠をしてから会社に戻り、19時には家に到着をするという、フリーランスとはいえ滅茶苦茶ホワイトな環境で働いている。あの頃の私が今の働き方を見たら、とても信じられないだろう。収入は恥ずかしながらあの頃の収入を超えられそうにはないのだが、ストレス浪費も激しかったので、貯金という意味では結局今のスタイルの方が溜まるだろう。何よりマジで寄り道をしないし、財布の出番が休日にしか発生しないので、本当にお金の出ていく頻度が下がった。

 そんな環境で現在は働いているのだが、それでも今の仕事をしていると、あの頃のアポインターの取れずに嘆いている姿を思い出してしまい、それだけが今の仕事で唯一嫌な瞬間となっているのだが、今の現場には直接関係のない事なので、流石に直していかなければならないのだが….

 アポインター元気かな?….

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