経費削減という呪文(2)

(1)はこちら

 さすがに時期が経過しているナンバリングのものはリンクを貼ることにした。絶対辿れないので。

 露骨な人件費削減をやりはじめた会社。私の勤める店舗でも、人件費を削り始めて久しい。2年ほどの時間が経ち、明らかにおかしくなった部分が多くなってきたので、どういう事が起きているのか伝えていけたらと思う。

1.バイトの子が入らなくなった

 現場でまず早くに起きたのは、バイトの出勤がことごとく減った事だ。どうしてもシフト制の現場なので、入れる日数や偏りなどの問題は出てくるのは仕方のない部分でもあるし、その調整を行うのがシフト担当の仕事だとも言える。が、そもそも人件費の削減というのは、雇用主と従業員との利害関係が全く一致しない。大なり小なり稼ぎに来ている収入を削ることになるので、雇用主からしたら数千円の削減になっても、従業員の数千円はその日の生活にかけられる予算に直接ダメージを与える為、致命的なダメージになる。

 稼ぎが減るなら働く意味がない、それなら退職してしまおうという流れだ。何より、学生バイトであれば講義やゼミなどの時間を見ながら、貴重な空き時間をバイトに費やしていると思うので、その需要と供給が噛み合わなくなるはずで、結果辞めてしまうし、残らない。

 私が勤務している店舗には残念ながら学生バイトの子はいなくなってしまった。

2.一人辺りに任される仕事量が増えた

 4人で回していたものを3人で回すことになるので、当たり前だが業務量が増えることとなる。人数が飽和していて、元々作業量が少なく楽だったものが普通の業務量になっているのと、元々少ない人数なのに削られたのとでは、全然状況が変わってしまう。回せるギリギリになれば当然スタッフの力量も問われるようになる。

 私のスキルでは現場を回すことは難しくはないが、入社時期が今であれば私も今のように仕事が出来るスタッフとして働けていたかといわれると、間違いなく無理だと思っている。現場の仕事を理解して動けるようになる前に、仕事を嫌いになって辞めてしまうだろうから。

 仕事量を増やせばその分の人件費を削れ、さらに業務効率を上げれば売り上げが数%増えるという考えなのだろうが、それについていけるスキルレベルを持ち合わせたスタッフは基本居ない。なので現場を去る。極端に出来る人か、極端に出来ないスタッフしか残らない。上手く行けば強いスタッフが残るものの、まともな人であればある程、おかしな政策を行う会社からは巣立つので、やっぱり現場は荒れてしまう。

3.まともな社員が退職してしまう

 これは特にネットカフェは目立つと思うのだが、作業量も増えるし、質の悪いお客も増える為、精神的に耐えられないスタッフが出てきてしまう。そうなると、真面目に働くスタッフから精神が壊れていくので、まともな待遇の仕事を探し、辞めてしまう。また、これも私の会社がおかしいのだが、正社員も人件費を削られはじめてしまっており、それで辞めるスタッフが増えている。

 結果、しがみついていなければならない人が残る為、現場はまた混乱に陥る。

4.スタッフとの関係がとにかく悪くなる

 サービス内容とか、業務内容とか、影響が出るところは多いものの、一番目に見えて大きいのはこのスタッフとの関係だと私は思う。

 単純に削られる頻度に偏りが出てしまう為、不平不満が出てしまうこと。そして、スキルレベルがこの人間関係にヒビを入れてしまう。なぜなら削られる対象が下っ端とは限らないから。本来人件費を削るのであれば、戦力にならない人を削るべきなのだが、その対象となるスタッフの選別に不平不満が出てしまう。

 人によって評価とは大きく変わるものの、何でこいつの為に私が削られないといけないの?何でこの人が出勤できて、俺が休みにされないとならないの?という事が発生する。

 只でさえ削られてピリピリする所で、削減対象が納得出来ない状態になると、喧嘩モードになってしまう。

 私も実は噛み付かれた事が何度かあるし、その揉め事を見せられている第三者はつらかったと思う。

 私は店長なので、人件費削減の対象にされにくい。どうしても守られている側になってしまうので、ヘイトが集まりやすいのだ。しかし、私も言える事があって、この役職を与えられるということは、本社からの信用があるものと自負しているし、実際それだけの仕事を積み重ねてきた自負がある。周りの人がどう思っているかは分からないが、少なくともやるべき仕事はしっかり行ってきた結果だと私は思っているので、残る権利はあるものと思っている。

 が、そんなことを言い出せばもう喧嘩待ったなしだろう。そもそも努力量云々の話ではないのだから。

今回はここまで

 書き出すと止まらなくなってしまう。が、まだまだ書きたいことは多い。それだけ人件費を削減するだけで起きてしまう影響は、削った分以上だということ。

 それでも数字だけは出るので、本社にいれば影響なんて知ることはないだろう。が、現場はもう何処もおかしなことになっている。スタッフの人間関係もそうだし、サービス内容もはっきり言って、2年前に比べて絶望的に悪くなっている。

 私が少しでも早く独立したい理由はここにある。

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