取引

 接客をしていて思う事がある。お客様と店員との関係とは、サービスを提供する側と受ける側だ。店員がサービスを提供し、お客様がサービス内容を理解し対価を払う。それを取引という。

 ネットカフェの仕事をしていて思う事は、その取引を行っているという自覚を持っているお客が想像以上に多いということ。

 基本的にネットカフェは販売業ではないので、基本的には店内利用に対しての代金を頂くシステムだ。

 漫画を読んだり、ネットの閲覧をする為の環境の提供であるので、お金を取っているのはその部分のサービスだ。

 なので、フリードリンクやシャワールーム等、お金を取っていないサービスに関しては原則いつでも使えるものではない事を前提にお店は運営される。提供出来ないものにはそもそもお金を取らない、商売とはそういうものだから。

 しかしながら、トラブルや先客によってそれらのサービスを受けることが出来ない人の気持ちは理解出来なくもない。が、ネットカフェとはそういう場所だという事を理解してほしい。シャワーを使いたいと思ったのであれば、同じ思考を持つお客が大体他にもいるという事。

 少なくともネットカフェでは漫画の閲覧か、ネットの閲覧等、お金を取っているサービス以外の返金はしていない。

 例えシャワーを予定の時間に浴びることが出来ないから返金してほしいとか、都合が変わったからプランの変更で返金してほしいといったオーダーは受けられないものと考えたほうがいい。少なくとも私がフロントに立っている場合、まず断らせて頂いている。なぜなら入店前に店舗のルール説明を行っており、お客様にはそのルールを理解して頂いた上で入店をして頂くことでお金を頂いている為、お金を支払った(或いはサービスを受け始めた)時点で取引は成立しているものと見なしている。

 返金が可能な場面というのは、購入品に対する不備だったり、説明をされていない内容が含まれている場合だ。そうでなければ、お店側にルールを捻じ曲げさせることになるので、悪質な場合は出禁対象となってしまう事もある。

 毎回思う事があるのは、自分でお金を払って受けるサービスなのに、そのサービス内容をちゃんと理解しないでお金を払う人が多く見受けられるが、私に言わせればその感覚を理解することが出来ない。自分でお金を払って受けるサービスなのだから、どんなサービスを提供されるのかはしっかり理解しておかないと、内容によっては恐怖だと思うのだが、どうも世間はそう認識することはないのかもしれない。そういう人が詐欺に合うんだなと。

 ネットカフェに限らず、サービス内容が分からない事、説明で理解出来ない、納得がいかない内容があるのであれば、そのお店のサービスは受けるべきではない。ほぼ確実に想定したサービスを受けることが出来ないと思われるので。

 しかし、そんなに頭の悪い人だらけな国ではないと思うので、もう少し自分でお金を払うものの仕様の理解をしてからお金を出すという習慣を身に着けたほうがいいと、長年の接客をしている立場から思った事である。

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