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高分子研究30年のプロがスタートアップのTBMにジョインした「2つの決め手」

TBMの研究開発、製品開発を行うテクノロジーセンターのセンター長、高松にインタビューを行いました。外資素材メーカー3Mジャパンにて約30年間キャリアを積まれた高松が、TBMのテクノロジーセンターで担うミッションや目指す組織像などをお話しします。※所属や業務内容は、インタビュー当時(2022年11月)のものです。

高松頼信・テクノロジーセンター センター長/早稲田大学院卒業後、スリーエムジャパン株式会社にて高分子技術の研究開発に従事、Senior Specialist(Technical Ladder)という役職に就く。アクリルポリマーを主体とした接着・粘着剤の分子設計及び重合技術について研究開発、製造技術への応用業務に従事。日本国内で108件の特許出願(国際出願54件)、43件の特許取得、さまざまな製品を立ち上げ、年間200億円ほどの売り上げに貢献。2021年、TBMに入社。TBMの技術の根幹となるテクノロジーセンターにてLIMEXやCirculeXの様々な用途に適したコンパウンド材料の開発、機能性の付与、新製品の開発など、材料開発業務全般に携わる。

TBMジョインの決め手はサステナブルなモノづくりを有言実行できる企業であること


──前職ではどんなことをされてきたのでしょうか?

3Mジャパンにて、約30年間、高分子技術の研究開発を行っていました。特に、アクリル系粘着剤や機能性フィルムの開発、高分子の粘弾性特性、化学構造の研究に従事し、3Mジャパンの全技術者の中でトップ5名しかいないシニアスペシャリストという役職で、技術的に会社を導いていく役割を担っていました。

──そんなご活躍されていた高松さんが、TBMへのジョインを決意された決め手は何でしょうか?

決め手は大きく2点あります。

1点目は、テクノロジーセンターへ見学に来た際に、「ここから何か生まれそうだ」という感覚を持てたことです。TBMより機械が多い、スペースが広いなど、研究開発環境が整っている企業も見学に行きましたが、雰囲気が大きく違いました。TBMはメンバー1人1人が生き生きとした目で技術に向き合っていたことが印象的でした。

2点目は、サステナブルなモノづくりを有言実行できる企業だと思ったことです。LCA(ライフサイクルアセスメント:製品・サービスのライフサイクルを通じた環境負荷を科学的・定量的に評価する手法)算出の取り組みの話を聞き、サステナビリティという軸に合わないものには取り組まない会社なのだと思いました。実際に入社してみて、自分の予想は間違っていなかったと分かりました。TBMでは、売れそうなものであっても、環境負荷が下がらないもの、つまり「TBMでやる意味のないもの」はやらないというポリシーが明確です。「儲かれば良い」ではないということがブレないのは強いですし、開発者としてもやりやすいです。

テクノロジーセンターのミッション


──ここからは、テクノロジーセンターについて伺っていきます。まず、どんなミッションを担っているのか教えてください!

主なミッションは、環境に配慮していることを大前提としたサステナブルな素材研究および、LIMEXやCirculeXの新製品開発、既存製品の改良です。具体的には、さまざまな樹脂および無機材料を駆使した配合技術の開発と新規製品コンセプトの構築。そしてLIMEX Sheet、インフレーション成形製品(LIMEX Bag等)、射出成形製品(生活日用品、玩具等)、食品容器といったアプリケーションを広げるとともに、アイテムごとの性能向上を行っています。

──どんなチーム体制で活動しているのでしょうか?

主な役割として「プロセス技術や素材の研究開発」に特化した2チーム(Polymer ScienceチームとAdvanced Materialsチーム)と、「さまざまなプロセス技術での用途展開製品の研究開発」を行う3チーム(Functional Sheetingチーム、Molding Technologyチーム、BlowingTechnologyチーム)があります。

──それぞれの具体的な役割を教えてください。

プロセス技術と素材の研究開発側からご説明します。

LIMEXで代表されるTBMの基本技術コンセプトは、樹脂へ無機材料をいかに高充填で配合させるかということです。TBM独自の混錬技術を確立し、さまざまな樹脂および無機材料を駆使した配合技術を開発し、新規製品コンセプトの構築を目指しています。具体的には、生分解性および海洋生分解性LIMEXの開発や、再生樹脂を利用したLIMEX・CirculeX製品の開発、また、高生産効率性・高安定性を追求した炭酸カルシウム高充填を達成するプロセス技術開発など、様々な研究開発を進めています。

素材の研究開発では、「何か1つでも明らかにすること」が重要です。たとえそれがネガティブな結果であったとしても、明らかになったこと自体が価値になります。研究を中途半端で終わらせず、やりきること、そして明らかになった時の「なるほど」という感覚に感動してほしいです。

続いて、さまざまなプロセス技術での用途展開製品の研究開発側では、競争力のある用途開発や、コンパウンド製品のローンチ、コンパウンド製品の海外生産体制の確立などを目指しています。

こちらは3チームそれぞれの役割ごとに具体的な研究内容をご紹介します。
Functional Sheetingチームは、シート成形・コーティング技術を追求し、シート・フィルム用途の技術開発。Molding Technologyチームは、射出成形・ブロー成形・真空成形技術を追求した、新製品技術開発。BlowingTechnologyチームは、インフレーション成形技術を駆使したフィルムの技術開発を担っています。

プロセス技術やアプリケーションの研究開発は、セールスメンバーと一緒に動いていて、お客様とも直結しています。そのため、変化が多い中での柔軟な対応や、スピード感をもった開発が求められます。

技術を楽しみ、没頭している組織を目指す


──テクノロジーセンターで成し遂げたいことや、目指す組織像について教えてください!

成し遂げたいことは、テクノロジーセンターのエンジニア全員が、「TBMのBrain」となることです。TBMは仕組み×技術×価値観を掛け合わせて「サステナビリティ革命」の実現を目指しています。その日本発の技術、ここは私たちが担っているのだと覚悟をもって技術や製品開発を進め、LIMEX、CirculeXの価値を高めていきたいです。

そのために、技術を楽しみ、没頭している組織を目指しています。1人1人が好奇心を持って技術を進めていくことが重要です。各自の研究開発案件はもちろん、他のメンバーの研究にも興味を持って、テクノロジーセンター全体で議論し合える組織にしていきたいです。

──そんな組織を目指すために、心掛けていることはありますか?

「こんなものがあったらいいよね」「こうだったら面白いよね」といった技術的な雑談を通じてコミュニケーションをとるように心掛けていて、メンバーにうるさいと思われるくらいを目指しています。というのも、どんな技術もオーバーラップしている部分があるので、様々な研究テーマを持つメンバー同士でブレインストーミングすることが新たな発見に繋がると思っているからです。私だけでなく、メンバー同士でも雑談をしながら他チームのことを気にかけ、気づける状態にしていきたいです。

──新たな仲間としてはどんな人と一緒に挑戦していきたいですか?

何事にもなぜだろうと疑問を持ち、技術を楽しんでいる人、技術的な妄想ができて、「こんなことやりたい」を持っている人に入ってきてもらいたいです。一緒に好奇心を持って研究を行い、技術に感動する仕事をしていきたいですね。

──ありがとうございました!

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