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9月定例会一般質問から⑥

4. 子どもに係る相談・支援について
(2)切れ目のない総合的な相談や支援に係る「支援シート」について

【質問】障害児や発達に課題がある子どもへは、福祉分野と教育分野が一体となって、切れ目のない支援、総合的な相談や支援がなされることが重要である。視察した日野市発達・教育支援センター「エール」では「療育支援シート」がその柱となっていた。①福生市ではこれまで「就学支援シート」及び「学校生活支援シート」による支援が行われているが、その作成や活用等について伺う。また、令和6年4月1日に開設予定の福生市の児童発達支援センターでは、「療育支援シート」を活用し、切れ目のない支援につなげるということが方針として示されている。この②「療育支援シート」の内容及び運用について伺う。

【教育長答弁】①特別な支援を必要とする児童・生徒への支援については、一人一人の障害に応じた対応が必要であるとともに、就学前、小学校、中学校、高等学校等、各発達の段階で携わる関係機関が、当該児童・生徒の情報を引き継ぐことで、切れ目のない支援を行っていくことが必要である。そのため、「就学支援シート」と「学校生活支援シート」の様式等を定め、切れ目のない支援につなげている。

 「就学支援シート」は、本市では就学時だけではなく、就学後の学校生活を送る上で継続して活用していくという方針のもとに作成している。このシートは、就学前の希望する保護者の申し出に応じて、その保護者と幼稚園・保育園等が作成するものである。作成を希望する就学前の保護者が、幼稚園や保育園を通じて、もしくは直接教育相談室へ申し出をし、本市の定める様式に保護者と幼稚園・保育園等がそれぞれ記入をし、教育相談室を経由して就学する各小学校へと引き継ぐ。作成された「就学支援シート」は、各小学校で内容を確認したうえで、個別の支援内容とその体制について検討する。 

 次に「学校生活支援シート」は、各小・中学校において、特別な支援を必要とする児童・生徒一人ひとりが適時適切な支援を受けることができるよう、小学校入学から学校卒業までの間、個に応じて作成される継続的な計画で、保護者、学校、保健医療、福祉等が連携し、その児童・生徒に対して行ってきた支援の情報を共有するもので、入学時や進級・進学時の引き継ぎを確実に行っている。

【市長答弁】②「療育支援シート」は児童発達支援センターで支援をする18歳未満の児童を対象とした個別の支援計画を記載したシートで、具体的には多様な専門職により、指導目標をはじめ、療育の経過や支援内容、配慮を要する点などを記載し、これを積み重ねて、小・中学校の就学時や、特別支援学校等に引き継ぎを行うとともに各機関と支援状況を共有し、切れ目のない支援につなげていくものである。

 シートの活用により、0歳から18歳まで一貫した支援方針で関係機関の情報を共有することが可能となり、就学時や義務教育終了後などのライフステージがかわっても、支援が引き継がれ、障害児や保護者にとってより良い支援体制の構築につながる。

 福生市においても児童発達支援センター事業では、保護者了解の下、支援を行なった児童を対象とした「療育支援シート」等を活用し、関係機関との連携を図りながら支援を行う予定である。

 発達障害に関わる部署にて先進自治体の児童発達支援センター4カ所の視察を行ない、その効果について確認をした。特に日野市発達・教育支援センター「エール」では、子どもの情報を関係機関や行政部署が別々に把握し、共有されていないという課題を解決するために「療育支援シート」を活用して支援につなげている。福生市においても切れ目のない支援をしていくための情報共有ツールとして活用できるよう、シートの記載項目など詳細について教育委員会をはじめ関係部署や関係機関と共に調整を進めている。

【再質問】①作成された「就学支援シート」のすべてが学校に引き継がれるのか確認したい。また、②これらの「療育支援シート」と「就学支援シート」「学校生活支援シート」は、一本化されるのではなく、それぞれが必要に応じて作成され、運用されていくという理解でよいか伺う。

【参事・部長答弁】①「就学支援シート」は、毎年20件程度、希望する保護者から教育相談室に提出されており、その全てを就学予定の小学校へ引き継いでいる。②「療育支援シート」の運用については、それぞれが併存して運用する予定で検討を進めている。

こうしたシートは切れ目のない相談・支援体制の柱となるものであることを日野のエールの視察を通じて確認しました。日野市は企業と協力し「療育支援シート」の電子システムを構築し18歳以降の30歳まで保管しています。発達に課題がある子どもの就学以降の支援はうまくいっていない現状がある。
 子ども一人一人に寄り添った個別の支援を充実していくためには、電子システム化による管理・運営は大変有効であると考えます。システム開発の協力企業である富士通のHPによりますと、現在は、エールと全ての市立幼稚園・保育園、市立小中学校だけでなく、私立の幼稚園・保育園も含む72拠点と接続し、どこからログインしてもリアルタイムで最新のデータを確認できる体制となっています。
 保護者にも好評で、「何度も同じ説明をする必要がなくなりありがたい」、「関連部署で適切に情報共有をして支援に役立てて欲しい」といった声や、職員からも、「福祉と教育の垣根をなくすことができた」、「瞬時に検索できるので負荷が減り、紙の保管場所も不要になった」など高い評価を得ているとのことです。
 そして、エール施設長の話では、今後は18歳以降の就労等への活用に力を入れていくとのことでした。私は発達に課題がある子どものキャリア教育の視点からも療育支援シートの活用は大変重要であると考えています。また通常学級の子どもも電子システムを利用し学校生活等の記録ができれば、福生の教育における大きな特長となると考えます。健康・福祉・教育の一体化について、先を見据え電子システム化を進めていく必要があると考えます。
 参考までに、日野市の平成27年度の「療育支援シート」の利用者144名でしたが、電子システムでの運用を開始した平成28年度は960名、令和4年度末時点では約3000名が利用しています。また、日野市の議事録には平成27年度決算審査において、システム構築経費2,228万円とのことです。ぜひ導入に向け検討していただきたいと要望しました。

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