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BUNGEI-BU7|#シロクマ文芸部

風薫る 隣は何をする人ぞ

「秋深し隣は何をする人ぞ」より

「は?芭蕉のパクリかよ。ダメじゃん!」
「いや、リスペクトと言って欲しいな」

能戸高校の図書準備室で、文芸同好会の自称部長と会長が、会報発行のための記事を推敲中。今回は『俳句』を作ってみよう…としているのだが、なかなかオリジナルの作品は創れないようだ。

風薫る 欅の芽吹き しゃぼん玉

「一日の欅の芽吹きしやぼん玉」より

「お前こそ、それは中村汀女のパクリだし」
「えっ?そうだったのか?無意識だった」
「しゃぼん玉の季語は春だから季節が混ざっているし。でもちょうど今くらいの時期で合ってるかも…」


かきわける 本のタワーや 風薫る

「かきわける白ののれんや風薫る」より

「正岡子規だな…」
「これはなんとなく積読つんどく部の風景だし…」


「ところで、なんで『風薫る』がお題なんだろう?誰が決めたの?俺たちじゃないよな」
「あいつに決まってるだろ!カオルだよ」


「私のこと呼んだ?」

突然準備室の扉が開き、自称部長と会長と同学年の女子が入って来た。一人で執筆活動をしているので、ほとんど部室には顔を出さないが、遅筆な彼等のお尻叩きのために来ることがある。


「せめて、これくらいは詠んで欲しいわ」

風薫る 能戸文芸 集い来て

「風薫る甘木市人集ひ来て」より

「「それ、高浜虚子だから!」」


ちなみにもう一名の文芸同好会員は…

風薫る お元気ですか お母様

なんとなく母の日メッセージ調であった。


[約600字]

同好会から部へ格上げさせたいのですが、なかなか難しいですな😅

#シロクマ文芸部
#風薫る

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