見出し画像

【エッセイ】お年頃SEの出張エピソード(修行編)まだ出張する前の話

約40年前の若い頃の思い出をつづる、ただそれだけのお話。特に配属直後の頃は「あの頃の私って…」と我ながら呆れることばかり。でも、よく頑張ったと褒めてやりたい気もする。


霞ヶ関編  盛岡編  鹿児島編  新潟編
  広島編



新卒で某メーカーに入社し、約2ヶ月集団で社内教育を受けた後、配属されたのは水管理システムを担当するソフトウェア課だった。建設省(今の国土交通省)や農水省が主な顧客。世間知らずの私なんかが配属されて良いのだろうか…と思う間もなく、「あなたの教育係はNさんだから、わからないことはNさんに聞きなさい」と言われた。

Nさんは1年先輩の男性で… ヘビースモーカーなぶっきらぼう。明らかに『めんどくせ〜』感が漂っていた。そんなNさんに「お手伝いできることありますか?」と尋ねたら、「君にはシステム設計図を書いてもらう。そこのマニュアルを読んどいて」と、書架を指さされた。「システム設計図って何ですか?」「マニュアルに書いてあるよ」既に放任された感が…  他の同期の人は、プログラミングなどで一緒に作業をしている。とりあえずマニュアルを読んで、わからないことを質問しようと考えた。で、わからないことだらけだった。コンピューターのハード絡みの話で、備品がそもそもわからない。関連ありそうな他のマニュアルも読んだりして「多分、こういう機械なのかな」と思いながらも、やっぱり納得できなくて質問するけれど、「マニュアルをよく読んだ?書いてあるよ」と言うばかり。この際だからと他の先輩に同じことを質問したら「その考えで合っているよ。何でNの奴は、そんな言い方すんのかな!」と怒っていた。でも何となく、それがNさんの指導方法というか『女だからって甘くしない』的配慮?にも思えてきた。

メインコンピューターがあって、それにプリンターやら何やら付随する機器があって、それらをつなぐケーブルがあって… と、雰囲気は理解できた。しかし、どんなメインコンピューターを選ぶのかとか、必要な機器は何なのかがわからない。「これから担当するシステムで使うメインコンピューターって決まっていますか?あと、必要な機器は何ですか?」するとNさんは、やっと同じ土俵に立ったと判断したのか「よし、今からいう機材を配置したシステム設計図を書くんだぞ」そして、製品名をずらずら述べ、広げた新聞紙大のトレーシングペーパーみたいなものも渡された。「この紙に書くんだ」「ええっ?!」製図は履修していないが、有無いう暇もない。

A3くらいの紙に、ざっとフリーハンドで「こういう図で大丈夫ですか?」と尋ねると「ケーブルも書いた?」と聞かれ「電源ケーブルも信号ケーブルも機番調べて記入してあります」「よし」「他のシステムの設計図を参考に見せていただけますか?」「それは、こっちの棚にあるから、好きなのを見ていいよ」と言われて、内心『最初から見せてくれればいいのに…』と思いながらも、ホッとした。

縮尺とか計算して、なんとか製図し、図番というのを取って登録し、書いた図面をマイクロチップに保存する…という流れも学んだ。あの頃はコピー機よりも青焼あおやきというのがポピュラーで、トレーシングペーパーの原紙を青焼で複写すると、しばらく紙がしっとりしているため、乾くまで広げて放っておく場所が必要。そんな場所作りとか、巨大な紙をA4サイズに見やすい形で折り畳む方法とか…そんな小技も学んだ。他の同期がずっとプログラミングしている間に、私だけ何かのシステムを作る時の雑用みたいな全体の流れを知る学習?していた感じだ。

さて、話が突然変わる。閑話休題というやつ。

会社(というか工場だけど)に入社して、しばらくはスーツ(スカート姿)で出勤していた。しかし、職場では制服を着用する。男子は青のジャケット、女子は水色のスモックみたいな上着だ。で、私は気にしていなかったが、お洒落な女子は「幼稚園児みたいで嫌だ!」と怒っていた。だから社内用の服(スカート)とかをロッカーに置いていて、出勤前と後で、全然印象が異なる服装をしていた。

私は… スーツをやめて、学生時代の姿(なんちゃってハマトラかGパン)に戻した。だって、会社で着替えるの面倒臭かったから… 更に、コンタクトレンズが入らない時は、メガネのまま出勤した。メガネ姿の時は、みんなに「目が悪かったの?」とビックリされた。まさに、アラレちゃんメガネだったしね。色気も何もなかった。新入社員なりたての頃は、猫かぶって?小綺麗なOL風にしていたのを、元気な女学生姿に戻したから。 だいたい何事にも無関心なNさんでさえ「今日はGパンなんだね」と驚くこともあった。

さて、そんな私がある日「明日、出張にいくよ」と Nさんに言われた。「私も一緒に行くんですか?」「そうだよ、だからGパンなんか履いてくるなよ」「はい、わかりました」うわぁ、Nさんが気にするくらいだから、普段の私って、やっぱり浮いていたのかな…

翌日、久々に入社当時のようなバッチリメイク&しっかりスーツ姿で出社したら「りみっと、いつもと全然違う!」と課内の人たちに爆笑された。「変?」「いつもそうしてたらいいのに」いや…もう、なんか無理!で、出張が無いとわかっている時は、普段着?でとおすことにした。(直さない)

しっかりと小綺麗なOLスタイルで挑んだ初出張の話は、また別項目で。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?